3月5日、「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs オランダ」の第1戦が京セラドーム大阪で行われ、侍ジャパンはオランダに5対0と快勝した。
最初に球場を大いに沸かせたのは、細川成也（中日）とともに現役ドラフト経験者で初の侍ジャパン選出となった先頭打者の水谷瞬（日本ハム）だ。アマチュア時代の選抜チームの経験すら無いと話す初の代表入り。「ドキドキでした」と振り返りながらも、ソフトバンクで共にプレーし自主トレも共にするなど師と仰ぐ松田宣浩野手総合コーチの「1打席目が大事」との助言を受け、甘く入った148キロのストレートをフルスイング一閃。打球はグングンと伸びバックスクリーン左へ飛び込む先頭打者本塁打に。ベンチに戻り祝福を受けると、最後は客席に向かって松田コーチの現役時代のパフォーマンスである「熱男」ポーズで喜びを存分に示した。
その後はなかなか得点できずにいたが、6回には万波中正（日本ハム）の二塁打などで作ったチャンスで髙部瑛斗（ロッテ）がレフト前に2点タイムリーを放って2点を追加。8回には廣瀨隆太（ソフトバンク）の安打などで作ったチャンスで細川と海野隆司（ソフトバンク）がタイムリーを放って2点をダメ押した。
投手陣はオランダ打線を圧巻の1安打完封リレー。
先発の宮城大弥（オリックス）は、今回の侍ジャパンの選手で唯一のWBC経験者だけあって落ち着いた投球を見せた。最速151キロのストレートから最遅93キロのスローカーブまでの緩急とキレ味十分の投球でオランダ打線を寄せ付けず。3回を1人の走者も出さずに完璧に抑えた。
2番手の塹江敦哉（広島）は先頭打者に死球を与えながらも、左サイドハンドから力強い球を次々と投げ込んで、MLB通算134本塁打の実績を持つ左の強打者ディディ・グレゴリアスをセカンドゴロに抑えるなど1イニングを無失点に抑えた。
また、3番手の橋本侑樹（中日）も代表常連のドウェーン・ケンプにレフトフェンス直撃の二塁打を打たれ無死二塁のピンチを背負ったが後続の3人をしっかり抑えた。
中継ぎ左腕を課題に挙げていた井端弘和監督は「塹江投手はボールも速かったですし、サイドから投げる球に左打者は苦戦していました。橋本投手も入りのストレートを打たれてしまいましたが、その後をきっちりと抑えていて良かったです」と評価した。
6回からは普段は先発を務めている今井達也（西武）が登板し、最速158キロを計測するなど、2回無失点3奪三振と圧倒。球数制限のあるWBCを見据え、先発投手にも第2先発や中継ぎの役割が与えられる可能性がある中、先発同様の力強い投球を見せた。
そして8回は石井大智（阪神）、9回は常廣羽也斗（広島）が勢いとキレのあるボールで押し、ともに三者凡退に抑えて試合終了。オランダ打線に反撃の余地すら与えなかった。
第2戦は京セラドーム大阪で3月6日18時半試合開始予定。予告先発は、侍ジャパンが奪三振能力の高い種市篤暉（ロッテ）、オランダが第1回大会を含むWBCやプレミア12、北京オリンピックにも出場している37歳のシャイロン・マルティスと発表されている。
監督・選手コメント
井端弘和監督
「各投手が素晴らしい投球をしてくれましたし、水谷選手がファーストスイングでホームランを打ってくれて良い滑り出しになりました。途中、2・3番手の投手が動くボールや良いチェンジアップを投げていましたのでボール球も振らされましたが、まだこの時期は打席数も少ないので振っていって良かったと思います。水谷選手は、構えがシンプルでじっとしているところからパンとバットが出てくるタイプなので、対応力が高いイメージです。その確率を上げてくれたら球界トップクラスになる選手だと思っています」
水谷瞬（日本ハム）
「1番で起用していただいたので、チームに勢いを持ってこられる打席にしようと思って打席に入りました。1球で仕留めようと準備したことが結果に繋がりました。明日も良い準備をして臨みたいです。（熱男のポーズについて）尊敬する大先輩で師匠でもある松田さんとまた同じユニホームを着られましたし、ずっとメッセージもいただいていたので、熱男をやらせてもらいました。（来年のWBCに向けて）まだまだ力不足だと思っているので、この1年間レベルアップして、選ばれるのかどうかというところに到達したいと思っています」
塹江敦哉（広島）
「今日はストライクゾーンで勝負できる球を選択しました。グレゴリアス選手との対戦を楽しみにしていたので、タイミングが巡ってきてすごく嬉しかったです。相手を意識するわけではなく、自分のボールがどのくらい相手に通用するかという気持ちで投げました。（来年のWBCに向けて）あまり意識はしていないです。今回貴重な機会をいただけたので、今シーズン1年間でまた成長して、また機会があれば嬉しいなと思います」
今井達也（西武）
「1イニング目は構えたところに投げられるイメージが湧かなかったですが、2イニング目は修正できました。今日はストレートで外国人選手を押せるかを試しました。ファウルも多かったですし良かったです。（来年のWBCに向けて）メジャーで活躍されている選手も多く、そうした方たちと球界を代表してプレーできるので、経験してみたいなと思います」
エバートヤン・トフーン監督
「チャンスはあったがモノにできませんでした。（2番手で登板し2回3分の1を無失点に抑えた25歳のエリック・メンデスは）これまでも素晴らしいパフォーマンスをしてくれていたので、今後も続けてくれると信じています。（明日に向けて）今日は初めての環境でしたが慣れたと思います。明日も大歓声の前でプレーすることを楽しみにしています」
ドウェーン・ケンプ
「（チーム唯一の安打を放つ）しっかりと球を見極めて打つことができました。侍ジャパンの投手陣は様々なモーションや球種で投げるので、常に挑戦や調整を強いられます。ただ、勝つためにここへ来たので、しっかり準備していきたいです」
