日本代表の自覚と責任
──始めに、日本代表に選ばれたことを聞いたのはいつですか?
8月20日頃、自分のチームの川村忠義監督(春江工業)から聞いたと思います。
──そのときの心境はどうでしたか?
夏の福井県大会は初戦敗退で、自分自身も結果が出せませんでした。そのため、聞いてすぐは、「自分でいいのだろうか?」という疑問と不安の方が大きかったです。
──気持の切り替えはすぐにできましたか?
その後、「選ばれたからにはやってやろう」と思いました。また、選んで頂いたことに感謝して、日本代表でプレーするという“自覚と責任”をしっかり持たなくてはいけないと考えました。それからは練習にも身が入りました。
選手同士の意思疎通は万全
──8月26日から始まった国内合宿も数日が過ぎました。選手同士はすぐに打ち解けましたか?
はい。僕はほぼ全員が初対面だったので最初は不安でしたが、同じ高校野球をやってきた者同士です。一人ひとりが積極的にコミュニケーションを取ろうとしていたのですぐに馴染みました。
──栗原選手は2年生のときに春の選抜大会で甲子園に出場していますが、今回集まったメンバーはこの夏の甲子園に出場していた選手が多いです。
僕の中ではつい最近まで甲子園で勝負していた選手たちが目の前にいて、凄いなと思いました。でも、実際に喋ってみると、みんな明るくていい人ばかりでした。心配する必要はなかったです。
チームが一つになれば結果が出る
──8月26日の記者会見の後、近畿大学のグラウンドで早速練習をしました。その時のシートノックでは、栗原選手が岡本和真選手(智弁学園)に「岡本、足動かせ!」と声をかけていました。岡本選手も栗原選手が送球を捕球するときに「栗原!」と返して、声のかけ合いになりました。
成り行きでしたけど、あれもコミュニケーションの一つです。
──キャプテンとして、チームをどのようにまとめていきたいですか?
技術の高い選手が揃っているので、僕がまとめるとか、プレーで引っ張るというよりは、まずチームが一つになることが大事だと考えています。そうなればすぐに結果が出ると思います。そのためには選手全員と色々なことを話していきたいです。
小技や繋ぎこそが日本の野球
──キャプテンとして、選手を代表して今年のチームの性格を紹介してください。
決して大人しくはないです。初対面ですけど、もうワイワイやっています。ひとつになれると思います。
──どのような野球のスタイルになると思いますか?
バットが金属から木製に変わりましたから、そんなに打てるとは思っていません。バントなどの小技を使ったり、長打よりも野手の間を抜いて繋いでいく細かい野球をしていくと思います。このチームがというより、日本の野球はそういうものだと思っています。
──国際大会では木製バットへの対応や外国での慣れない環境で試合をしなくてはなりませんが、どう対応していきますか?
初めての経験なので、どのように試合が進むのかはまだつかめてはいません。短い時間ですけど、実際にタイのグラウンドでその場の雰囲気に慣れて、自分たちの野球を徹底したいと思います。
──その自分たちの野球とは何ですか?
一人ひとりの持ち味やパフォーマンスをベストで発揮することです。それが、今できることだと思います。
甲子園出場より重い日本代表
──対戦するアジアのチームについてはどの程度認識していますか?
チームで過去の国際大会の資料を頂いて読みました。歴代の高校日本代表は韓国や台湾とは接戦ばかりで、「強いな」という印象です。でも、そこに勝たなくてはなりません。
──日本の球界が12Uからトップチームまで「侍ジャパン」として一つに繋がりました。そのことについてはどう思いますか。
プロも着ているユニホームで僕たちもプレーするので、それだけの自覚と「日本を背負っている」という責任を一人ひとりが強く意識することが大事だと思います。ただタイで試合をして帰ってくるだけでは、侍ジャパンの名前は付けられません。結果を求めたいと思います。
──甲子園に出場するのと日本代表でプレーするのはどちらが重いと思いますか?
甲子園を目指して練習していたときは「出たい」と強く思ってやってきました。でも、今回は自分たちのチームだけでなく、「日本全体を代表する」という気持ちがあります。関わる人たちの数も違います。今は日本代表でプレーすることの方が重く感じます。
──自信の程はいかがですか?
自信はあります。国内合宿である程度見えてきました。「アジア一」になって帰って来ます。