第43回 日米大学野球選手権大会が7月16日についに開幕する。1972年に第1回が開催され、これまで数多くの激戦と名選手を生み出してきた歴史のある大会だ。
今回は、過去にジャスティン・バーランダー、デビッド・プライス、ゲリット・コールらを輩出するなど、MLB予備軍とも言えるアメリカ大学代表投手陣と対峙する侍ジャパン大学打線や攻略の鍵を紹介する。
6月の選考合宿3日間を経て代表24選手が集結したのは直前合宿が始まった7月10日。そこから1週間弱の期間でチーム作りをする必要だったため、生田勉監督らスタッフと選手たちによるグループLINEを作成。そこで各選手に宿題を提示し、選手たちも意見を出すなど周到な準備を進めてきた。
その中で最も力を入れたのが走塁面。「足で崩す野球。そういう想定のもとで人選をしてきました」と生田監督も話し、盗塁だけでなく走者からバッテリーへのプレッシャーのかけ方などは時間をかけて伝えてきた。
2年連続選出のパトリック・ベイリー(ノースカロライナ州立大)の強肩については昨年も体感済みで、生田監督は「その中でもスキがある。1球目から動くこともあれば、見たことがないような走塁もしたい」と手応えを明かす。
宇草孔基(法政大)
そんな機動力あふれる積極野球の象徴となるのが1番を任されることが濃厚な宇草孔基(法政大)だ。初球から果敢に力強いスイングができ足も速い。一塁走者として相手投手にプレッシャーをかけることもできれば、パンチ力もあるため俊足を飛ばして長打にし、すぐさまチャンスを作り出すこともできる。
さらに2番を任され、遊撃手として守備の要でもある小川龍成(國學院大)が小技で塁を進めたり、自ら安打を放って繋ぎ、チャンスを広げることができれば理想だ。
そのチャンスで走者を返すことが期待されるのは、下級生時から各リーグで活躍してきた牧秀悟(中央大)、佐藤都志也(東洋大)、郡司裕也(慶応義塾大)。さらに14日の広島東洋カープ戦で2打席連続本塁打を放った脅威の1年生スラッガー・森下翔太(中央大)も控える。
さらにベンチには、好守でバントや走塁にも長ける児玉亮涼(九州産業大)、田中幹也(亜細亜大)が控え、無死一、二塁から始まる延長タイブレークなど試合後半で重宝されそうだ。
アメリカ開催の昨年は5試合で2勝3敗、1点差が4試合、2点差が1試合。今年も接戦が多くなることが予想されるだけに、そんな緊迫した状況の中でいかに選手たちがこれまで準備してきたものを発揮するか。その真価が問われる。