8月2日、東京オリンピックを戦っている野球日本代表は横浜スタジアムにて行われたノックアウトステージ第1戦で、MLBの若手有望株やNPBで活躍経験のある選手らが揃うアメリカと対戦。
最大3点差をつけられる苦しい戦いだったが、終盤に追いつき、最後は延長タイブレークの末、7対6でサヨナラ勝ちを収めて準決勝進出を果たした。
日本の先発マウンドに上がったのは、2008年の北京五輪を経験している投手最年長の田中将大(楽天)。1回と2回はアメリカ強力打線に長打を許すも、後続を断ち切って無失点に抑える。
打線は1回と2回ともに併殺などでチャンスを生かせなかったが、3回に坂本勇人(巨人)の二塁打と吉田正尚(オリックス)のセンター前安打で先制に成功。さらに2四球でチャンスを広げると、柳田悠岐(ソフトバンク)の内野安打で2点目を挙げた。
だがその後はシーソーゲームに。田中は直後の4回表に3本のタイムリーで逆転を許して降板。続くピンチは岩崎優(阪神)がきっちり抑え、その裏に坂本の同点打で追いつくも、5回表にこの回からマウンドに上がった青柳晃洋(阪神)が21歳の有望株である4番・カサスに3ラン本塁打を浴びた。さらにピンチは続いたが、菊池涼介(広島)の華麗なプレーで併殺を完成させ、追加点を許さなかった。
そして5回裏、ついに主砲が目覚める。今大会無安打だった4番・鈴木誠也(広島)がレフトスタンド上段に飛び込むソロ本塁打。「打ったのはストレートです。角度もあり、手応えもありました」と会心の一発だった。さらに浅村栄斗(楽天)の二塁打と菊池の内野安打で、すぐさま1点差に詰め寄った。
その後は投手陣が粘る。6回と7回は初登板の千賀滉大(ソフトバンク)が「この場面に使っていただいたことを意気に感じて投げました」と5三振を奪う力投。「どんなワンバウンドでも止めてくれたおかげです」と初の先発マスクを被った梅野隆太郎(阪神)に感謝した。
さらに8回は山﨑康晃(DeNA)、9回は初登板の大野雄大(中日)が3人で抑えて、反撃を待った。
すると9回、アメリカのマウンドに上がったマクガフ(ヤクルト)から1アウト後に鈴木が四球を選ぶと、続く浅村がライト前に運んで一、三塁に。このチャンスで柳田が高いバウンドのセカンドゴロを打って、鈴木が生還。ついに同点に追いつき、決着は無死一、二塁からが始まる延長タイブレークに持ち込まれた。
10回表のマウンドに上がったのは3試合連続の登板となる栗林良吏(広島)。プロ1年目の右腕だが稲葉篤紀監督から信頼を置かれる右腕は、物怖じせずに三者凡退に抑えて無失点で凌いだ。
その裏、日本は野手最後の出場となった栗原陵矢(ソフトバンク)が代打でバントを1球で決めて、二、三塁とすると、メキシコ戦も3安打を放つなど打撃好調の途中出場・甲斐拓也(ソフトバンク)が、アメリカが敷いた「内野5人シフト」のはるか上を行くライトフェンスまで飛ばす一打を放ってサヨナラ勝ちを決めた。
登録24選手中20選手を使う総力戦を制して3連勝となった日本。8月4日19時から横浜スタジアムで行われる準決勝は宿敵・韓国と対戦する。
監督・選手コメント
稲葉篤紀監督
「選手たちが諦めることなく全力で戦ってくれました。(千賀について)これまで2試合で投げる場面が無く、どこかで起用しようと思っていました。彼らしい投球をしてくれたので次に繋がると思います。(鈴木について)彼の中でもほっとした部分はあるんじゃないでしょうか。3点を取られた後でしたので、チームとしても元気が出るような一発でした。(10回について)栗林もよく0点に抑えてくれましたし、栗原もよくバントを決めてくれました。(サヨナラ打の場面は)内野5人のシフトでゴロやスクイズを警戒されていたのでヒッティングのサインでした。これからも我々の野球をしていきます」
田中将大(楽天)
「逆転するんだという良い雰囲気がベンチには常にありました。(投球を振り返り)味方が得点してくれた後に失点してしまい流れを悪くしてしまいました。バッテリーでも反省をして合致するところがあったので、前を向いてまた準備していきます」
甲斐拓也(ソフトバンク)
「頭の整理をして打席に入ることができました。内野に5人守るシフトだったので初球から振りに行こうと打ちました。栗林が初球から良い球を投げてゼロに抑えてくれましたし、チーム全員が諦めずに戦った結果です。また切り替えて次の試合に向けて準備していきます」