新クローザーは山﨑康晃
外国人キラーにも注目
今春に行われたWBC2017において、侍ジャパンは準決勝で地元・アメリカと対戦。先発のロアークから1点を奪ったものの、5回から継投に入り、N・ジョーンズ、ミラー、ダイソン、マランソン、ニシェク、グレガーソンと現役のメジャー・リーガーでそろえたリリーバー陣の前に成す術なく敗れた。国際大会で勝ち抜くためには、先発の安定はもちろん〝後ろ〟の充実も欠かせないポイントだ。ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017では球数制限はないが、WBCのように五輪では採用される可能性もあるため、リリーフ陣の強化も無視することができない。
又吉克樹(中日。OA枠)、山﨑康晃(横浜DeNA)と、リリーフ陣に小久保ジャパン経験者を招集(WBCでは招集外)したことは、そんな稲葉篤紀監督の強いメッセージと受け取れる。
まず注目したいのはその又吉だ。今季は開幕時こそ先発ローテーション入りしていたが、シーズン途中にチーム事情による配置換えで再びリリーフへ。入団以来4年連続で50試合以上に登板するタフさも魅力の変則右腕である。継投策がお家芸でもある中日でもブルペンの中心となる右腕は、その変則フォームゆえに対外国人助っ人へ強さを見せ、2015年の欧州代表戦で侍ジャパンに抜擢。まずまずの投球を見せている。攻める姿勢を持ったメンタル面の強さもあり、今後、稲葉ジャパンのブルペンでも中継ぎ、場合によっては抑えの場面での登板など、中心的役割を担うことが期待されている。
埼玉西武の首脳陣から「今年一番、成長した」と高評価を受けるのが野田昇吾。今大会ブルペン組では唯一に左腕で、制球力が高まり、安定感も増したことで夏場以降には勝敗を左右する場面でも起用されるようになった。キレ味鋭いスライダーが武器。被打率.203と右打者も苦にしないのもポイントだ。同じく埼玉西武から代表入りの平井克典も面白い。今季ドラフト5位で入団したサイド右腕は打者の内角を厳しく突き、最大の武器であるスライダーを遠く見せる配球も絶品だ。勝敗を分ける大事な場面や勝ちパターンで投入され、新人ながら場数も踏んだ。満塁の場面でも7打数1安打に抑えるなど、ピンチにも動じない精神力の強さも魅力と言えるだろう。
オリックスの近藤大亮は2015年に社会人日本代表としてアジア選手権に出場経験がある。2016年にドラフト2位でオリックスに入団した右腕で、昨季は右肩痛のために苦しんだが、今季は5月に一軍昇格するとベンチからの信頼を勝ち取り、勝ちパターンでの7回が持ち場に。ピンチでも物怖じせず、ストレート主体の強気の投球で、打者に立ち向かうなど、オリックス救援陣に欠かせぬ存在となった。侍ジャパンでもセットアップマンを期待される。
阪神の右腕・石崎剛も似たタイプ。スリークオーターから150キロ半ばのストレートで押していくスタイルで、そのフォームは呉昇桓(元阪神で、現カージナルス)を彷彿させる。今季は8月に一軍昇格し、12試合連続無失点を記録。26試合に登板して防御率1.17の好成績を収めた。ロングリリーフもOKでワンポイント起用でも面白そう。
WBC2017では各国の打者が日本投手陣の操るフォーク系のタテの変化に苦しんでいたこともあり、自称ツーシームのSFF系の落ちるボールを操る山﨑康晃(横浜DeNA)には、日本を背負うクローザーとなることが期待されている。今季序盤は中継ぎへの配置転換も経験しながら、クローザーに対する誇りを持って復帰。セーブ数以外はすべてキャリアハイ。CS、日本シリーズでも9回を締めくくった。亜細亜大時代から侍ジャパンを経験。トップチームでは2015年のWBSCプレミア12にも出場。SNS(主にツイッター)の配信をマメに行ない、“広報担当”というポジションからも代表の様子を伝えてくれる。
今大会は最大3試合だが、山﨑の3連投は考えづらい。中継ぎをしつつ、最後も担える存在は貴重。今大会ではその辺りの適性も見極められそうだ。
ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017
大会期間
2017年11月16日~11月19日
予選
11月16日(木)19:00 日本 8 - 7 韓国
11月17日(金)19:00 韓国 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
11月18日(土)18:30 チャイニーズ・タイペイ 2 - 8 日本
決勝
11月19日(日)18:00 日本 7 - 0 韓国
開催球場
東京ドーム
出場チーム
チャイニーズ・タイペイ代表、韓国代表、日本代表
侍ジャパン選手紹介
2017年11月6日 先発投手編
2017年11月7日 中継ぎ・抑え投手編
2017年11月8日 捕手編
2017年11月9日 内野手編
2017年11月10日 外野手編