11月18日、「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(11月19日まで東京ドーム)の3日目が行われた。既に開幕2連勝で決勝進出を決めていた侍ジャパンはオーストラリアと対戦し、10対0の8回コールド勝ちを収めて決勝戦に弾みをつけた。
この日の始球式には、「遠方の高校に進んで家を出るので、妹と2人で思い出を残したい」などの思いが汲まれ、カーネクストにより推薦された鈴木ひよりさん(中学3年)・かのんさん(小学6年)の姉妹バッテリーによる始球式が行われた。登板前にはそれぞれがファンである秋広優人(巨人)と牧秀悟(DeNA)から激励された効果もあってか、見事なストライク投球。スタンドのファン、ベンチの選手たちから大きな拍手が送られ、温かい空気に包まれて試合は始まった。
初回、オーストラリア先発のジャック・ ブシェルから、初先発で1番に起用された藤原恭大(ロッテ)の内野安打、岡林勇希(中日)が四球を選びチャンスを作ると、好調続く小園海斗(広島)がセンター前にタイムリーを放って、先制点を挙げた。
3回には、この回からマウンドに上がったキーラン・ホールから岡林と小園の連打でチャンスを作ると、相手捕手のパスボールで1点を追加。さらに、この日6番から4番に昇格した万波中正(日本ハム)が逆方向のライトへ痛烈な当たりの三塁打を放ち、この回2点目。この一打を井端弘和監督は「こういう打球が1打席でも多くなってくれば、打率も本塁打の成績も上がってくるでしょう」と称えた。
また、4回には門脇誠(巨人)の内野安打、藤原の四球、岡林のピッチャー強襲安打などで満塁のチャンスを作ると、小園が冷静に四球を選んでリードを4点に広げた。
投げては、先発のマウンドに上がった早川隆久(楽天)が「めちゃくちゃ緊張しました」と振り返りながらも、先頭打者に11球を要した場面を「そこで四球を出さず抑えられたことが大きかったです」と、以降は快調に飛ばしていき、5回を投げて1人の走者も許さず7奪三振と完璧な投球を見せた。
6回以降も侍ジャパン打線の勢いは止まらず。6回は小園の併殺打の間に1点、7回は藤原と石橋康太(中日)の連続タイムリーで3点、8回は野村佑希(日本ハム)のタイムリー二塁打で2点をダメ押すなど、10点を積み重ねた。
投手陣は、2番手の吉村貢司郎(ヤクルト)が1回3分の2を1人の走者も出さず、7回2死からマウンドに上がった佐藤隼輔(西武)は連続四球と安打で満塁のピンチを招いたがセカンドフライに抑えてピンチを脱出。最終回は清水達也(中日)がサードフライと連続三振に抑えて試合を締めた。
これで侍ジャパンは3連勝で決勝進出。チャイニーズ・タイペイ戦は8回まで1得点、韓国戦は合計2得点のみだったが、この日は初先発の藤原が3安打を放つなど13安打を記録し、状態は明らかに上向きだ。選手たちの動きについて井端監督は「(投打ともに)プロになって以降初めての国際試合という選手が多い中、レギュラーシーズンと変わらずできています」と語るように、若い選手たちのハツラツとした躍動が頼もしい限りだ。
19日の決勝戦(18時開始予定)は、1勝1敗で並びこの後の第2試合で戦う韓国対チャイニーズ・タイペイの勝者と対戦する。
先発投手は満を持して、井端監督が「球の強さと実績は一番」と評する今井達也(西武)を予告。決勝戦でも投打を噛み合わせて、大会連覇を掴みたい。
監督・選手コメント
井端弘和監督
「(小園がここまで打率5割の活躍)想定通りです。どこの打順でも打てますし、特に走者を置いての打撃はプロ野球で何年もレギュラーを張っている選手よりも上手いと思います。(投手陣について)早川投手もそうですし、全員が大会に向けて状態を上げてくれました。(決勝戦に向けて)明日は総力戦。WBC優勝から始まった1年のプロ野球界最後の試合なので優勝して終わりたいです」
早川隆久(楽天)
「チェンジアップの抜けと真っすぐのコンビネーションが良かったです。捕手の古賀くんが僕の良さを引き出して、打者を見ながらリードしてくれたおかげです。普段のシーズン中にはやらないような配球をして良い結果が出たので、来季に向けて引き出しが1つ増えました」
小園海斗(広島)
「どの打順でもできる準備をしてきました。初見の投手ばかりとの対戦ですが、映像も準備していただいていますし、先に打席に立った選手の声やネクストバッターズサークルからの研究も大事にしています。その中で積極的に振りに行くことができているので、それが良い結果に繋がっています。これで満足することなく明日も打ちたいですし、勝って全員で笑って終わりたいです」
藤原恭大(ロッテ)
「(この日3安打)これまでの2試合で出場機会はありませんでしたが、しっかり準備してきたので、やってやるぞという気持ちでした。なんとか結果を出したかったので良かったです。日々練習して、侍ジャパンの勝利にもっと貢献していきたいです」