「第11回BFA U-18アジア選手権」の高校日本代表「侍ジャパンU-18代表」の第一次候補選手22名が発表され、前編では、投手候補選手9人の顔ぶれについて紹介してきた。後編では、個性派野手候補選手13名をポジション別に紹介していきたい。
全国大会実績十分、3名の精鋭捕手
まず捕手では、U-18世代を代表するディフェンス力を誇る捕手3名が一次候補に入った。
1人目は大澤翔(木更津総合)。センバツ3試合で強気なリードとキャッチングの良さを武器に、左腕・早川隆久(木更津総合)を盛り立てた正捕手である。大澤は早川とともに昨年の「第87回選抜高校野球大会」の出場経験があり、全国大会5試合の実績はアジアの舞台でも活きるはずだ。
2人目はの古賀優大(明徳義塾)。昨夏の「第97回全国高等学校野球選手権」敦賀気比(福井)戦では、6番キャッチャーとしてスタメン出場している。敗れたものの、この試合では、のちに優勝を果たした敦賀気比を延長10回まで苦しめた。さらに、秋は4番捕手として、チームを四国大会準優勝に導いた。
古賀の武器はスローイングタイム1.8秒台を計測する強肩と、豊富な経験に裏打ちされたインサイドワーク。昨夏、今春と甲子園初戦敗退に終わった課題を今一度洗い出し、侍ジャパンU-18代表のマスクを被るにふさわしい実績を残したいところだ。
そして3人目はセンバツで旋風を巻き起こした九鬼隆平(秀岳館)。1986年にセンバツ優勝を果たした池田(徳島)の正捕手だった九鬼義典さんの息子ということからも話題を集めた大会No.1捕手である。枚方ボーイズ(大阪)で中学硬式大会5冠達成の原動力となった九鬼は秀岳館入学後も順調に成長。昨秋公式戦では打率5割1分1厘、4本塁打、23打点と圧巻の打撃成績。さらに6盗塁と俊足も披露した。
センバツでは16打数4安打とやや打撃面で不満の残る出来だったものの、1回戦で高橋昂也(花咲徳栄)から、3回裏に逆転となる適時二塁打。また、スローイングタイム1.8秒台の強肩と5投手をけん引したリード面、さらに走攻守の総合力は改めて全国トップクラスであることを示している。
内野手7名はセンバツでインパクトを残した面々
続いて内野手7名。それぞれがセンバツでインパクトを残した選手たちだ。
綿屋樹(鹿児島実業)は昨秋公式戦で打率.621、4本塁打、20打点と驚異的な打撃成績を残した左のスラッガー。センバツでは鈴木昭汰(常総学院)から「左対左」を全く苦にしない決勝打含む2安打でチームの初戦突破に貢献した。世代には数少ない左の長距離打者だけに、夏までにより対応力を高め、スキなしの活躍を見せていきたい。
センバツ準優勝の高松商業(香川)からは2名が選出された。美濃晃成(高松商業)はパワフルなバッティング、躍動感のある二塁守備、積極的な走塁、投げては140キロ以上とまさに万能型選手。選抜では5試合で22打数9安打6打点と実力を遺憾なく発揮した聖地での勢いを侍ジャパンU-18代表でも続けたい。
米麦圭造(高松商業)は広角に鋭い打球を打ち返す技術力を打撃面で発揮。センバツでは初戦となる、いなべ総合学園(三重)戦で一時逆転となる適時二塁打、決勝戦の智辯学園(奈良)戦では同点適時打などで美濃と並ぶチームタイの6打点と、土壇場で結果を残す勝負強さがある。また、安定感ある遊撃守備も光り、まさに頼りになる選手。個性派ぞろいの高松商業をまとめ上げたキャプテンシーの高さは、侍ジャパンU-18代表でも「キャプテン候補生」の筆頭格となるだろう。
秀岳館(熊本)からも二遊間を組む2名が選出。堀江航平(秀岳館)は、2013年の侍ジャパンU‐15代表経験者。鈴木昭汰(常総学院)と共に自身2度目となる「代表候補入り」を果たした。投打のバランス力がある選手で、投手としては130キロ中盤の速球、多彩な変化球を投げ分け、センバツでは16イニングで4失点と4強入りに貢献。打っては16打数4安打3打点だが、そのうち1打点は木更津総合戦のサヨナラ安打と勝負強さも光っている。
また、松尾大河(秀岳館)の遊撃手守備は高校生トップクラスと呼べるほどの軽快なもの。これまで課題だった打撃もセンバツでは19打数6安打。全4試合中3試合はマルチヒットと成長の跡を見せている。
タレント集団の大阪桐蔭(大阪)からは、主将・吉澤一翔(大阪桐蔭)が一次候補入りを果たした。勝負強く、広角に打ち分ける打撃技術。球際が強い三塁守備と攻守の総合力はトップクラス。センバツでは土佐(高知)戦で4打数2安打2打点。続く木更津総合(千葉)戦でも先制本塁打を放っている。
そして内野手最後の紹介は昨年のセンバツ優勝メンバーである林中勇輝(敦賀気比)。1年秋から活躍を見せてきた天才肌の遊撃手らしくセンバツでも、7打数3安打2打点とチーム全打点をたたき出し、二季連続甲子園での本塁打も記録。スピード感溢れる遊撃守備も含め、国際舞台での活躍も大いに期待できる。
左右のスラッガーにスピードスターが入った外野手3名
最後は外野手。右翼手も守れる藤嶋健人(東邦)ら、投手や内野手の外野兼任も考慮し3名のみの選出となったが、これも個性派ぞろいだ。
まずは左のスラッガー・岡田悠希(龍谷大平安)。センバツ初戦の明徳義塾(高知)戦では外角ストレートを捉え、右中間スタンドへ打ち込む技術、パワーを披露した。まだ2年生とは思えない風格、長打力は、来年カナダで開催予定の「第28回WBSC U-18ワールドカップ」の主力としても期待がかかる。
岡田同様に2017年の高校世代主力の期待がかかるのは、センバツ優勝の智辯学園(奈良)の福元悠真(智辯学園)である。
昨秋から自慢の打撃力でレギュラーをつかんだ右スラッガーは、1年秋は公式戦2本塁打。センバツでも開幕戦となった福井工大福井(福井)戦で先制適時二塁打、鹿児島実業(鹿児島)戦で本塁打を放つなど、計5試合で21打数6安打4打点。優勝に大きく貢献した。夏までのレベルアップ次第では岡田、綿屋などとの「超重量打線」形成も十二分に考えられる。
そして最後に紹介するのは、高松商業(香川)のリードオフマン・安西翼(高松商業)。勇猛果敢な走塁と、三塁打のタイムが11秒前半など驚異的なスピードを誇るスピードスターである。たちまち出塁をさせれば、一気に得点のチャンスを広げる。相手チームからすればこれほど嫌な選手はいない。センバツでの課題として残った「打撃での安定感」が克服できれば、広範囲を守る中堅守備含め、侍ジャパンU-18代表の重要なピースになりそうだ。
このように一次候補となった野手13名はスピード、パワー、ディフェンスとそれぞれで強みを持った選手ばかり。アジアの頂点獲得を目指す夏の終わりまでに、ここにどのような「個性派」が加わってくるのかも含め、彼らの成長を楽しみに待ちたい。
「第11回 BFA U-18アジア選手権」侍ジャパンU-18代表 第一次候補選手はこちら
第11回 BFA U18アジア選手権
大会期間
2016年8月30日(火)~9月4日(日)
オープニングラウンド
8月30日(火)13:00 日本 19 - 0 香港
8月31日(水)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 3 日本
9月1日(木)13:00 日本 35 - 0 インドネシア
セミファイナルラウンド
9月2日(金)19:00 日本 8 - 0 中国
9月3日(土)19:00 韓国 1 - 3 日本
決勝
9月4日(日)19:00 日本 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※試合開始時刻は日本時間です(台湾:時差+1時間)
開催地
台湾・台中
参加国
日本、チャイニーズ・タイペイ、韓国、中国、香港、タイ、フィリピン、インドネシア関連情報
侍ジャパンU-18代表の監督、コーチが決定壮行試合
8月27日(土)「侍ジャパン壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」
QVCマリンフィールド
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