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欧州で新たな野球を学び精度の高い日本野球を実践した充実の2週間 /侍ジャパン大学代表大会総括

2024年7月22日

 7月9日まで行われた「第43回 プラハベースボールウィーク」(チェコ・プラハ)と7月19日まで行われた「第31回 ハーレムベースボールウィーク」(オランダ・ハーレム)の2大会をともに無敗で優勝した侍ジャパン大学代表。14日間で11試合というタフな日程の中ではあったが、堀井哲也監督が掲げた「世界のベースボールを学んで、日本の野球で戦う」というテーマをやりきり、選手たちはかけがえのないものを得た。

 2年前にも選出された篠木健太郎(法政大)以外は初めて欧州の地でプレーしたが、選手たちは口々にファンへの感謝や新たな刺激を口にする。3番打者として全試合フル出場し両大会の優勝に貢献した渡部聖弥(大阪商業大)は「野球をみんなが楽しんでいて、敵・味方関係なく応援をしてもらい、すごくプレーしやすかったです」と感謝。技術面でも「アメリカやオランダの積極的な打撃は自分にも必要なことですし、チームに持ち帰って共有したいです」と収穫を挙げた。
 侍ジャパンの野球に対する期待や尊敬は、プラハでもハーレムでも試合中・後だけでなく、試合前からも大いに感じられ、シートノックから大きな拍手や歓声が送られた。そして試合後には選手たちも大きな身振り手振りで声援に応え、サインなどのファンサービスにも積極的に応じ現地のファンと交流を深めた。侍ジャパンやNPBのユニホーム・キャップ、日の丸の鉢巻をつけて応援する現地のファンも多くいたが、彼ら彼女らや日本野球を初めて見たファンにもより良い印象を与えることになっただろう。
 また、欧米の選手独特の特徴を持つ投手や打者と対戦し、主将の印出太一(早稲田大)は「世界の野球の引き出しが勉強になったので、今後の人生に生きる価値ある遠征になりました」と振り返るなど、多くの学びや広い視野を得た。

 2大会を無敗で優勝できたことについては野球界全体の層の厚さや精度の高さも挙げられる。堀井監督は「日本の底力、大学野球の力ですね。送り出してくださった大学と連盟に感謝しています」と話す。昨年12月の候補選手強化合宿(愛媛・松山)から活動を始め、その時点から期待していた宗山塁(明治大)や金丸夢斗(関西大)ら複数の選手が故障で、選考合宿に招集できず。それでも合宿初日には堀井監督が「代わる代わる良い選手が出てきて、日本の野球は凄いなと思いました」と手応えを明かすほど、新たな選手が台頭してきた。
 特に今春の全日本大学野球選手権の活躍により選考合宿に追加招集された髙木快大(中京大)と藤井優矢(東日本国際大)の両右腕がハーレムベースボールウィークで大活躍。髙木は準決勝のチャイニーズ・タイペイ戦で1安打完封、藤井はリリーフエースとなり決勝戦は最後の3イニングを任され胴上げ投手となるなど、一気に飛躍した。
 また、失策は少なく併殺は多く、1つ先の塁を狙う走塁など細やかな野球も展開。こうしたことについては「先人たちが作ってきてくれた日本の文化。一朝一夕には身につかないプレーや審判へのリスペクト、試合運びのスピード感など、そうしたことが勝利に繋がったと思います」と勝因に挙げた。

 日本の学生野球とは異なる刺激を吸収し、異なる環境でも日本の学生野球のレベルの高さを証明した選手たち。彼らがこの経験と自信を糧に、さらなる野球界の発展に寄与してくれることを期待せずにはいられない。

監督・選手コメント

西川史礁(青山学院大)

プラハベースボールウィークで打率.444、全出場選手トップの5打点を挙げて大会MVP
「両大会で優勝でき、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。去年の日米大学野球では全試合4番を任されて打率は残せたのですが、打点を挙げられず悔しかったので、プラハで打率も打点も最高の成績を収めることができ、この遠征で毎試合安打を打てたことが良かったです。手元で動く球に対応しようと最後まで振り抜きました。こんなにたくさんの人が集まってくださる中で試合ができる僕らは幸せだと思いましたし、自チームでもこの経験を生かしていきたいです」

小島大河(明治大)

ハーレムベースボールウィークで全出場選手トップの10打点、トップタイ12安打を放ち大会MVP
「賞を獲れたことは嬉しいですし、何より優勝できたことが嬉しいです。(5試合連続で4番を任され)プレッシャーは感じるタイプではないので、いつも通りできたかなと思います。(好調の要因)タイミングも合っていましたし、明治大を応援してくれている方からいただいた味噌汁を毎日飲んだおかげです。(この遠征で)日本とは違う特徴の投手・打者と戦うことで良い経験になりました。この経験を生かして秋のリーグ戦に勝てるようにしたいですし、打者としてももっとパワーをつけていきたいです」

第31回 ハーレムベースボールウィーク

大会概要 出場選手

大会期間

2024年7月12日~7月19日

オープニングラウンド
2024年7月12日(金)22:30 チャイニーズ・タイペイ(雨天順延)日本
2024年7月13日(土)23:15 アメリカ 5 - 9 日本
2024年7月15日(月)2:30 日本 5 - 4 スペイン
2024年7月15日(月)18:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 2 日本
2024年7月16日(火)22:30 イタリア 2 - 8 日本
2024年7月18日(木)2:30 日本 5 - 1 オランダ
※開始時刻は日本時間(オランダ:時差-7時間)

準決勝
2024年7月18日(木)22:30 日本 8 - 0 チャイニーズ・タイペイ
2024年7月19日(金)2:30 オランダ 1 - 2 アメリカ
※開始時刻は日本時間(オランダ:時差-7時間)

決勝
2024年7月20日(土)2:30 日本 10 - 4 アメリカ
※開始時刻は日本時間(オランダ:時差-7時間)

開催地

オランダ(ハーレム)

出場する国と地域

日本、アメリカ、チャイニーズ・タイペイ、オランダ、イタリア、スペイン

第43回 プラハベースボールウィーク

大会概要 出場選手

大会期間

2024年7月6日~7月9日

グループA
2024年7月6日(土)21:30 ドイツ 3 - 7 日本
2024年7月7日(日)21:30 日本 3 - 2 チャイニーズ・タイペイ
2024年7月9日(火)2:00 日本 9 - 3 チェコ
※開始時刻は日本時間(チェコ:時差-7時間)

決勝
2024年7月10日(水)2:00 日本 5 - 3 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(チェコ:時差-7時間)

開催地

チェコ(プラハ)

出場する国と地域

グループA
日本、チャイニーズ・タイペイ、チェコ、ドイツ
グループB
オーストリア、ギリシャ、ハンガリー、スロバキア、リトアニア

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