香港・晒草湾遊楽場で開催されている「第1回 BFA 女子野球アジアカップ」の第2戦。前日の韓国戦を5回コールドで勝利し勢いに乗る侍ジャパン女子代表は、今大会一番の強敵、チャイニーズ・タイペイと対戦した。終盤までリードを許すも、6回に逆転し6対1で勝利。開幕2連勝を飾った。
全6チームによる総当たりで順位が決まる今大会において一番の強敵、チャイニーズ・タイペイとの対戦を「事実上の決勝戦と思って」と位置づけた橘田恵監督。その言葉どおり、終盤まで1点を争う緊迫した展開が続いた。
序盤から両チームが走者を出すも、互いに堅い守りが光り無得点の続く中、4回に試合が動く。一死から先発の水流麻夏(神戸弘陵学園)がこの日はじめての四球で走者を出すと、送りバントで二死2塁に。続く6番YANG CHIA HUIにライト線へのツーベースヒットを許し、チャイニーズ・タイペイが1点を先制し、均衡を破った。
思うような野球ができず、焦りの見えはじめた選手たちに橘田監督は「楽しく野球をプレーしている姿を伝えよう。元気を出していこう」と伝えると、ベンチは再び明るさを取り戻し、盛り上がりを見せる。
6回、安達瑠(京都両洋)が意表を突くセーフティーバントで出塁すると、蛭田菜月(埼玉栄)が右中間へのヒットでチャンスを広げる。ここで主将の吉井温愛(履正社)が追い込まれながらもレフトへ同点のタイムリー。一死満塁からは金満梨々那(開志学園)のショートゴロの間に蛭田がホームへ還り、ついに逆転に成功する。その後も、相手バッテリーミスと蜜浦さくら(履正社)の左中間へのタイムリーツーベースなどで計6点を奪い、チャイニーズ・タイペイを一気に突き放した。
5回を松島瑠菜(履正社)、6回から大野七海(福知山成美)と継投し、見事に抑えた投手陣。大野が最後の打者から得意のストレートで見逃し三振を奪い、ゲームセット。緊迫した試合を終え、選手たちからは笑顔がこぼれた。
韓国、チャイニーズ・タイペイと、アジアの強豪から2連勝した侍ジャパン女子代表。次戦は9月4日(月)日本時間10時よりパキスタンと対戦。この日の勝利に気を緩めることなく、確実に勝利を掴みにいく。
監督・選手コメント
橘田恵監督
「初回は相手の策に嵌ってしまい、2回以降もチャンスは作るもののいい方向に進まなくて、選手に焦りが見えていました。ボールや審判のクセなど冷静な判断ができておらず、相手チームのほうが経験という点では上回っていました。6回の攻撃前に、野球を楽しく一生懸命にプレーする姿を見てもらおうと声をかけ、選手たちは元気を出して盛り上げようと頑張りました。そこで一つになれたんじゃないかと思います。この世代の国際大会経験が無い部分を、我々が言葉で伝えていかなければならないと感じました。」
吉井温愛主将(履正社)
「大事な場面でタイムリーを打つことができてとても嬉しかったです。スクイズも頭にありましたが、監督から思い切っていけと言ってもらい、ストライクをしっかり振ろうと打席に入りました。序盤は速いストレートに差し込まれていましたが、コンパクトにバットを短く持って対応しました。とても元気のあるチームなので、元気では他のチームに負けないようにしていきます。」
大野七海(福知山成美)
「監督から事実上の決勝戦だと言われ、強い気持ちで臨みました。甘い球は確実にヒットにされるので、コースを意識して、しっかり投げることができました。チームは練習試合からずっと打てていたので、絶対に点を取ってくれると信じていました。」