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試合レポート

西村進之介がダメ押しの本塁打含む5打点の活躍 コロンビアに勝利し3連勝

2024年9月9日

 9月9日、「第5回 WBSC U-23ワールドカップ」(15日まで中国・紹興市)に出場する侍ジャパンU-23代表が、オープニングラウンド4戦目でコロンビアと対戦し、7対1で勝利を収めた。

 試合中盤までは接戦を強いられながら、6回裏に西村進之介(ヤマハ)の3点本塁打などで一挙5点を刻んだ侍ジャパンU-23代表は、これで3連勝。オープニングラウンド・グループAでは日本、オーストラリア、プエルトリコが3勝1敗でトップとなっている。

 この日は打順が9番へと下った西村だったが、5打点を記録し、守備でも6回に浅い飛球を好捕するなど大車輪の活躍だった。
「これまではまったく応えられていなかったですし、この試合で初めてチームのために何かやれたかなというのがあるので、守備でも攻撃でもしっかりチームの勝ちに、優勝に貢献できるようにこれからもやっていきたいなと思います」
 今大会、全試合で先発として起用した川口朋保監督の期待に沿う活躍ができたかを問われた西村は試合後、そのように語った。

 最後は点差のつく形にはなったものの、試合は中盤まで勝利がどちらに転ぶかわからない展開だった。
 両チーム無得点で迎えた3回表、先発の松田賢大(バイタルネット)は1死からコロンビアの8番・ダリオ・ボレロに二塁打を与えると、続く9番のジャン・エナオに不運な内野安打を献上。1番のカルロス・アローヨに適時打を打たれ、1対0と先制を許す。
 しかしこの回の裏の攻撃で侍ジャパンU-23代表は反撃。先頭の吉川海斗(日立製作所)が初球を力強く振り抜いて左中間への二塁打で出塁し、暴投で三塁まで進む。続く林拓馬(日鉄ステンレス)も四球で塁に出ると、西村による中堅への犠飛で吉川が本塁へ生還し、試合は1対1の同点となる。

 5回裏は代打の田浦由亮(ミキハウス)が1死から鋭い当たりを放つと、コロンビアの右翼手が目測を誤り打球は頭を超え、その間に田浦は三塁へ。そして続く西村も右中間への三塁打を放ち、田浦が本塁を踏んで2対1と勝ち越しに成功する。
 6回裏には、先頭の今里凌(日本製鉄鹿島)が単打で出塁すると、4番で主将の野口泰司(NTT東日本)のタイムリーと吉川の犠飛で4対1に。
 侍ジャパンU-23代表の猛攻はこれで終わらず、西村が2死から内角高めの球に鋭く反応すると、打球は右翼ポール際のフェンスを超え、ダメ押しの3点本塁打。得点は7対1となり、勝負を決した。

 侍ジャパンU-23代表は投手陣も安定した。松田賢大は初回から球数が多くなってしまったが、それでも丁寧に投げ続けた。降板後は笹森公輔(東芝)、谷脇弘起(日本生命)が1イニングずつを無失点で切り抜け、そして最終7回は松田航瑠(日本製鉄室蘭シャークス)が3人で締めた。
 松田賢大は4回を投げ、被安打3、奪三振3、四死球1で1失点の内容だった。勝利投手は笹森となった。

 侍ジャパンU-23代表は勝利したとはいえ、今大会ここまで試合の序盤から得点を重ねて主導権を握る展開にはできていない。コロンビア戦にしても川口監督が「7対1という点差にはなりましたが4回まで1対1でしたし、どのチームが相手でも苦しい試合になるなというのが印象」と語っているように、連覇へ向けての道が平坦でないことが示されている。
 一方で、前夜に続いてこの日も7安打と、打線が徐々によくなりつつあるのは好材料だ。川口監督は、これまで全試合で4番を打ちながら安打の出ていなかった野口にようやく出た当たりを「チームに勢いの出る1本だった」と評価した。
 野口自身も、6回の適時打の際には「1本が出た喜びが強すぎて打球がどこへ行ったかわからなかったくらい」と冗談めかしつつ、興奮の様子だった。

 オープニングラウンドも残すところ1試合。次戦は日本時間10日20時から、ここまで未勝利のイギリスと対戦する。同ラウンドのグループA、Bの上位3チームずつがスーパーラウンドに駒を進める。

監督・選手コメント

川口朋保監督

「松田賢大は初めての国際試合での登板でしたが、臆することなく自分の投球を続けてくれて、最少失点の1点で凌いでくれたのが非常に大きかったです。そういう投球を続けてくれたことで、昨日(オーストラリア戦)と同じような粘りを今日のゲームでもできました。チーム発足時から初見の投手にはファーストストライクからしっかりと振っていこうと、膝下のボールを振るよりもゾーンを上げてベルト付近のボールを強く振っていこうと各打者に伝えているのですが、今日はすごく良かったのではないかと思います。(投手陣は4人の継投)初戦、谷脇が初回に3点取られて嫌な雰囲気になったのですが、今日はしっかりと切り替えて、走者は出したものの1イニングを投げてくれたので大きな収穫かなと思います」

西村進之介(ヤマハ)

「(5回の三塁打)好機だったので積極的に行こうと決めて打席入っていましたし、1個前の打席も感覚自体は悪くなかったので、そんなに大きく変えることなくいった結果が安打になってくれたので、良かったです。(6回の3点本塁打)社会人になってまだ1本も本塁打を打っていなかったのですが、ここで出て良かったです。個人的には前の2試合が無安打で全然チームに貢献できていなかったので、今日の試合では点も取れましたし、自分の点で試合を楽に進められたのは良かったと思います」

野口泰司(NTT東日本)

「(前の試合まで安打が出ていなかった)自分が打たないとチームが乗っていけないというところもあったのですが、他の選手に打たせるということ、自分の声かけなどもチームをまとめる上でできることなので、自分がというのは関係ないと割り切っていました。(6回適時打のベンチの様子)みんな盛り上がってくれたので、本当に申し訳ない気持ちと嬉しさの半々でした。守備でも投手に対してうまくコミュニケーションを取って良い配球、リードができたと感じますが、ここからもう1個、レベルが上のチームに対しては隙を詰めていかなければいけないなという課題はあります」

松田賢大(バイタルネット)

「日本国内での練習試合が中止となってしまい、代表に合流してから1試合も投げていない状況だったのでちょっと緊張と、試合の入りの部分で心配はあったのですが、ブルペンからそんなに調子が悪い感じではなかったので。先頭には四球を出してしまいましたが、盗塁で刺してくれて落ち着けたかなとは思います。(3回のピンチで川口監督がマウンドへ)”とりあえずアウトを1個ずつ取ればいいよ、1点くらいオッケーだから楽にいこう”と声をかけていただいて、実際、1点取られてしまいましたが、それで自分も落ち着けたというのはありますし、4回もピンチを抑えられたのかなと思います」

笹森公輔(東芝)

「代表チームではこの大会期間中もフィジカル強化を掲げているので、トレーナーと話し合いをしつつ鍛えながら調整をしているという感じです。中南米のチームだとパワーがあって球が浮いたときの一発を打たれる確率は高いと思うので、そこだけ少し意識をしながら、でもあまり変えすぎずに自分の投球スタイルをやっていければなと考えながら投げています。(次のマウンドへ向けて)いつも通りの感じで入って、いつも通りに投げてというルーティンや雰囲気は崩さず、とにかく自分のやることだけを意識してマウンドに上がりたいと思っています」

第5回 WBSC U-23ワールドカップ

大会概要 出場選手

大会期間

2024年9月6日~9月15日

オープニングラウンド(グループA)
2024年9月6日(金)20:00 日本 1 - 6 プエルトリコ
2024年9月7日(土)15:30 日本 2 - 0 中国
2024年9月8日(日)20:00 オーストラリア 1 - 4 日本
2024年9月9日(月)20:00 日本 7 - 1 コロンビア
2024年9月10日(火)20:00 イギリス 1 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)

スーパーラウンド
9月12日(木)20:00 日本 5 - 1 ベネズエラ
9月13日(金)15:30 ニカラグア 1 - 9 日本
9月14日(土)20:00 日本 2 - 1 韓国

決勝
9月15日(日)10:00 プエルトリコ 0 - 5 日本

開催地

中国(紹興市)

出場する国と地域

グループA
日本、オーストラリア、プエルトリコ、コロンビア、イギリス、中国
グループB
韓国、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、オランダ、ニカラグア、南アフリカ

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