世界の野球

"世界の野球"フランス通信～フランス野球・ソフトボール連盟より～「日本野球に惹かれて13年！フランスと日本の架け橋に」

2016年4月13日

　フランスの野球・ソフトボール連盟アジア地区代表として活動するポルス・ベルトランさん。現在、日本に定住して8年目となる。ベルトランさんは、3つの草野球チームに所属するプレーヤーでもあるが、日本の高校野球やプロ野球の観戦で日々球場に足を運ぶ。
　今では野球漬けの毎日を送っているが、実は大学4年生の時に初めて日本を訪れるまでは、「野球」というスポーツを実際に見たことも、野球ボールを握ったこともなかった。転機は、ベルトランさんが大学4年生の時。愛媛大学（愛媛県松山市）に、エンジニアの実習で6か月間滞在した際に、テレビで日本のプロ野球を観た。
　「テレビをつければいつも野球の試合が放送されていて、そこから野球というスポーツに興味を持ちました。そのあと、フランスに帰ってから、僕の街のトゥールーズ（フランス南西部に位置）で野球大会のポスターを見つけて、それで試合を見に行ってから、私も野球チームに入ることにしました」

フランス代表の
ユニフォームを手にする
ポルス・ベルトランさん

　トゥールーズのチームで野球を始めてから、細かなルールから、投げて打って守る、そのすべてを学んだ。さらに、これまでのフランス野球の歴史なども、仲間たちから教えてもらった。
　かつて、日本人の吉田義男氏が、1989年から1995年まで、フランス代表の監督を務め、フランスで野球を広めてくれたことも知った。それを聞いて、「とても素晴らしい方だ」と感じたという。その時は、日本人の指導者がフランス野球を強くしてくれたことに驚きはなかった。ベルトランさんがプレーしていたチームにも、日本人監督がいたこともあったり、WBCなどの国際大会でも毎回、勝ち上がる日本代表を見て、「やっぱり日本の野球はすごい」と感じていたからだ。

　「メジャーリーグでも、体の大きい選手がホームランを打ったり、豪速球を投げたりして、そういった選手が活躍して勝っている。でも、日本の選手は、海外の選手と比べて小さい。それでも、スピードがある。走塁もバントも生かしたスモールベースボールで、世界の中で勝っているのはすごいと思います。メジャーリーグとは違う技術の磨き方で、勝ちあがっていく日本の野球にとても興味がありました」

　そう話すベルトランさんは、2008年から日本に定住しているが、今ではすっかり日本野球通だ。とくに好きなのは、高校野球だという。
「プロ野球は勝っても、負けても明日がある。でも、高校野球は負けたら終わり。みんな泣いている。エラーしたら、みんな落ち込んでいる。それを見ているだけで感動します」

　さらには、高校野球で活躍した選手がその後のドラフトで指名され、プロの舞台で活躍している姿を実際に球場で観るのも、今では楽しみの一つになっている。実は、フランスで働いていた時も、朝5時から早起きして、インターネットで放映されている日本の高校野球の全国大会を観戦していたベルトランさん。日本の野球の話題になったら、話は尽きない。そんなベルトランさんの今後の夢とは？

　「やっぱり、フランスの野球人口をもっと増やしたいです。そのためにも、もっと野球の情報がフランス国内のテレビや新聞にも出たらいいなとか、日本の野球のアニメとかもフランスで流して欲しいなとか希望はあります。それによって、野球の競技人口が増えて、さらにフランスの野球力も上がって、世界の舞台で結果が残せるようになってほしいと思っています」

　今から20年以上前に、フランス代表の指揮を執っていた吉田義男氏が、情熱あふれる指導で国内の野球熱を高め、さらに2013年から、代表監督に、メジャーリーグでセーブ記録を残したエリック・ガニエ氏が就任すると、野球競技者の数は再び増え始めているという。

　ベルトランさんは、フランス代表は、ヨーロッパの強豪国との力の差は徐々に縮まっていると分析する。いつか、WBSCやオリンピックの舞台に、フランス代表が立てる日が来ると信じ、日本から熱いエールを送る。

※ベルトランさんが執筆する「フランス野球」に関するコラムはこれから毎月1回、配信予定です。ご期待ください。

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