7月21日、第43回日米大学野球選手権大会の第5戦が東京都の明治神宮野球場で行われた。対戦成績2勝2敗と「勝った方が優勝」という状況の中で行われた一戦は、侍ジャパン大学代表がアメリカ大学代表を6対1で破り、3大会ぶり19回目の優勝を決めた。
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
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重圧がかかる第5戦のマウンドに上がったのは、第1戦と第3戦に先発し計10回137球を投げ、わずか1失点の森下暢仁(明治大)。この日も三者凡退に抑える立ち上がりで、チームに良いリズムを与えた。
するとその裏、先頭の宇草孔基(法政大)がセンター前に運んで出塁すると、児玉亮涼(九州産業大)の犠打で一死二塁のチャンスを作る。ここで今大会好調の柳町達(慶応義塾大)が投手強襲のタイムリーを放ち先制。さらに4回には海野隆司(東海大)、丸山和郁(明治大)の連続タイムリーで3点を追加した。
また森下も5回59球を投げて、バント安打1本と味方の失策のみの出塁に抑え、崩れる気配のない見事な投球を見せた。後を継ぎ6回と7回に登板した佐藤隼輔(筑波大)も無失点リリーフは4試合連続で途絶えたが、1失点のみに留めて後を託す。
そして7回裏には宇草のタイムリーと牧秀悟(中央大)の犠牲フライで突き放すと、8回は吉田大喜(日本体育大)、9回は伊藤大海(苫小牧駒澤大)がともに無失点で抑えて試合終了。選手たちは歓喜の輪を作り、喜びを分かち合った。
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一方、アメリカ大学代表は3大会連続25回目、そして1979年の第8回大会以来となる日本開催での優勝を目指したが惜しくも優勝ならず。ダン・マクドネル監督は「投手も野手も良い選手ばかりだったが、最後の2試合で抑え込まれてしまいました」と目を赤くした。
監督・選手コメント
生田勉監督
「チーム一丸となって戦うことができました。想像以上のまとまりでしたので選手たちに感謝しています。チーム防御率が0点台だったこともあり、どんどん攻めていくことができました」
篠原涼主将(筑波大)
「日本の大学生の代表として、強さを証明することができました。昨日の負けられない試合で開き直って、攻める野球をできたことが転機となりました。みんなが明るくて元気のあるチームで、苦しい時も鼓舞して、みんなで戦っていけるチームでした」
森下暢仁(明治大)
3試合2勝1敗、15回を投げて1失点で最高殊勲選手賞受賞
「チームのみんなが繋いでくれた第5戦だったので絶対に勝ちたいと思ってマウンドに上がりました。最高のチームでたくさんのお客さんの前で投げられることができて幸せ者でした」
柳町達(慶応義塾大)
12打数6安打、打率.500で首位打者賞受賞
「球の速い投手に対して、次の打者に繋ぐという気持ちが好調に繋がったのかなと思います。今大会こうして結果を出せたことを自信にするとともに、このチームで感じたことを大学に持ち帰って活かしていきたいです」
早川隆久(早稲田大)
2試合9回1失点(自責点0)で最優秀投手賞受賞
「先発として役割を与えられ、リリーフ陣も打線も万全でしたので気楽に投球することができました。私生活から明るくすることが勝利に繋がることを実感できたので、野球以外の面でも活かしていきたいです」
ダン・マクドネル監督
「優勝するために来たので悔しいですが、負けたことは恥ずかしくない。野球が盛んで強い国と戦うことができて誇りに思います。日本の野球そして文化をリスペクトしています。5試合通じて温かく接していただき感謝しています」
アリカ・ウィリアムズ(アリゾナ州立大)
「今回優勝するために来たので結果は残念です。(歴史ある大会の敢闘賞に選出され)誇らしく、ありがたい気持ちです。この大会は人生で最も思い出に残る1週間でした」