8月2日、「第7回 WBSC U-12 ワールドカップ」(台湾・台南市/8月6日まで)のオープニングラウンド第5戦が行われ、侍ジャパンU-12代表はスーパーラウンドの進出をかけてメキシコと対戦。12対6で勝利し、2大会ぶりのスーパーラウンド進出を決めた。
ともに、ここまで2勝2敗で「勝った方がスーパーラウンド進出」という緊張感の高い試合だったが、序盤に主導権を握った。
初戦のチャイニーズ・タイペイ戦に続いて先発を任された水野蒼介(武蔵府中リトルシニア)は「自分の投球ができ、流れを持って来られて良かったです」と振り返ったように、2人目の打者に四球こそ与えたが、持ち前の強心臓で連続三振を奪い無失点で初回を切り抜けると、その裏に打線が繋がる。
先頭の舩山大翔(東名古屋ボーイズ)が安打で出塁すると富田歩(大和ボーイズ)が四球で続いてチャンスを作る。すると1死後、4番の駒勇佑(湖南ビッグボーイズ)がレフトフェンスを軽々と超える3ラン本塁打を放ち先制に成功する。さらに続く三ツ井蓮(松戸柏リトルリーグ)、藪内雅也(堺ビッグボーイズ)の連打でチャンスを作ると、2死後に橘漣次(東久留米リトルシニア)がライト前へタイムリーを放って、この回4点を挙げることに成功した。
2回にも水野が四球と味方失策にも動じず併殺を奪って切り抜けると、その裏に初回を上回る猛攻を仕掛ける。
舩山のレフト前安打、富田の左中間へのタイムリーで5点目を挙げると、駒がセンター左に設置された巨大スコアボードの上部を直撃する2ラン本塁打を放って7点目。そして、ここでも三ツ井と薮内の連打でチャンスを作ると、和田健吾(津ボーイズ)が逆方向の左中間へ3ラン本塁打を放ちこの回6得点を挙げた。
続く3回には舩山の安打から作ったチャンスで相手失策があり、リードを11点に広げた。
そんなコールド勝ち(4回15点差、5回10点差)も見える試合展開だったにもかかわらず、4回以降はピリッとしない試合運びとなった。
3回からマウンドに上がっていた鈴木瑛人(秋川リトルリーグ)が4回表に2つの味方失策と自身の2つのボークなどから2点を返される。その裏は和田に2打席連続本塁打が飛び出し10点差に広げるも、5回表は鈴木瑛人の制球が乱れて3者連続四球を出して降板。3番手の三ツ井が犠牲フライ1点のみで抑えたものの、その裏は無得点でコールドにできず。
最終6回表は猛暑の中で三ツ井が奮闘するも、味方失策と本塁打で2点を返されると、四死球と味方失策でピンチを招きレフト前に落ちるタイムリーで得点は6点差に。
ここでなんとか失点を留めたが、最後のアウトも外野手が目測を誤りかけて「あわや長打」という危ない捕球になるなど、グループAの3位でスーパーラウンド進出を決めたものの課題が山積した。
試合後、井端弘和監督は「最悪です。(試合途中で)油断して集中を切らしてしまっている」と選手たちに憤慨。「この試合内容で半分以上の選手が喜んでいるのが情けない」と苦言を呈した。「彼らには将来もスーパーラウンドもある中でこれではいけません。もう1回気を引き締めなくては、明日からコールド負けを食らうでしょう」と猛省を促し、帰りのバスの中でもそうした旨の苦言や、選ばれた代表選手たちの自覚を持つよう選手たちに求めた。
スーパーラウンドはオープニングラウンドのグループB上位3チームと戦い、8月3日の韓国戦(日本時間正午開始予定)から3連戦を行う。グループAでベネズエラとチャイニーズ・タイペイに喫した2敗は持ち越され0勝2敗からの苦しいスタートにはなるが、大会中にも様々な成長を遂げている選手たちだけに奮起に期待したい。
選手コメント
駒勇佑(湖南ビッグボーイズ)
「(2打席連続本塁打で今大会4本塁打)1打席目は詰まった当たりでしたが打球が伸びました。これがストレートだったので2打席目は変化球を狙っていて、しっかりとらえることができました。軸足に力を溜めて打つことができています。捕手としては中盤以降に守備がだらけてしまったので、その課題を解消していきたいです」
和田健吾(津ボーイズ)
「(2打席連続本塁打で今大会3本塁打)1本目は詰まったのですが芯に当たってしっかり振れたので入りました。2本目は変化球を上手く捌けました。井端監督からのアドバイスで体を流されず待って打てと言われていたので、それがしっかりできました。変化球をポイントまで呼び込んで打つことができています。スーパーラウンドでは、打者としてはしっかり繋いで、投球では打線に流れを呼び込みたいです」
舩山大翔(東名古屋ボーイズ)
「(3安打)井端監督からの助言通りに打つことができました。(試合内容)前半は良い形でしたが後半の戦いは危ないものでした。これからもう負けられないので、教えてもらったことをしっかりやっていきたいです」
第7回 WBSC U-12 ワールドカップ
大会期間
2023年7月28日~8月6日
オープニングラウンド
7月28日(金)12:00 日本 (雨天延期) メキシコ
7月29日(土)19:30 チャイニーズ・タイペイ 3 - 2 日本
7月30日(日)19:30 日本 16 - 0 ドイツ
7月31日(月)15:30 ベネズエラ 7 - 1 日本
8月1日(火)12:00 日本 15 - 0 オーストラリア
8月2日(水)12:00 日本 12 - 6 メキシコ
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
スーパーラウンド
8月3日(木)12:00 日本 7 - 4 韓国
8月4日(金)12:00 アメリカ 0 - 7 日本
8月5日(土)12:00 ドミニカ共和国 1 - 13 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
3位決定戦
8月6日(日)15:30 日本 8 - 9 ベネズエラ
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
開催地
台湾(台南)
出場する国と地域
グループA
日本、メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、ベネズエラ、オーストラリア、ドイツ
グループB
アメリカ、韓国、ドミニカ共和国、パナマ、チェコ、ニュージーランド