※この記事は第3戦試合開始前に取材をおこなったものです。
89 鹿取義隆コーチ
――ここまでを振り返って。
鹿取:今回選ばれた投手たちはものすごくいい経験をしていると思います。日本では経験できないようなアウェー感の強い試合を体験出来てね。これまでに味わったことのないような緊張感もあっただろうし、よかったんじゃないかな。なかなか味わいたくても、味わえるものじゃないからね。この経験が後に生きてくると思いますよ。
――日本の投手力は世界に誇れるレベルでしょうか?
鹿取:ぼくは総合力では日本の投手陣が世界一だと思っています。特にコントロールという面ではね。スピードでは敵わないかもしれないけど、他の面では日本が一番だと思っていますので。そのあたりを今回の遠征でもしっかりと出せているのではないかなと思います。
――国際試合では、どういったタイプの投手が結果を出しやすい傾向があるとお感じになりますか?
鹿取:それはね、相手の国のピッチャーを見ているとよくわかりますよ。つまり対戦国のピッチャーが投げているようなボールに対応できるのがその国のバッターというのが僕の考え方なんです。となると、その国のピッチャーがあまり持っていないタイプのボールをこちらは持っていないと、なかなか抑えられないということになってくる。その国のピッチャーを見ればある程度その質問に対する答えは見てくるのかなと。
――なるほど。
鹿取:日本の投手が海外の投手に負けているのはスピード。ボールにスピードがあってツーシーム、チェンジアップの使い方がうまいピッチャーに日本の打線は苦戦するでしょ?それは日本ではそういうタイプの投手があまりいないから。そういうことを考えながら、今後も国際大会の対策を練っていくべきだと思いますね。
80 小島啓民コーチ
――新生侍ジャパン、ここまでを振り返っていかがでしょうか?
小島:小久保監督の野球に懸ける想いが選手にしっかりと浸透しているように思いますし、スタッフの皆さんもその方針をしっかり理解しながら一生懸命やっていますし、すごくいいチームだなと思いますね。
――日本野球の強みや課題はどのあたりにあるとお感じになりますか?
小島:これからじゃないですかね。相手はひとつの国じゃないわけですからね。戦い方の形もひとつではないでしょう。そういった意味でいろいろな経験を積んでいくことが今後大事になってくるのかなと思いますね。やはりチームという組織なので、最後は意思の統一や細かい部分の詰めといったことが勝敗を左右すると思います。そういう意味では定期的に遠征なり、合宿なりといったことを繰り返しながら、強化をはかっていくことが良いでしょうね。そして4年の間に、選手の振り分け、国際試合に向いている選手、向いていない選手といった適性も鑑みながら評価を下していく。そういった厳しさを伴った作業をしていくことも必要なのかなと。
――長年、多くのアマチュア選手を見てこられて、国際試合に強い選手の特徴のようなものはありますか?
小島:我々の現役の頃の時代と変わってないと思いますよ。環境とか、日々の状況は日本のように当たり前に行かないことが多いですし、食べ物だって異なるわけで。その中で普段の力を出していかなければならないのが国際大会。そういった野球以外の要素でいちいち心が乱れていてはいけないわけですよ。
――なるほど。
小島:あとは体のタフさですよね。連戦になってくるし、同じ一試合でも国内での一試合以上に消耗してしまうので。本番のWBCは今回よりももっと緊張した中でやらなければいけないわけで、心も体もタフさが要求されますよ、国際試合は。
――今回の遠征を通じ、小久保監督に対してはどのような印象を持たれましたか?
小島:初めて采配を振るったという感じはなかったですよね。初陣なのに非常に落ち着いていましたよ。しっかり選手も掌握していましたしね。
――今後について
小島:まぁ、まだ負けていないのでね。負けてからですよ、チームは。勝っている時はなにをしても大丈夫だから。一回負けてからが大事なの。そこからね、学ぶことがたくさんあるわけですから。コーチに関しては監督はチームを作っていく上でやりやすいスタッフを最終的に固めていけばいいと思う。だから今、固めてしまう必要はないと思います。ただ一人ないし二人はずっと監督と一緒に長期的にみていけるコーチが必要かなという気はしています。
88 矢野燿大コーチ
――ここまでを振り返っていかがですか?
矢野:ぼくもコーチ経験がないので、選手たちに助けてもらっている感じですけど、ピッチャーはよく頑張ってくれていますし、結果もしっかり出ている。やっぱり勝ったら嬉しいし、バッテリーが頑張って勝ったらなお嬉しいですし。別にそんなに指導したことのあるキャッチャーじゃなくても、活躍してくれると嬉しいんだよね。それは今回コーチを初めてやらせていただいて、すごく実感しましたね。
――チームの雰囲気もすごくいいですよね。
矢野:基本、26歳以下の選手ということで、年齢が選手同士近い分、すごく雰囲気もいいですし、若手を嶋が引っ張ってくれていいムードを作り上げてくれていることは僕らコーチたちもすごく感じていますね。
――チャイニーズ・タイペイの印象は今回、いかがですか?
矢野:体も大きいですし、持っているポテンシャルはすごく高いと思います。緻密で細かい野球が出来れば、日本もうかうかしていられない。それくらい、素材の良さというものは感じましたね
――日本の野球の強みはどのあたりにあるとお感じになっていますか?
矢野:日本の投手力というものは僕は世界に誇れるレベルだと思う。コーナーワーク、低めをつくことができる能力といった日本投手陣のコントロールのよさというものは世界に誇れる要素ですし、捕手のリード面の緻密さに関しても、やはり日本の能力は高い。そういった日本の強み、持ち味は今後も武器として前面に押し出していきたいですよね。
87 仁志敏久コーチ
――チャイニーズ・タイペイ戦をここまで振り返っていかがですか?
仁志:自分自身の仕事で手一杯で・・・一生懸命やっていますが、余裕がないですね自分に(苦笑)。でも、選手たちが若いということもあって、みんな一生懸命にアピールなども含めて頑張ってくれているので、気持ちよく、新鮮な気持ちでやらせていただいています。
――チームの雰囲気もいいですよね。
仁志:嶋くんも本当にキャプテンらしくみんなをまとめてくれてね。銀次もずっと大きな声を出して懸命に盛り上げてくれている。雰囲気を良くしようとみんな努力してくれているんですよね。本当にいいチームだと思います。
――今回の対戦相手であるチャイニーズ・タイペイについてはどんな印象を持ちましたか?
仁志:自分がアマチュアの頃から対戦した国ですけど、どちらかというとパワー系の印象が強いチームで。昔からいいピッチャーも必ずいるしね。今回もアメリカでプレーしているようなピッチャーがいますし、持っている能力は非常に高いですよね。バッターもパワーがありますし。
――今回の遠征を通じ、日本の野球のよさを実感したことはなにかありましたか?
仁志:今回のメンバーは年齢も若いですし、経験は浅いかもしれないですけど、日本の選手というのは、野球の教育というものを小さい頃からしっかり受けているのだなと思いましたね。やはり日本には高校野球という大きなコンテンツがあるから、多くの選手が早い時期にきちんと教育されているなと。これは日本の強みであり、日本の文化でもあると思います。
――今回サードベースコーチとして感じたことはなにかありますか?
仁志:今回はサインプレーというものはほとんどやらず、シンプルな野球に徹していた感じだったんですよ。選手たちの実力だけでやってもらった感じなので、まだチームの力としては序の口の段階。もっと細かいことを詰めた野球をしていけば、まだまだ我々にはやれることがたくさんあるので。でも選手たちが自分で感じて、動いてくれるのが一番ベンチとしては頼もしいし、ありがたいんですよ。やはり指示待ちの選手よりも自分自身で考えて、率先して行動する習慣がついている選手のほうが強いですからね。そういう点では今回のチームは若いですけど、そのあたりのことがきちんとできていましたね。個々の能力も非常に高いですし、しっかりしているなぁと感心しましたよ。
――侍ジャパンのコーチとして求められる役割はどういったところにあると思いますか?
仁志:コーチって難しいですよね。その場、その場でやれることってコーチの場合限られてきてしまうと思うので。伝える時間も含めてね。コーチの役割に関しては正直、課題は課題なのかなと思います。
――ジャイアンツ球場で浅村選手にスローイング指導をされていたのが印象的でした。
仁志:本当に期間が短いのでね…あんまり言いすぎるとうるさがられると思うし…ね(苦笑)。ただ伝えたいことはワンポイントでいいから伝えてあげたいので。なるべくうるさくならない程度に伝えていければいいのかなと思っています。
2013 BASEBALL CHALLENGE 日本 vs チャイニーズ・タイペイ
侍ジャパン選手・コーチコメント(選手編)