8月31日、千葉県のZOZOマリンスタジアムで「侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表(U-18代表) 対 大学日本代表」が開催された。「第30回 WBSC U-18ワールドカップ」(9月9日からアメリカ・フロリダ州で開催)に出場するU-18代表にとって、格上相手と勝負するこの上ない機会となった。
両チーム先発は、大学代表が荘司康誠(立教大)、高校代表が香西一希(九州国際大付)で始まった。
高校代表は1回表、前日の練習試合で2安打を放って馬淵史郎監督から「対応力が素晴らしい」と称賛され、7番から2番に昇格した安田淳平(聖光学院)が四球を選んで出塁すると、続く野田海人(九州国際大付)も四球を選んでチャンスを作る。しかし内海優太(広陵)と海老根優大(大阪桐蔭)が荘司の力強いストレートやキレのあるカットボールの前に抑えこまれて無得点で終わった。
するとその裏、制球力の高さが持ち味の香西が、「初回は上がってたね。すごく緊張していたみたいです」と馬淵史郎監督が振り返ったように制球を乱す。先頭打者を歩かせてピンチを招くと、4番の蛭間拓哉(早稲田大)に上手くレフト前へ運ばれて先制を許した。
しかし2回以降は香西が持ち味を存分に発揮する。120キロ台が中心のストレートと多彩な変化球で緩急自在に、大学代表の選手たちを抑え込んでいき2回・3回と続けて三者凡退に抑えた。
この好投に報いたのが4回表だ。4番の内海が「投手のレベルがすごく高いので狙い球を絞りました」と、大学代表2番手の篠木健太郎(法政大)のストレートを力強く弾き返すと打球は右中間スタンドへ。チーム初安打が同点本塁打となった。
これで息を吹き返した高校代表は2番手・宮原明弥(海星)が力投する。4回は蛭間から始まる打線を三者凡退に抑えると、5回は2死から3連続四死球でピンチを招くが、大学代表の3番・山田健太(立教大)をキレ味鋭いスライダーで空振り三振に抑え、ピンチを脱した。
こうして5回までを1対1の同点で終えた高校代表だったが、6回から大学代表が意地を見せる。高校代表の3番手・森本哲星(市船橋)から6回に進藤勇也(上武大)が右中間への二塁打を放って勝ち越しに成功すると、7回に廣瀬隆太(慶應義塾大)のタイムリーと蛭間の内野ゴロの間に走者が生還し、2点をダメ押し。
高校代表も4番手の山田陽翔(近江)が3三振を奪ってスタンドを大いに沸かせるなど見せ場を作ったが、打線は大学代表の菊地吏玖(専修大)、上田大河(大阪商業大)、曽谷龍平(白鷗大)と左右の剛腕たちから得点を奪うことができず。5回以降は無失点に終わり、試合は4対1で大学代表が勝利した。
試合後、馬淵監督は「ホームランは素晴らしかったですが、本来このチームが目指しているのは、しぶとく食いついて機動力を使って得点する野球。しかし今日はなかなかそういう野球を今日させてもらえませんでした」と悔しそうに振り返った。
特に反省点として挙げたのは、見逃し三振の多さ。「外角の見逃しが多かったですが、国際試合ではもう少し外が広いので、簡単に見逃すようでは厳しい。もうちょっと食いついて欲しかったですね」と改善点を挙げた。また守備でも無駄な四球や失策があったことにも触れた。
一方で称えたのは6回の二塁手・赤堀颯(聖光学院)のプレー。無死一、二塁の場面で強い当たりのショートゴロが飛んだが、二塁走者がライナーを警戒しいったん二塁に戻ろうとしたのを赤堀が見逃さず「6-4-5」の併殺を完成させた。その場面については馬淵監督も「赤堀はああいうプレーができるのが本当に素晴らしいです」と手放しで称賛した。
この試合で掴んだ多くの課題と収穫を糧としU-18ワールドカップに繋げるためにも、残りの国内合宿が重要だ。9月1日は休養日に充てて、9月2日から再始動する予定となっている。
監督・選手コメント
山田陽翔(近江)
「すごく良い経験をさせてもらいました。パワーや技術面の差をすごく感じました。こういった実力差がある中でどれくらい食いついていけるか大切です。この試合の経験を、これからしっかり生かせるよう頑張っていきたいです。クローザーは初めてでしたが、捕手陣がすごく投げやすいよう配慮してくれて、自分としてはスムーズに試合に入れました」
内海優太(広陵)
「木製バットの練習はセンバツ甲子園が終わってからチームでずっと練習してきました。夏は広島大会3回戦で負けて、悔しい思いをしながら練習してきたのでそれが結果に繋がりました。壮行試合で打てたというのはすごく良い経験になりました。目標の世界一に向けて、チーム一丸となって自分たちの野球をやりたいです」
大久保哲也監督
「試合前に高校代表のフリー打撃を見させてもらいましたが、浅野君と内海君は打球が違うなという印象を受けていました。内海君には一発打たれて、やっぱりレベルが高いなと思いました。捉え方、タイミングの取り方が非常に良かったです」
荘司康誠(立教大)
「本当にいい選手ばかりで刺激を受けることができてよかったです。浅野君は注目度も高いですが、プレーだけでなく立ち振る舞いなどもすごい選手だなと思いました。(W杯は)日本とは違う環境で上手くいかない部分は少なからずあるとは思いますが、日の丸を背負っている気持ちを忘れずに常にベストパフォーマンスを出せるように頑張ってもらいたいと思います」
蛭間拓哉(早稲田大)
「高校生らしいフレッシュさを感じたので、僕たち大学生もまだまだ頑張っていかなければいけないなと感じました。全国の高校野球から選ばれた代表なので、自信と誇りをもって、とにかく日本のために頑張ってもらえたらと思います」
第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2022年9月9日~9月19日
オープニングラウンド
2022年9月10日(土)4:00 イタリア 0 - 6 日本
2022年9月11日(日)8:00 メキシコ 1 - 4 日本
2022年9月12日(月)8:00 日本 5 - 4 パナマ
2022年9月13日(火)8:00 日本 10 - 0 オーストラリア
2022年9月14日(水)8:00 日本 2 - 9 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
スーパーラウンド
2022年9月16日(金)5:00 韓国 8 - 0 日本
2022年9月17日(土)5:00 日本 1 - 0 オランダ
2022年9月18日(日)22:30 アメリカ 4 - 3 日本
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
3位決定戦
2022年9月19日(月)4:00 韓国 2 - 6 日本
※開始時刻は日本時間(フロリダ:時差-13時間)
開催地
アメリカ(フロリダ)
出場する国と地域
グループA
アメリカ、韓国、オランダ、カナダ、ブラジル、南アフリカ
グループB
日本、チャイニーズ・タイペイ、メキシコ、オーストラリア、パナマ、イタリア