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"世界の野球"アフリカ球児の熱い青春!タンザニア野球“KOSHIEN”への道「イロンナミカタ」

2017年6月16日

文・写真=長尾耕輔(JICA青年海外協力隊)

 みなさん!お久しぶりです!!日本はそろそろ梅雨に入る時期でしょうか?タンザニアはやっと雨季が終わりに近づき、晴れの日が多くなってきました!!

 さて! 前回まで、タンザニア野球の経緯、年に1度のビックイベント “KOSHIEN” についてお話しさせて頂きました。今回は、少し的を絞って、学校・チーム単位の具体的な話をしていこうと思います。私の赴任している学校を例に話していきます。

練習スケジュール & 意外な一面

 早朝6時15分。まだ薄暗いグラウンドにちらほらと選手が集まってきます。私の学校では平日の毎朝6時半から授業前までの約1時間を練習時間にしています。
「え?朝早くない?大変そうだし、子どもはちゃんと来るの?」
「放課後にやれば時間たっぷり練習できるのに!」
いろんな意見・疑問はあるかもしれませんが、理由はこれから説明していきます!

 大きく広がる青空、灼熱の太陽、目を輝かせる子どもたち、ダイナミックなプレー、だけど、練習に遅刻しちゃう。。。笑
 これらは私の勝手なイメージでしたが、実際にタンザニアに来て内側から見ると、イメージとはまた違った部分が少し見えてきます。

時間にルーズなのに、ビシッと早寝早起き !?

 まずは、“生活リズム”です。時間にちょっぴりルーズなタンザニア人。もちろん、きっちりした方もいますが、30分や1時間の遅刻は日常茶飯事と言っても過言ではありません。そんな生活の中、生徒に「朝練をやりたい!」と言われた時は、正直、本当に朝来るのか半信半疑でした。しかし、いざ始めてみると意外や意外。若干の遅刻はありますが、大半の生徒が参加するのです。理由は “暑さ” ゆえの “朝の強さ” にありました。生徒曰く「夜はお腹がすく前に早く寝て、朝は暑くなる前に動き出す」ことが肝心なんだとか。。イメージとは違った、意外な一面でもあり、朝の弱い私にとって、妙に納得させられた出来事でした!

タンザニアの家庭事情。。

“お金と家事”も1日に大きく関わってきます。私が放課後に練習をやっていない理由はここが大きいです。具体的には、ご飯・家の仕事の手伝い・兄弟のお世話などがあります。毎日家の仕事を手伝っている生徒、まだ小さい兄弟の面倒を見る生徒など、放課後に親の手伝いをする生徒は少なくありません。ご飯に関しては、私の学校では給食がないため、学校内の食堂で食事を購入する必要があり、お金を払えない生徒は帰宅まで我慢しなくてはなりません。兄弟の面倒見に関しても、1人の生徒に5、6人の兄弟がいることが当たり前のタンザニアでは仕方のないことなのかもしれません。

熱くするのは “心” だけで十分!?

また、“暑さ”も理由の1つです。1年中温暖な気候なので“暑さに強い”イメージが私にはありましたが、意外にそうでもないのかな…と感じることが多々あります。
 練習中や体育の授業など、木の陰に座り込んでサボっている生徒をよく見かけたり、準備運動や練習でさえも日陰でやりたがる生徒がいます。よく言えば、体力の効率的な使い方・省エネ。悪く言えば、面倒くさがり・根性がない…と言われてもおかしくないほど、頑なに日陰にこだわります。それくらい「暑さを避けたいんだ!!」という意思が伝わってきます。


机の下で靴を売る商人

 いかがだったでしょうか?もちろん、これが全てではありません。給食のある学校や全寮制の学校で放課後に練習している学校もあり、各学校・地域によって様々です。また、日本でも朝練をしている学校・チームはたくさんあると思います。でも、そこにある理由は何なのか。“強くなりたい”ここではそれだけではない理由が隠れていることもあります。
“朝練”を行う理由を取り上げてみても、そこにはこれだけの背景があったことをみなさんはご存知でしたか?
「どうしてこの時間に練習しているんだろう?」
「どうして裸足なんだろう?」
「女の子がいないのはなぜだろう?」
 挙げたら切りがありませんが、写真1枚、言葉1つにしても、角度を少し変えれば、いろんなものが見えてくる。タンザニア野球に限らずですが、こういう見方をするのも面白いのかもしれません。

 それでは、最後は生徒お気に入りの“高校球児風挨拶”で締めようと思います。みなさん、ご一緒にどうぞ!! せーの!!!
「あしたっ!!!!!!(ありがとうございました!)」

著者プロフィール
長尾 耕輔
1993年12月31日生
2016年6月より青年海外協力隊(体育)としてタンザニアの中等学校へ派遣され、体育教科の指導・普及のために活動を行っている。赴任先の中等学校で、体育と共に野球の指導・普及活動にも携わり、運動を通じて、子どもたちが“人として”大きく、深く、広く、成長できるよう、活動に取り組んでいる。

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