磯崎由加里選手(侍)
第5回IBAF女子野球ワールドカップでは、大会MVP・最優秀投手に輝き、まさに日本のエースとして躍動した磯崎由加里選手(侍)。今大会もエースとして期待される磯崎選手に今大会への意気込みなど伺いました。
――前回大会は日本のエースとして優勝に導いた磯崎選手ですが、改めて振り返るとその勝因はなんだったと思われますか?
前々回のベネズエラでの第4回大会では、予選リーグで、結構打たれて負けてしまい悔しい思いをしました。その時、当時の代表監督だった新谷監督から、『カーブを遅くすると、もっと良い投球が出来るよ』と教えていただき、第5回のワールドカップまでそのカーブを磨いてきました。前回大会では、カーブ主体の投球で打者を抑えることが出来て、優勝に貢献出来たと思います。
――今大会でも、“エース”として期待されていることについては、ご自身ではどう感じていますか?
前回大会でMVPを獲っているので周囲からの期待はあるかと思いますが、自分では任された試合でしっかりと抑えることが出来ればと思っています。
――今回も先発投手としての起用が多くなるかと思いますが、いつも試合を作るためにどのようなことを心掛けていますか?
これも、第4回大会での新谷監督からのアドバイスなのですが、リズム良く投げることが大事だと教わりました。そこを意識するだけで、試合をしっかりと作れることが多くなりました。やっぱり先発投手のリズムが悪くなると、野手にとっては守りづらいと思うので、テンポ良く投げていきたいと思います。
――失点を与えない投球をするためには工夫していることはありますか?
私は力で圧倒出来る投手ではないので、打たせて取る投球を心掛けています。打たれた後にどう抑えることができるか。また、ピンチの場面でも自分の持ち味を出せるように、精神的に追い込まれるような考え方ではなく、楽しく投げようという意識で投げていますね。ピンチでも、マウンドの上で堂々と投げられる投手は、ベンチからも安心して見ていられる存在だと思うので、私は常にそういう存在でありたいと思っています。
――すでに多くの国際大会を経験している磯崎選手ですが、世界の強豪国相手には、どんな投球がカギになると思われますか?
やはり速い球だけでは簡単に飛ばされてしまうので、いかに緩急をつけて投げられるかだと思います。対戦するアメリカ、カナダ、オーストラリアの打者がどんなタイプなのかはまだわかりません。前回の大会では、変化球が有効だったので、前回より遅いカーブを身に付けるための練習をしてきました。それを効果的に使って勝負していきたいですね。
――それでは、最後に今大会にかける意気込みを教えてください。
日本全国の多くの野球少女に夢を与えられる活躍を見せたいと思います。ぜひ4連覇して、優勝の瞬間を皆さんに見ていただきたいです。
中島梨紗選手(アストライア)
第2回IBAF女子野球ワールドカップから、現在4大会連続で出場している中島梨紗選手(アストライア)。今大会は、副主将を務め、投手のまとめ役としても、チームを牽引。また、サイドスローに転向した中島選手にピッチングでのこだわりから意気込みまでたっぷりと語っていただきました。
――中島選手は、愛媛県松山市で開催された第3回大会も経験されていますが、日本で開催することの意義というのは、どのように捉えられていますか?
日本開催もそうですし、また、そこで優勝することで、女子野球全体が前進するきっかけにはなったと思います。女子野球を国内で広げるには大きなチャンスとして捉えています。
前回の松山で開催された時の一番の感動は、決勝戦で観客が1万人も入ったことです。今回の宮崎でもそれほどのお客さんが入ってくれることを願っています。
――今大会に向けて、中島選手はオーバースローから、サイドスローに転向しました。なぜ、投球スタイルを変えようと思われたのでしょうか?
オーバースローで投げている時からサイドスローにしてみたい気持ちがありました。オーバースローの時は、力ではないですけど、真っ直ぐ主体で、三振を狙うような投球が多かったんです。サイドに変えてからスライダー、シュート、シンカー、チェンジアップなどの変化球を習得出来たので、打者に狙い球を絞らせない投球が出来るようになったのが大きいですね。
――サイドスローならではのピッチングの楽しさは見つけられましたか?
サイドに変えて、相手の裏をかく投球をする楽しさを覚えました。打者の狙いどころを外して、サードゴロに打ち取った時は快感ですね。私の投球の理想は、7回21球で終われたら最高だといつも考えて投げています。
――強豪国の打者はパワーがある打者が多いですが、そんな強打者に対してどんな投球を見せていきたいですか?
相手の情報はないですが、前回の傾向から考えると、身長が高く、腕が長く、パワーのある打者が多かったですね。そのため、インコースを投げて詰まらせていきたいと思います。アウトローに投げても、バットが届いて、ポテンヒットを打たれてしまうので、国際大会ではインコースを使う重要性を感じています。
――中島選手は、普段の試合では主にクローザーを任されていますが、クローザーとして常に心掛けていることはどんなことでしょうか?
序盤から終盤まで、スイッチにオンにしているわけではなく、1回から3回まではベンチワークに徹底して、投げていない時でもやることはたくさんあるので、自分のことよりチームのことを優先して、終盤になるにつれて自分の準備を始めるようにしています。また、今大会は副主将も務めるので、ベンチを盛り上げて、試合に出ている選手をしっかりと声で後押ししていきたいです。ベンチでは何をすべきなのかを常に考えるということも、若い選手に伝えられたらと思いますし、それが今大会での自分の役割の一つだと思っています。
――中島選手の言葉から、代表チームへの強い思いも感じました。それでは、最後に大会にかける意気込みをお願いします。
4連覇がかかっていますが、3連覇を達成した時のメンバーとは違いますし、相手国のメンバーも違います。油断することなく、結果におごることなく、チーム一丸となって一試合一試合を大事に戦っていきたいです。