韓国・釜山で開催中の「第7回WBSC女子野球ワールドカップ」もいよいよ最終日。オープニングラウンド3連勝、スーパーラウンド4連勝。ワールドカップ20連勝と自分たちの掲げるスキのない野球をどの試合でも貫いてきた侍ジャパン女子代表は、全勝優勝をかけて大一番にのぞんだ。
侍ジャパン女子代表・大倉孝一監督は前日のスーパーラウンド・韓国戦で1回3分の1を投げ、マウンドの感触を確認。「この日のためにベストを尽くしてきた」里綾実(兵庫ディオーネ)を満を持して今大会3回目の先発に送り込んだ。里とバッテリーを組むのは今大会では試合を重ねるごとに著しい成長を見せている船越千紘(平成国際大3年)である。
序盤からバッテリーは息のあった立ち上がりを見せる。初回、里は3人中2人を三振に仕留めれば、船越は一死後、エラーで出塁を許したランナーの二塁盗塁をストライク送球で阻止。2回表、一死一・二塁の大ピンチでもショートゴロ併殺打に打ち取るなど、今大会の再三ピンチをしのいできた日本代表の守備力を魅せつける。
守備からリズムを作る侍ジャパン女子代表の勝ちパターンは、この決勝戦でも十二分に発揮される。2回裏、5番・寺部歩美(兵庫ディオーネ)がチーム初ヒットで出塁すると、6番・金由起子(ホーネッツ・レディース)がきっちりと送りバントを成功。二死後に寺部が三塁盗塁を成功させて、カナダにプレッシャーをかけると、「何も考えずに1点を取ることだけに集中した」7番・船越は2ボール2ストライクの高めのストレートを上から叩いてレフト前へ。欲しかった先制タイムリーに船越は右腕を突き上げて喜びを表現する。
里が三者凡退に抑えた後の3回裏、侍ジャパン女子代表はさらに大会5連覇へ向かって加速する。失策絡みで1点を追加すると、4番・川端友紀(埼玉アストライア)がライトへの犠牲フライで3対0。相手投手のボークで4点目。そして仕上げは船越の右中間突破二塁打で6対0。これで試合の流れは完全に侍ジャパン女子代表のものとなった。
その後も侍ジャパン女子代表は4回裏に金の犠牲フライで1点。5回裏には2番・厚ケ瀬美姫(兵庫ディオーネ)、3番・三浦伊織(京都フローラ)のタイムリーと寺部の押し出し四球で3点を追加し、合計10安打10得点。終盤2イニングは5連覇へのカウントダウンとなった。
そして迎えた7回表二死。里が投じた98球目の打球は、一塁手・石田悠紀子(新波)の正面へ。石田が一塁ベースを踏むとすぐ、マウンド上には歓喜の輪が広がった。10対0。大会5連覇。ワールドカップ21連勝。走攻守に躍動した侍ジャパン女子代表は大偉業を成し遂げた。
なお、大会MVPは史上初の2大会連続となる里綾実。その他、最多ホームラン(1本)に有坂友里香(アサヒトラスト)、ベスト先発投手に里、ベスト二塁手に川端が選出されている。
「4連覇をした瞬間から5連覇のことを考えていたので、ありがとうという気持ちとホットしている。今の選手たちが本当によくやってくれた」と満面の笑みで感謝の思いを綴る大倉孝一監督。「最高です。プレッシャーもあったがこのメンバーで楽しめた。たいへんなことは何もなかった」と話したキャプテンの志村亜貴子(アサヒトラスト)をはじめ、選手20人、清水稔コーチ、中島梨沙コーチ、スタッフたちは、明日9月12日、日本への凱旋帰国の途に就く。
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ
大会概要
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ 出場選手(2016年7月10日発表)
大会期間
2016年9月3日~11日
オープニングラウンド
9月3日(土)19:00 カナダ 2 - 8 日本
9月4日(日)14:00 日本 12 - 0 オランダ
9月5日(月)14:00 日本 18 - 0 インド
スーパーラウンド
9月7日(水) 14:00 ベネズエラ 2 - 7 日本
9月8日(木) 19:00 日本 10 - 0 チャイニーズ・タイペイ
9月9日(金) 19:00 日本 10 - 0 オーストラリア
9月10日(土)14:00 日本 6 - 0 韓国
決勝
9月11日(日)18:00 日本 10 - 0 カナダ
会場
韓国釜山広域市キジャン郡
侍ジャパン女子代表候補 マドンナジャパン座談会
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【第2回】3選手がそれぞれに感じる女子野球界の変化を語る>
【第3回】マドンナを目指す全国の野球女子たちに伝えたいこと