9月22日から開幕する第17回 アジア競技大会に向けて、12日から二次合宿をスタートさせた侍ジャパン社会人代表。この日は千葉ロッテ(ファーム)との強化試合を行った。
この試合のテーマとして小島啓民監督は
「台湾、韓国の投手も球速が速いので、今日、対戦する千葉ロッテの投手たちをどれだけ打てるか。また、まずはプロ相手にどれほど適応できるかがテーマです」と語った。
韓国、台湾を意識しての一戦。試合は1回裏、いきなりロッテ1番・大嶺翔太に特大本塁打を打たれ、先制を許すと、その後も、二死満塁から7番神戸拓光、8番吉田裕太の連続適時打で4点を先制される。
序盤から、大きくリードを広げられた社会人代表。さらに、4回裏には、先発の井口拓皓(日本通運)が、大嶺にこの日2本目の本塁打を浴び、ここであえなく降板。
「正直、初回から出鼻をくじかれる試合展開は台湾、韓国相手だったら、ワンサイドになっているかもしれません。本戦では投手の頑張りが不可欠です。こういう状況ですが、突破口を切り開けるように、劣勢の状況を変えられるような攻撃を仕掛けていきたいです」
小島監督のその言葉通り、6回表。
社会人代表は、二死一塁、2番倉本寿彦(日本新薬)の打席の場面で、代走の福田泰平(日本新薬)が盗塁に成功。倉本がしぶとく右前安打に落として、1点を返すと、さらに二死一、二塁の好機で4番林 稔幸(富士重工業)。林が右中間を破る適時二塁打を放ち、6対3と3点差に迫る。
8回表には、倉本が初球を捉え、左越え二塁打を放つと、二死二塁から、5番松本 晃が右前適時打を放って、4対6の2点差に迫る。
倉本寿彦(日本新薬)
林稔幸(富士重工業)
松本晃(JR東日本)
投手陣は序盤で6点を失うも、2番手・幸松 司(JFE東日本)がその後は無失点投球。6回裏から関谷 亮太(JR東日本)が登板。関谷は140キロ前後の速球、キレのあるスライダー、カーブ、落差のあるフォークを武器に、6回には清田育宏、神戸を三振に取る。6、7、8回の3イニングで6三振と好投をみせる。
幸松司(JFE東日本)
関谷亮太(JR東日本)
8回途中からは、二死一、二塁の場面から、左打者の根元に対し、社会人代表は左投手の今村幸志郎(西部ガス)を投入。今村は左サイドからの打ち難いフォームで、相手打線を翻弄。追い込んでからのストレートで空振り三振を奪い、ピンチを切り抜けた。
しかし9回表、日本代表の反撃ならず。4対6で千葉ロッテとの強化試合を終えた。
今村幸志郎(西部ガス)
小島監督は試合後、
「後半は反撃することはできていましたし、アウトになっても、しっかり捉えた打球が多かった。後半は、完全にこちらが押していました」と大差をつけられたあとの積極的な攻撃ぶりを評価。
投手陣についても、徐々にみえてきたものもあると語った。
「本人の実力がより発揮できるように、適材適所を見極めるのはスタッフの課題です。今年のチームは大エースと呼べる投手もおらず、プロ入り出来るような投手が何人もいるわけではない。だからこそその見極めが大事になります。途中登板した今村は、今はこういった起用が多いですが、今後の結果次第で変わってきます。また、関谷にもテーマを与えていますが、そのテーマを考えながら、しっかりと投げていると思います。ただ、今日は競った場面での投球ではなかったので、これからの強化試合で、真の力を見極めていきたいと思います」
前回の一次合宿の後に、小島監督は選手たちにそれぞれに課題を与えていた。その課題を二次合宿のスタート時にどこまで克服できていたのか。
「選手たちは我々が与えた課題に対して、前向きに取り組んでいたことが今日の試合で伝わってきました。見ていて、よく分かりました。ここまでは十分な成果が見えているので、あとは大会で勝つために、個々に克服した課題を戦術面にどうつなげていくことができるか。それが今後のチームの課題になっていきます」
一次合宿、二次合宿は、「あくまでテスト期間」と話す小島監督。
このゲームこそ落としたものの、中身のある一戦となった。チーム作りは順調に進んでいる。
侍ジャパン社会人代表は、今後15日・16日にも強化試合を行い、最終日は練習のみ行う予定。二次合宿を打ち上げた後、9月22日から開幕する第17回 アジア競技大会に向け、すぐに現地入りとなる。残された時間の中で、さらにチーム力を高めていきたい。