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試合レポート

26得点で香港にコールド勝ち サイクル安打の根尾を指揮官も絶賛

2018年9月3日

「第12回 BFA U18 アジア選手権」が9月3日に宮崎で開幕した。侍ジャパンU-18代表は、香港との一次ラウンド初戦を26対0の5回コールドで白星発進した。打線は19安打の猛攻で、投げては先発の木更津総合・野尻幸輝が3回無失点で試合を作り、星稜・奥川恭伸(2年)は1安打を許すも1回無失点、最後は明徳義塾・市川悠太が5回を三者連続三振で締めている。

 大舞台で持ち前の勝負強さを発揮したのは「五番・右翼手」で起用された大阪桐蔭・根尾昂だった。日本は初回の攻撃、三者凡退と明らかに硬さが見られた。2回裏に先頭の藤原恭大が四球を選ぶと、続く根尾は三塁線を鋭く抜けるチーム初安打(三塁打)が初タイムリーとなった。日本はこの回、打者24人で19得点。勢いに乗った根尾は2打席目に右越えのソロ本塁打、3巡目となった3打席目では中前適時打を放っている。

 1イニング3本のヒットで、サイクル安打に王手をかけると、3回裏二死二塁から左前への安打。相手の左翼手がもたつく間に、積極走塁で二塁進塁。スコアボードは「Hランプ」。二進の判断が注目されるところであったが、公式記録員からのアナウンスは「今の記録はツーベースです!! ツーベースです!!」。この瞬間、サイクル安打が達成された。4回にも左越えの二塁打を放って、5打数5安打5打点と、チームの初戦白星に大きく貢献した。

 初安打、初タイムリー、初本塁打とチームをけん引した背番号5に対して、永田裕治監督は「さすが根尾ですね!!」と目を丸くさせた。

「初回はアジア大会の雰囲気にのまれた。根尾がチームを活気づけてくれた。1回は振り過ぎ。ハーフ、パンチショットでいいからミートしていこう、と。(根尾は)引っ張らずに逆方向。引き付けて打てる、らしさが出た」

 人生初のサイクル安打にも、根尾は試合後はいつも通り、冷静に振り返っている。

「意識したのは(第3打席で)中前打を放ってからです。とにかくファーストストライクを振っていこう、と。チームでも徹底していたことです。本塁打は甘いボールが来たので、自分のスイングができた。二塁打はいつも単打で2つを狙いにいくとずっと言ってきたので、実践できたのは良かったです」

 5安打のうち4安打が初球打ちだった。積極的なスイングでも打線にリズムをもたらせた。

 大会前、最後の実戦機会となった宮崎県高校選抜との壮行試合(8月31日)では無安打。「しっかり振ること。当てにいくスイングになると、上体だけになる。体全体で振ることを大事にしてきた」。2日間の練習でしっかりと課題と向き合い、修正してきたのである。

 根尾のポテンシャルには永田監督も「対応力、頭も良い。学習能力がある」と感心しきり。さらには人間性にまで踏み込んだ。「彼をずっと見ていますが、人の目を見て話をする。そして必ず、あいさつをする。根尾で負けたらしゃあないと思える。決して言葉数が多いほうではないが、選手間でも一目置かれている」。言葉で引っ張る主将・中川卓也とは別の意味でのリーダーシップに、全幅の信頼。頼もしげに根尾は言った。「国際大会はけん制やモーション、怪しい投手もいたりする。そこにビックリしていてはいけない。もっと強いチームがあると思う。点を取れないときに、打てるようにしたい」。どんなときもブレずに、平常心を保ってプレーする根尾が、高校日本代表の精神的支柱となる。

監督・選手コメント

永田裕治監督

「野尻はテンポ、コントロール、変化球も良い。スピードはないが、打たせて取る投球ができるということで、先発に決めました。奥川と市川はここまで結果が出ていなかったので、自信をつけさせてやろうと、真っすぐだけでいかせた。唯一、夏の甲子園に出ていない市川もようやくここに来て、調子が戻ってきた。最後まであきらめんと、集中してやる!! それが日本の野球。一つずつということで、ここまでやってきた。明日からも一つずつ頑張っていきたい」

藤原恭大外野手

「フォームを意識して、真っすぐがきたら、自分のスイングをしようと思っていた。次につながる打撃ができたと思います。根尾のサイクルもすごいですが、すべてジャストミートしていた。良いスタートが切れたのではないでしょうか」

小園海斗内野手

「(初回三飛は)遅い球に待ち切れなかった。力んでしまった。次の打席に修正できたのでよかった。初戦の入りが大事。この流れのまま集中して全力プレーを心掛けていきたい」

吉田輝星投手

「投げたい気持ちが強まってきた。(万全の状態から比べて)80パーセントくらいはきている。甲子園から実戦感覚が薄れている。細かい部分を埋めていければ、100パーセントに近づける」

第12回 BFA U18アジア選手権

大会概要 出場選手

侍ジャパン壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表

大会期間

2018年9月3日~9月10日

グループA

9月3日(月)18:00 日本 26 - 0 香港
9月4日(火)18:00 スリランカ 0 - 15 日本
9月5日(水)18:00 日本 1 - 3 韓国

スーパーラウンド

9月7日(金)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
9月8日(土)18:00 日本 (中止) 中国

3位決定戦

9月10日(月)13:00 日本 14 - 1 中国

開催地

日本(宮崎)

出場する国と地域

グループA
日本、香港、韓国、スリランカ

グループB
中国、チャイニーズ・タイペイ、パキスタン、インドネシア

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