第28回ユニバーシアード競技大会(韓国・光州/野球競技は7月6日から)に出場する侍ジャパン大学日本代表の壮行試合が29日、明治神宮野球場で20,649人の観衆が見守る中行われた。
対するはNPB選抜。1軍での実績がある選手や日本球界の将来を担うであろう選手たちが集い、大学代表にとってはこの上ない手合わせとなった。
投打の中心と目される2選手が躍動
そんな試合で、エース格として期待される右腕・田中正義(創価大)が4回無安打無四球8奪三振と圧巻の投球を見せた。
3回から2番手としてマウンドに上がった田中は、前の打席で本塁打を放った先頭の山川穂高(埼玉西武)をレフトフライに打ち取る。すると、そこから圧巻の七者連続三振。この日最速153km/hを記録したストレートを中心としながらも、フォークやスライダーなどの変化球で相手打者の目先を変える器用さも見せ、プロの打者たちを面白いようにねじ伏せた。
田中は8奪三振について「追い込んでから甘くならないように心がけたのが要因かと思います」と話した一方で、「肘から先の感覚が硬く、内容は変化球の精度など納得できるものではありませんでした」と不満げな表情を見せるなど、まだまだ底知れぬ能力を窺わせた。
野手では3番・左翼手で先発した吉田正尚(青山学院大)が6回の第3打席で、ドラフト1位右腕・高橋光成(西武)から、打った瞬間に本塁打と分かる一発を右中間スタンドに叩き込んだ。
吉田正は対戦投手すべてが初対戦となる中で、「相手投手ではなく自らのスイングを解析しました。当てるだけの打撃になっていたので、1ボールから思いきり振りました」と高い対応能力を見せた。
また守備では1回に本塁へ好返球し二塁走者を刺すと、8回には左翼線を破るかと思われた長打コースの打球を横っ飛びで好捕し、守備でもチームに流れを呼び込んだ。
本番までの課題
収穫の一方で、先発に抜擢された左腕・濱口遥大(神奈川大)が2回7安打2失点と早々とNPB選抜に先制を許し、打線も繋がりを欠いて1度も追いつくことはできなかった。また、投球内容自体は悪くなかったものの、井口和朋(東京農業大北海道オホーツク)が、吉田正の本塁打で1点を返した直後の7回にダメ押しの1点を献上。「ベンチからの指示も含めてですが」と、善波監督は自らの責任も前置きした上で、「捕手の坂本(誠志郎/明治大)には、もう少し粘り強くリードして欲しかったです」と、苦言を呈した。
だが、こうしたレベルの高い課題は、善波監督や選手たちが「感謝」という言葉を何度も口にしたように、レベルの高いNPB選抜と対戦したからこそ生まれたものだ。ユニバーシアード開幕まで、残り1週間。格上相手と戦いを通して出た課題を、いかに突き詰めて行くかが大学代表の真価となることだろう。
ユニバーシアード日本代表壮行試合「侍ジャパン大学日本代表 対 NPB選抜」 試合結果