3月6日、「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs オランダ」の第2戦が京セラドーム大阪で行われ、侍ジャパンはオランダに9対0で大勝した。







試合前の始球式では、「RAXUS こどもたちの夢応援プロジェクト」で選ばれ、1年前に病気を発症し長期療養中の小学6年生・範咲希(のり・さき)さんがマウンドに上がった。「入院中にお世話になった主治医の先生、看護師さん、リハビリの先生、院内学級の先生に感謝の気持ちを込めて」「様々な病気の子どもたちに勇気を与えられる存在になれるように」という思いで投じた球は、捕手役を務めた宮城大弥(オリックス)のグラブへノーバウンドで収まり、スタンドから大きな拍手が送られた。
その後始まった試合では、先発の種市篤暉(ロッテ)がこの日最速155キロのストレートや落差の大きいフォークなどで相手打線を圧倒。2回を投げても1人の走者も出さず2三振を奪った。2023年の第5回WBCではサポートメンバーとして侍ジャパンのユニホームに袖を通したが、井端弘和監督も「びっくりするようなストレートを投げていました」と振り返ったように、来年のWBCでのメンバー入りに向けて大きなアピールを果たした。
2番手の大津亮介(ソフトバンク)は「緩急をテーマにしていました」と話したように、最速151キロのストレートにスライダーやチェンジアップなど多彩な変化球が冴えわたり、2回を投げて出塁を許さず3三振を奪った。
一方、打線は4回まではオランダ投手陣の的を絞らせない投球の前に得点を奪えずにいたが、5回にチャンスが生まれる。
先頭の森敬斗(DeNA)が四球を選んで出塁すると、二塁へ盗塁を決めてチャンスを作る。続く太田椋(オリックス)のファーストゴロで森が三塁へ進むと、佐藤輝明(阪神)のライトへの犠牲フライと右翼手の失策で森が先制のホームを踏み、佐藤も三塁へ。
さらに、前日に先頭打者本塁打を放った水谷瞬(日本ハム)が痛烈な当たりをレフトへ放つと、相手左翼手は捕れずに後逸し三塁打に。続く万波中正(日本ハム)は犠牲フライを放ち得点を重ねていった。
そして、この日一番の歓声を浴びたのは大山悠輔(阪神)だ。6年ぶりの代表選出で前日から安打が無かったが、甘く入ったストレートを見逃さずに振り抜くと、レフトポール際まで勢いよく打球が飛んでいきソロ本塁打に。侍ジャパン初アーチとあって「めちゃくちゃ嬉しいです」と喜んだ。
この後も岸田行倫(巨人)の内野安打や相手投手の連続暴投で、この回一挙7得点のビッグイニングとなった。
このリードをもらった投手陣は、5回を齋藤友貴哉(日本ハム)、6回を河野竜生(日本ハム)、7回を杉山一樹(ソフトバンク)が1人の走者も許さず抑えていく。
8回には、太田と髙部瑛斗(ロッテ)の安打でチャンスを作ると、海野隆司(ソフトバンク)と梶原昂希(DeNA)のタイムリーで2点をダメ押し。
8回と9回は曽谷龍平(オリックス)が登板。8回に2死からデーソン・クロースにサードへの内野安打を打たれて完全試合リレーとはならなかったが、後続の打者は1人も出塁を許さず試合を締めた。







井端監督は2試合を振り返り、投手陣については「仕上がりが良く、素晴らしい投球をしていたので、高いレベルを継続していって欲しいなと思います」と期待した。
野手陣については「投手が頻繁に代わってくる中での対応をもっと上手くしていかなくてはいけません」と課題を挙げ、「本塁打はもちろん、二塁打や三塁打も得点に繋がりやすいので必要になってくると感じました」「失投を逃さず、ひと振りで仕留めることが大事になっていきます」と、あらためて長打の重要性を説いた。
そして、ポジション問わず「どの選手にもチャンスがある。どんどん良い選手が出てくればいいなと思います」と、さらなる底上げを望む。特にメジャーリーガーがいない内野陣については「今回、二遊間の選手をたくさん呼びましたし、今回呼んでいない選手にも良い選手はいますので、しっかり見極めていきたいです」と語った。
ちょうど1年後の2026年の3月6日は、2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™の侍ジャパンの初戦が予定されている。この2試合で掴んだ収穫と課題も糧にし、大会連覇に向けた重要な1年が進んでいく。
監督・選手コメント
種市篤暉(ロッテ)
「三振を取るのが僕の特徴なので、そこをアピールできました。(来年のWBCに向けて)まずは1年間、先発ローテーションを守って結果を出すことが一番です。昨年は今井達也に奪三振王を取られたので、今年は勝てるように頑張っていきたいです」
大山悠輔(阪神)
「前の打者が良い流れで回してくれたので僕は自分のスイングを思いきりするだけでした。すごく緊張感のある中で打てたので、シーズンに繋げていきたいです。(来年のWBCに向けて)まずは今年のシーズンなので、気持ちをしっかり切り替えて、今回の代表で学んだことをしっかり生かしたいです。(始球式を務めた範咲希さんについて)僕も勇気をもらいましたし、いろんな人が応援してくれていることを力にまた明日から頑張ろうと思います」
エバートヤン・トフーン監督
「この2日間、素晴らしい経験をできました。侍ジャパンが素晴らしい投手陣だということは分かっていましたが、さらに良くなっているように感じました。ここをスタートにしてWBCに向かっていきたいです」
フアンカルロス・スルバラン
「(2回1安打無失点に抑える)非常にハッピーです。高いレベルの投球ができました。侍ジャパンの打者のように高いレベルの相手と戦う中で自分を高めていきたいです」