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侍ジャパンU-18代表一次候補選手紹介(投手編)「優勝投手・村上、150キロ右腕・髙田など精鋭ぞろいの投手陣」

2016年4月20日

 3月31日(木)、智辯学園(奈良)の劇的な初優勝で幕を閉じた「第88回選抜高等学校野球大会」。その決勝戦直後に8月30日(火)に台湾で開幕する「第11回 BFA U-18アジア選手権」に向けた高校日本代表「侍ジャパンU-18代表」の第一次候補選手22名が発表された。今回はその全22選手を前後編に分けて紹介。前編では優勝投手・ドラフト候補、二刀流など多士済々の投手陣9名を紹介していこう。

村上頌樹(智辯学園)と鈴木昭汰(常総学院)が2枚看板を形成か

 まずは奈良県に1997年の天理以来となる紫紺の大優勝旗をもたらした村上頌樹(智辯学園)。彼はまさに投手のお手本というべき投手だった。174センチ78キロと投手としては小柄な体格。また、ストレートのスピードは、135キロ~140キロ。だが、下半身主導の動きから、打者寄りでのリリースから投げ込むストレートは手元でも失速しない伸びがある。よって高低のストレートも使い、打者を抑え込むことができる。
 さらに上手く抜けたカーブ、スライダー、ツーシーム、フォークといった変化球の精度も見事で、47イニングを投げて自責点2、防御率0.38と抜群の安定感を見せた。夏へ向けてさらにスケールアップを果たすことができればアジアの舞台でも「村上不敗神話」が生まれそうだ。

 大会前はNo1左腕の呼び声が高かった鈴木昭汰(常総学院)は、2013年の侍ジャパンU-15代表経験者。今回は自身2度目となる「代表候補入り」を果たした。昨秋は全国トップクラスの総合力を誇る横浜相手に1失点完投。駆け引きが優れた実戦派左腕だったが、一冬越えて球威がレベルアップ。140キロ前後のストレートは昨年よりも勢いが出ていた。
 センバツでは中盤に鹿児島実業(鹿児島)打線につかまり無念の初戦敗退となったが、夏までに投球の完成度を高めてくれれば、村上との左右2枚看板を形成する可能性は極めて高い。

 逆に少々心配なのは高橋昂也(花咲徳栄)である。このセンバツでは秀岳館(熊本)相手に6回被安打10で6失点、初戦敗退と不本意な成績に終わった。
 彼の魅力といえばなんといってもストレート。落差抜群のフォークをより活かすためにも、夏までストレートの勢いを取り戻し、世代屈指の大型左腕として復活を遂げることができるか。昨夏甲子園8強の実績をかわれての一次候補入りをぜひ発奮材料としてもらいたい。

ドラフト候補に浮上した左腕に二刀流・将来性豊かな右腕2枚

 千葉県・関東地区を代表する左腕・早川隆久(木更津総合)は全国の舞台でもその能力をいかんなく発揮し、一次代表候補入りを果たしている。
 センバツでは2回戦で強打・大阪桐蔭(大阪)に対し5安打1失点無四球完投勝利。さらに準々決勝でも対応力が高い秀岳館(熊本)打線相手に、9回二死まで無失点に抑えた。
 出所が見難いフォームから繰り出す135キロ~140キロ前後のストレートは各校の強打者たちが空振りを繰り返えす威力を有し、スライダー、チェンジアップの精度も増したことが3試合26回3分の2を投げ防御率1.69の数字に。夏の飛躍次第ではドラフト上位候補にも名を連ねそうだ。

 一方、すでに投打にわたり高い評価を得ている藤嶋健人(東邦)は、投げては最速146キロのストレート、130キロ前後のカットボール、スライダーを駆使し2試合16回3分の2を投げ防御率1.08。打ってもセンバツでは厳しいマークにあう中、8打数3安打と結果を残した。
 昨秋の明治神宮野球大会・秀岳館(熊本)戦で二打席連続本塁打を放ったように、長打力も抜群。大会での外野手・指名打者起用も見据えた「二刀流」にますます磨きをかけてもらいたい逸材である。

 188センチの長身右腕・山﨑颯一郎(敦賀気比)は、1回戦の青森山田(青森)戦で4安打9奪三振完封。惜しくも敗れた海星(長崎)戦も7奪三振2失点完投と、昨秋よりも大きく成長した。140キロ前後の角度があるストレートに縦割れカーブのコンビネーションもよく、将来性は十分。夏までにさらに伸びしろを発揮できれば、侍ジャパンU-18代表のエース格になれる可能性すら秘めている。

急成長の関西地区両輪、そしてドラフトの目玉も一次候補へ

 センバツで大きく飛躍した関西地区の両輪も一次候補入り。市岡奏馬(龍谷大平安)は、簡単にリズムが悪く、四死球を出すことが多かった昨秋から、今年は制球力が大幅に改善され、内外角へのコントロールが安定するようになった。
 さらに高めへのストレートも有効的に使えるようになったことで、低めに落ちるチェンジアップの威力が倍増。1回戦の明徳義塾(高知)戦では1失点完投、2回戦の八戸学院光星(青森)は完封。準々決勝の明石商業(兵庫)戦では1失点完投。準決勝の智辯学園(奈良)戦では最後、サヨナラ打を浴びたものの、28回3分の1で防御率0.94は今大会左腕トップの成績である。

 センバツ初出場でベスト8入りを果たした、吉高壯(明石商業)も冬のパワーアップを結果につなげた。ストレートは130キロ台を投げつつ、要所でズバッと140キロ台の速球を投げ込んで速く見せる強弱で相手打者を翻弄。130キロ台のスプリットを自在に投げ分ける高等技術もあわせ持つ辺りは、昨年、落差抜群のフォークで世界で活躍した佐藤世那(仙台育英-オリックス・バファローズ)をも彷彿とさせる。

 そして最後に紹介するのは今季ドラフトの目玉、最速150キロ右腕・髙田萌生(創志学園)である。これまでは西武ライオンズ時代の松坂大輔(現:福岡ソフトバンクホークス)に似ているフォームとスピードが強調されていた髙田。
 しかし、このセンバツでは最速149キロをストレートにスライダー、カーブの精度も高く、敗れた高松商業(香川)戦でも中盤以降は完全にセンバツ準優勝の原動力となった強打線を封じていた。投手としてのポテンシャルは今世代でもピカイチなものがあるだけに、ピッチングの完成度を高めれば長年にわたる「日本のエース」になれる素材である。

 以上の9名はセンバツのみならず今年の世代を代表する好投手たち。彼らには「侍ジャパン候補」の誇りにかけて夏までにさらなる上積みを望むと共に、彼らの活躍に刺激を受けた同年代の投手たちの成長にも期待したいところ。そのようなハイレベルな競争を経た先には、アジア制覇をより近づける投手陣がそろうことになるはずだ。

第11回 BFA U18アジア選手権

大会概要 出場選手 放送予定

大会期間

2016年8月30日(火)~9月4日(日)

オープニングラウンド

8月30日(火)13:00 日本 19 - 0 香港
8月31日(水)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 3 日本
9月1日(木)13:00 日本 35 - 0 インドネシア

セミファイナルラウンド

9月2日(金)19:00 日本 8 - 0 中国
9月3日(土)19:00 韓国 1 - 3 日本

決勝

9月4日(日)19:00 日本 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※試合開始時刻は日本時間です(台湾:時差+1時間)

開催地

台湾・台中

参加国
日本、チャイニーズ・タイペイ、韓国、中国、香港、タイ、フィリピン、インドネシア
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