9月24日、「第31回 BFA アジア選手権」(中国・平潭で9月28日まで)のオープニングラウンド グループA第3戦が行われ、侍ジャパン社会人代表は平潭公園で中国と対戦。13対0の7回コールド勝ちで3連勝し、グループAの首位通過を決めた。






前日のパキスタン戦に勝利し連勝で既にスーパーラウンド進出を決めていた侍ジャパンは、同じく連勝の開催国・中国とグループA首位通過をかけての戦いとなった。
メインスタジアムである平潭公園での試合はこの試合が初めてということもあり、トレーナーの佐藤照己氏は球場を一周しフェンスの硬さをチェックするなどスタッフ陣も準備を徹底した。
先発のマウンドには初招集の右腕・近藤壱来(JR四国)が上がると、初回をわずか8球で三者凡退に斬り完全アウェイの球場を黙らせた。この投球に捕手の辻本勇樹(NTT西日本)は「東京での直前合宿から相変わらず調子が良かったです」と太鼓判を押した。
打線はこの日も1番から5番は変わらない不動のオーダーを組んだ侍ジャパンは、初回に1番・熊田任洋(トヨタ自動車)が中国先発の右サイドスローの投手からレフト線へ落とすツーベースを放ち出塁すると、2番・添田真海(日本通運)は死球でつなぐ。ここで試合前の円陣では声出しを担当し、気持ちも乗っていた3番・網谷圭将(ヤマハ)がレフト前へのタイムリーを放ち3試合連続で初回に得点する。さらに内野ゴロ間にも1点を追加し、2回には熊田がセンター前に弾き返し3点目を奪って主導権を握った。
援護をもらった近藤は2回、先頭打者のファウルフライを三塁手・佐藤勇基(トヨタ自動車)が背走しながら捕球するスーパープレイで1死。後続に内野安打を許したが、空振り三振、ショートゴロでアウトを重ねる。3回、4回は高めの直球を有効に使い三者凡退とストライク先行のテンポの良い投球をみせる。結局6回を投げ二塁すら踏ませず、被安打わずか2の無失点と中国打線を封じ込めた。また驚異的だったのは対戦した打者19人全員に対し、初球でストライクを取ったことだ。川口監督が求めるストライクゾーンで勝負する投球を体現してみせた。
3回、4回の打線はつながりを欠きフライアウトが増え得点はできず。それでも5回に先頭の添田がセンター前安打で出塁し、盗塁を仕掛けると相手の暴投も重なり三塁へ一気に進塁しチャンスメイク。ここで4番・逢澤崚介(トヨタ自動車)に回り内野ゴロ間に追加点を挙げる。






6回には強力打線がこの日も火を吹いた。守備でも流れに乗る先頭の佐藤がレフトへの完璧なソロ本塁打を放つと、矢野幸耶(三菱重工East)がツーベースで出塁。水谷祥平(JR東海)も続きレフト左へのタイムリーを放って着実にリードを広げる。火のついた打線はその後も攻撃の手を緩めずに、網谷、逢澤の中軸が連続で2点タイムリーを放つ。代打・和田佳大(トヨタ自動車)、西村進之介(ヤマハ)にも連続タイムリーと次から次に走者が生還。結局この回打者14人で10本の長短打を集め、9得点で13対0。
7回のマウンドには2016年のU-15ワールドカップ以来の代表入りとなった不後祐将(JR東海)が登板。「真っすぐで勝負して空振りが取れました」と手応えを感じた投球で打たせて取り無失点に抑えた。これで大会規定により13対0の7回コールドでオープニングラウンドを無傷の3連勝で突破を決めた。
次戦は休養日を挟み26日にグループB1位通過のチャイニーズ・タイペイ戦(日本時間19時30分試合開始予定)を迎える。ほぼ全ての投手の最速が150キロを超える強敵との一戦。川口監督は「140キロを超えるボールをまだこの3試合の中で見ていません。そのような良い投手から先に点を取れるかってところが1番の課題かなと思います」と不安も口にしたが、3試合連続の2桁得点と絶好調の打線への信頼は揺るぎない。
監督・選手コメント
川口朋保監督
「野球を好きになって応援してくれるたくさんの中国のお客さんの前でプレーできるのは本当に幸せでした。(近藤投手が好投をみせた)ストライクゾーンで勝負できるボールの力がありますから、初めての国際試合のマウンドで力を発揮できたことが素晴らしいなと思います。(打線はこの試合も2桁得点)初回に3試合連続で点が取れていることが、この打線の1番の強みだと考えています。これからスーパーラウンドを迎えた時に序盤のところで先制できるかが大きなポイントになってくるので、先制点を取れる形になっている今の状態には満足しています」
近藤壱来(JR四国)
「初登板でしたが普通の試合のように投げようという気持ちでした。川口監督が結果はあとからと言ってくれたので自分は試合前の準備だけに集中していました。蒸し暑さもあり汗でベタベタして少し苦労しました。(全19人の打者から初球でストライクを奪った)ストライクゾーンで勝負してほしいというミーティングがあった中で、余計にファーストストライクは意識しましたし、キャッチボールでラインを意識して胸に投げるという基本的なことをやっていた成果が出ました。それでも追い込んでからは決め球がちょっと力んだりして、危ない球も何個かあったのでそこは課題です」
熊田任洋(トヨタ自動車)
「1番としての役割は出塁することだと思っています。その中で大事にしている初回の第1打席でチームを勢いづけられるようなバッティングができて良かったです。(相手投手について)右のサイドスローで、事前情報としては真っすぐと遅いスライダーということだったので、引っかけたゴロはないようにしようと考えて、センターから左中間意識で行った結果いいところに飛んでくれたかなと思います。ここに集まってくる選手は自分の軸がしっかりしているので、迷いがない感じがそのままプレーに出ているなと思います」
佐藤勇基(トヨタ自動車)
「(サードでのスタメン出場)慣れないポジションでしたが、とりあえず言われたところでやれる仕事をやるだけだなと思っていました。(2回の好守備は)最初は取れないかなと思っていたのですが、球際になってもしかしたらと思って手を出したらグラブに入りました。ホームランを打った打席は真っすぐ系をずっと待っていて、内角の甘めに来たのでそれを一発で仕留めることができて良かったです。(完全アウェイの中での試合)国際大会ならではの雰囲気だなと感じました。応援でプレーのしやすさが変わって、声が通りにくかったのですがいい経験ができました」
第31回 BFA アジア選手権
大会期間
2025年9月22日~9月28日
オープニングラウンド(グループA)
9月22日(月)10:30 フィリピン 1 - 18 日本
9月23日(火)19:30 日本 17 - 2 パキスタン
9月24日(水)19:30 日本 13 - 0 中国
※開始時刻は日本時間(中国:-1時間)
スーパーラウンド
9月26~27日
決勝・3位決定戦
9月28日
開催地
中国(平潭)
出場する国と地域
グループA
日本、中国、フィリピン、パキスタン
グループB
チャイニーズ・タイペイ、韓国、香港、パレスチナ