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侍ジャパン18U、世界一へのカギは極限で見せる「平常心」

2014年9月9日18U

侍ジャパン18U、世界一へのカギは極限で見せる「平常心」

侍ジャパンの名を初めて背負ったアジア選手権は準優勝に終わった。「ミスで失点して、点を取りたいところで相手の守備が上回った結果です。(ミスをしないチームが勝つのは)野球の基本です」。決勝終了後に岸潤一郎(明徳義塾)が悔し涙を拭いながら、絞り出したこの言葉に、侍ジャパン18Uの世界一へのカギが示されていた。

まずは夏の甲子園決勝翌日から6日間の国内合宿のみで国際大会に対応した個々の適応力は目を見張るものがあった。初日の打撃練習でいきなり木製バットを握ったが、折る者は一人もいなかった。「木製バットはまったく気にならないです」。自信を示していた主砲の岡本和真(智弁学園)は大会を通じて打率.474、5打点。前後を打つ3番の岸田行倫(報徳学園)と5番の香月一也(大阪桐蔭)もともに打率.411を記録し、決勝トーナメントでも好調を維持した。

それが優勝に結びつかなかったのは「国を背負う」というプレッシャーの中、平常心でプレーできなかったからだ。高橋広監督は当初から決勝トーナメントでのレベルの高い試合を想定し、「守備でリズムを作り、スクイズでも何でもやって点を取って守り切る」という野球を目指した。だが、準決勝と決勝ではショートの安田孝之(明徳義塾)と吉田有輝(履正社)がともに勝負どころで失策。「正直、緊張しました」。大舞台で力を発揮出来なかった吉田は試合後、素直に胸の内を明かした。

高いレベルで凌ぎを削る韓国や台湾との戦いにおいては、技術や体力だけでなく、極限に近い状態で当たり前のように日頃の実力を発揮することが欠かせない。今大会、脇本直人(高崎健康福祉大学高崎)や安田孝之(明徳義塾)が口にしていた「日本代表は甲子園でプレーするよりも重いです」という言葉がその難しさを物語る。今に始まった事ではないが、いかに日々の練習からギリギリの状況を想定しながら、平常心を保ってプレーできるかが今後の国際大会を戦う上での課題になるだろう。

一方、投手については期待どおり総合力の高さを示した。予選リーグ3試合で許したヒットはたった2本。継投による完全試合が2試合あった。決勝でも森田駿哉(富山商業)が韓国打線を8回1/3を散発2安打に封じるなど、「これぞ、日本の投手力」をアジアに誇示した大会だった。
強いて課題を挙げるなら、エースに指名された高橋光成(前橋育英)が球威は十分ながら終始制球に苦しんだように、国際大会のストライクゾーンにいかに早く適応するかもポイントになってくる。

他の参加国に目を向けると、優勝した韓国の力が目立った。決勝戦で先発した厳相伯は140キロを超える速球を披露。「制球に注意して集中した」と振り返ったように細心の投球で日本打線にスキを見せなかった。
また、3位の台湾も常に強振してくる思い切りの良さと内外野とも肩の強さが目立った。中国は小柄な選手が多かったが野手の動きは良く、フィリピン、タイ、スリランカ、バングラディッシュには身体能力の高い選手が何人もいた。アジアの野球はまだまだ発展途上にあるが、大きな可能性を秘めた大会を印象づけた。

来年の夏には「18Uワールドカップ」が日本の高校野球の聖地・甲子園で初開催される。今大会、タイの地で得た教訓を、次世代の侍ジャパン18Uが確実に生かし、「世界一」という最高の結果でリベンジしてくれることを期待したい。

試合結果

1次ラウンド
日時 結果
2014年9月1日(月) 日本 11 - 0 フィリピン
2014年9月2日(火) 日本 20 - 0 スリランカ
2014年9月3日(水) 中国 0 - 11 日本
決勝トーナメント
日時 結果
2014年9月5日(金) 【準決勝】日本 3 - 2 チャイニーズ・タイペイ
2014年9月6日(土) 【決勝】日本 1 - 2 韓国

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