第18回アジア競技大会(アジア大会)に出場している侍ジャパン社会人代表は9月1日、3大会ぶりに進出した決勝戦で韓国と対戦。0-3で敗れて銀メダルで大会を終えた。
わずかなチャンスを生かせるかの差が出た試合に
暦が9月に変わっても30度を超える蒸し暑さはそのままのジャカルタ。わずかに涼やかな風が吹き始めた午後4時に金メダルをかけた争い、韓国戦が幕を開けた。
日本の先発、左腕の富山凌雅(トヨタ自動車)は1回裏、2者続けて四球を与えると、3番キム・ジェファン(トゥサン)の中前安打で無死満塁のピンチを招く。富山は1死後、5番アン・チホン(KIA)にレフト前への2点タイムリーヒットを喫し、韓国に0-2と先制を許した。
日本は2死後、2番手に堀誠(NTT東日本)を投入。堀は2回には3者連続三振を奪い、韓国に傾く流れを引き寄せた。
しかし3回裏、韓国は2死から4番パク・ピョンホ(ネクセン)がセンターバックスクリーンに突き刺さるソロアーチを放ち、0-3とリードを広げられた。
4回以降、日本は高橋拓已(日本生命)、臼井浩(東京ガス)、勝野昌慶(三菱重工名古屋)、佐竹功年(トヨタ自動車)の4投手を小刻みに投入すると、いずれも韓国打線に二塁を踏ませない好投を見せる。
一方の打線は韓国投手陣から1回表に北村祥治(トヨタ自動車)が放ったライト前ヒット1本に抑えられ、ゲームは進んでいった。
スコアボードに両チーム0が並び、迎えた最終回。日本は代打に佐藤旭(東芝)、地引雄貴(東京ガス)を送るも出塁には至らず、試合はそのまま0-3で韓国が勝利し、日本は銀メダルで大会を終えた。
守りの野球は果たすも攻撃面では完敗
試合後、石井章夫監督は「守りは韓国よりも良かった」と評価するも攻撃では5回に無死から相手のエラーで森下翔平(日立製作所)が出塁後、後続が併殺打に倒れた場面について、「何かやりようがあったのではないかと、冷静になって考えてみたい」と自らの采配を振り返った。
石井監督は代表チームについて「6月の選手招集以降、彼らが自分たちでチームを作った」と話し、「きのう(31日)のチャイニーズタイペイ戦は選手たちの勝利」とメンバーのことをたたえた。
日本は今大会全6試合を4勝2敗。2敗はいずれも韓国との対戦でトッププロとの実力差がそのまま結果に表れた。広州、インチョン大会と銅メダルだった日本。今回のジャカルタ大会は目標だった金メダルには届かなかったが侍ジャパン社会人代表は健闘し、3大会ぶりの銀メダルを手にした。
このチームでの戦いを振り返って得たもの
決勝戦後、各選手に「このチームでの戦いで得たもの」について聞いた。
投手
荒西祐大(Honda熊本)
「プロが揃った韓国から2三振を奪い、今後の自分の野球人生において相当の自信になった」
堀誠(NTT東日本)
「本格的な国際大会で一球の重さと長打の怖さを感じた。日本では経験出来ないことだった」
勝野昌慶(三菱重工名古屋)
「韓国という強いチームを相手に久しぶりにいい投球が出来た」
富山凌雅(トヨタ自動車)
「いろんな意味でいい経験が出来た」
捕手
辻野雄大(Honda)
「チームが優勝という目標に向かっていく中で自分の役割を考えた。最後の最後にチームの一員になれた」
木南了(日本通運)
「外国人選手がどういうところに強いかという特徴を知ることが出来た。得たものをチームに生かしたい」
細山田武史(トヨタ自動車)
「若い選手が思いっきり出来る環境を作れた」
内野手
堀米潤平(東芝)
「社会人野球のトップに選ばれたことは人生の財産になった」
青柳匠(大阪ガス)
「この年齢(28歳)で代表に呼んでもらって素晴らしい経験になった。代表チームでは何が求められるのかを後輩に伝えたい」
田村強(JR西日本)
「日本にはいないような選手を見て、自分の小ささを感じた。勉強になった」
森下翔平(日立製作所)
「日本代表として規模の大きな大会に出ていい経験になった」
外野手
近本光司(大阪ガス)
「日常では味わえないやりがいと誇り、責任感、そしてプレッシャーとの戦いだった。大阪ガスの代表としてもっと結果は欲しかった」
松本桃太郎(Honda鈴鹿)
「どういうところが自分の技術不足か明確になったことが収穫だった。すべてにおいて得たものしかなかった」
第18回 アジア競技大会
大会期間
2018年8月26日~9月1日
予選ラウンド(グループA)
8月26日(日)11:00 日本 15 - 0 パキスタン
8月27日(月)16:00 日本 17 - 2 中国
8月28日(火)11:00 タイ 0 - 24 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
スーパーラウンド
8月30日(木)14:00 日本 1 - 5 韓国
8月31日(金)20:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 5 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
決勝
9月1日(土)18:00 韓国 3 - 0 日本
※開始時刻は日本時間(ジャカルタ:時差-2時間)
開催地
インドネシア(ジャカルタ)