11月2日に閉幕した「第4回 BFA 女子野球アジアカップ」(10月26日から中国・杭州)で、見事に4連覇を果たした侍ジャパン女子代表。今回は大学生のみの若い選手構成で臨み、栄冠とともに様々な収穫を掴んだ。

昨年行われた第9回WBSC女子野球ワールドカップで7連覇に導いた中島梨紗監督が、選手たちに求め続けたのは「すべての行動と判断はチームのために」「ここで終わりではない」ということ。
高校・大学と主力を張ってきた選手たちが多い中で、所属チームとは異なる役割を求められ、ベンチスタートとなることや、慣れないバント・エンドランなどのサインが出ることもあった。ベンチの中での声かけや動きなどは当初からできていたが、合宿中はバントやサイン確認のミスが目立つこともあった。
それでも中島監督が「こちらが求めていることへの姿勢もすごく良い選手たちでした」と振り返るように、日を重ねるごとに成長。決勝戦も先制点は「大学ではまったくしたことがありませんでしたが、細かい野球ができるよう練習してきました」と話す日野美羽(日本大国際関係学部)のスクイズから。エンドランも試合の要所で決まるようになり、レベルが一段二段と上がるワールドカップ(来年にグループラウンド、再来年にファイナルステージが開催予定)に向けても、大きな収穫となった。
また、合流直前の怪我により代走や一塁ベースコーチを務めた山田恵(福井工業大)が「雰囲気が良く一人ひとりの意識が高いチームでした」、堅守が目立った荒川莉子(大阪体育大)が「野球そのものがとても楽しかったです。普段は明るく、野球になると真剣なメリハリのあるチームでした」と振り返るように、良い雰囲気の中で選手たち同士でも刺激をしあうことができた。

中島監督が「来年ではなく帰ってすぐからの行動、取り組む姿勢が大事になります」、大阪体育大で監督を務める横井光治コーチが「この舞台で経験したことや侍ジャパンを目指す意義を具体的に話してくれたらと思います」と話すように、今大会の成果は4連覇という結果だけではなく、この先の彼女たちの言動や姿勢が示すものだ。
試合後や大会後の選手たちの口から「まだまだ課題がたくさん」「もっともっと上を目指さないと」という向上心あふれる言葉が多く出たことは、とても印象的だった。
今回参加した20選手が驕ることなく、貴重な経験を糧に、ひたむきに成長を目指し、周囲への好影響を与える人材になっていくことが、女子野球の未来をより明るく照らすものになるだろう。
選手コメント
柏崎咲和(大阪体育大)
※MVP、最優秀防御率
「率直に嬉しいです。自分の力だけで取れたMVPではないので、チームメイトや指導者の方に感謝しています。初めての国際大会は独特な雰囲気がありましたし、野球というスポーツをいろんな国・地域の選手が楽しんでいたので、もっと発展していくべきだと思いました。来年も代表に選んでいただけるように、そこまでの期間に自分の投球を見つめ直し、今大会の経験を活かしていきたいです」
畑中ゆりあ(大阪体育大)
※首位打者、最多得点、ベストナイン(二塁手)
「みんなで優勝できたことがまずは一番嬉しいです。2番打者を任されたので繋ぐ仕事をチームのために練習してきたので、それが決まって良かったです。女子野球の魅力を伝えていくことが自分たちの役割だと思いますし、侍ジャパンに選ばれているだけあるなと周りに思ってもらえるような選手になりたいです」
佐藤美咲(IPU環太平洋大)
※最高勝率投手、ベストナイン(先発投手)
「納得いかない内容の投球もあったのですが、チームのみんなに助けてもらって賞をもらえたので、感謝の気持ちでいっぱいです。まだあと1年大学生活があるので、この冬で、今回出た課題に対して練習を積んで、もっと良い投球ができるように頑張ります」
脇坂仁南(至学館大)
※最優秀守備選手
「エラーしてチームに迷惑をかけた部分もありましたが、中島監督からしっかり足を動かすように助言をもらって、自分の強みである守備で賞をもらえたことが嬉しいです。チーム作りにおいて、反応や返事の大切さは感じましたし、そういうことから1つにならないといけないなと思いました。経験できたことを大学の選手たちにも伝えていきたいです」
山本一花(大阪体育大)
※ベストナイン(捕手)
「個人として、できたことも、できなかったこともあるので、この舞台に立てたことが嬉しいですし感謝したいです。今大会の経験を活かして、また侍ジャパンに入ることを目標に頑張っていきたいです」
真弓心(仙台大)
※ベストナイン(外野手)
「自分はこの中で一番技術が足りないという自覚が選考合宿からありました。賞をいただけたのは嬉しいですが、もっと上手くなって、もっと上を目指していかないといけません。こういう大会に参加させていただいたことはすごく貴重な経験だったので、個人としても大学に戻ってのチーム作りとしても活かしていきたいです」

第4回 BFA 女子野球アジアカップ
大会期間
2025年10月26日~11月2日
オープニングラウンド(グループB)
10月26日(日)10:00 スリランカ 0 - 31 日本
10月27日(月)16:00 日本 15 - 0 フィリピン
10月28日(火)16:00 韓国 2 - 13 日本
10月30日(木)16:00 日本 34 - 0 インドネシア
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
スーパーラウンド
10月31日(金)19:30 日本 14 - 4 チャイニーズ・タイペイ
11月1日(土)16:00 日本 10 - 0 香港
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
決勝
11月2日(日)19:00 日本 8 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
開催地
中国(杭州)
出場する国と地域
グループA
チャイニーズ・タイペイ、香港、中国、インド、タイ
グループB
日本、韓国、フィリピン、インドネシア、スリランカ























