7月29日、東京オリンピックを戦っている野球日本代表は休養日として体を休めた。一部の選手と建山義紀投手コーチは東京都の大田スタジアムで自主練習し、夜には稲葉篤紀監督らが横浜スタジアムで行われたイスラエル対韓国の試合を視察した。
最終回に逆転し4対3のサヨナラ勝ちを収めた開幕戦のドミニカ共和国戦から一夜明けて、稲葉監督は報道陣に対応。「私自身の反省点が多い試合で選手に助けられました」と振り返り、デーゲームの暑さと長距離・長時間のバス移動(福島から横浜)で「選手たちは非常に疲れていました」と話した。
一方で、オープニングラウンドで1位通過して決勝トーナメントを比較的楽な日程で戦うことを思い描いているため、「負けてしまうとメキシコ戦も非常にプレッシャーのかかる試合になってきますし、非常に大きな1勝だったと思います」と勝利の意味を噛みしめた。
苦戦ゆえの勝利だった面も「チームにとってもまた一つになっていく勝ち方だったんじゃないかなと思います」と結束力をより強めたのは間違いないだろう。
その中で苦戦の要因については「(オリンピックという舞台での)一発勝負の中でメルセデス投手(巨人)の気持ちが入っていたと思いますし、選手たちも“シーズン中よりも球が強かった”と言っていました。これが国際大会(の難しさ)なのかなと思いました」と分析し、「我慢比べの中で我慢してやっていくしかない」と心身の体力や忍耐力の重要性もあらためて感じたという。
6回88球を投げて無失点だった山本由伸(オリックス)を交代した投手起用については「100球前後でという話を建山義紀コーチともしていました。次(の登板日)も非常に大事な試合なので、そういう意味でもいいところで終わっておくという考え方にしていました」と振り返り、7回からマウンドに上がって先制点を含む2失点を喫した青柳晃洋(阪神)については「変則投手は中南米の打者に通用するのではないかと起用しましたが、中継ぎという慣れない役割かつ緊迫した場面で投げさせたというのは非常に申し訳なかったです」と擁護した。
攻撃面では同点となるセーフティースクイズを決めた甲斐拓也(ソフトバンク)について「難しい場面で、当然相手もスクイズというのは頭に入っていた中でよくやってくれたと思います」と称えた。
また反撃の糸口となった9回一死からの柳田悠岐(ソフトバンク)の内野安打についても「ギータ(柳田)が全力疾走をしてくれた。常に全力で戦うことが最後の勝負に繋がっていくんだなと、あらためて感じました」と振り返り、「隙を見せず、相手の隙を突くという野球ができたのではないかなと思います」と手応えを語った。
30日は公式練習(非公開)を大田スタジアムで行い、31日12時から横浜スタジアムでオープニングラウンド最終戦となるメキシコ戦に臨む。
全力プレーの徹底と結束力で掴んだ貴重な白星に続いての連勝を果たし、1位通過での決勝トーナメント進出を狙う。