10月23日、「第4回 WBSC U-23ワールドカップ」(開催地・台湾)の決勝戦が台北市の天母野球場で行われ、侍ジャパンU-23代表は韓国に3対0で勝利し、3大会ぶり2回目の優勝を果たした。
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試合を決めたのは、合宿初日からテーマのひとつに置き、重視してきた長打だった。0対0で迎えた3回裏、ここまで苦しめられてきた変則左腕のリ・サンユンが連続死球と突如崩れ1死一、二塁のチャンスをもらう。
ここで打席には丸山壮史(ENEOS)。第1打席で空振り三振を喫していたが、いたって冷静だった。1ボールから三振と同じ外へ逃げるスライダーを空振りしてしまったことで「これはスライダーで攻めてくる」と丸山は狙いを絞る。そして3球目に投じられたのは、内から真ん中に入ってくるスライダー。これを迷いなく振り切ると打球はライトフェンスを越える値千金の3ラン本塁打となった。
この3点の援護は9試合合計でわずか10失点の投手陣には十分だった。4試合目の先発となった富田蓮(三菱自動車岡崎/阪神ドラフト6位指名)が任された2イニングで1人の走者も出さずに完璧に抑えると、3回を任された工藤稜太(信越硬式野球クラブ)、4回を任された柳橋巧人(JR東海)も無安打に抑えていく。
5回に2イニング目となった柳橋が先頭打者に初安打を許すも次打者をショートゴロに打ち取り、遊撃手・中村迅(NTT東日本)と二塁手・丸山の華麗な連携で併殺打。反撃の芽はすぐに摘み取った。
6回は投手リーダーの藤村哲之(東芝)が先頭に二塁打を打たれながらも、後続を冷静に打ち取り、最終回は今大会の絶対的守護神である権田琉成(TDK)がマウンドに上がった。大会最優秀選手を獲得することになった権田は、先頭に四球こそ出すものの、この日もキレの良いストレートで押していき、すぐさま3つのアウトを積み重ねて試合終了。選手たちは喜びを爆発させて権田のもとに駆け寄り、首脳陣は熱い抱擁を交わして喜びを噛み締めた。
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
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U-23W杯での栄冠はプロアマ混成チームで臨んだ第1回大会(2016年/メキシコ開催)以来。各チームにはプロ選手も多く揃う中ではあったが、最も大きなテーマに掲げた『チャレンジ』を社会人野球の若き精鋭23名がしっかりと理解。走攻守で積極果敢にハツラツとプレーし、それが最高の結果となって表れた。
監督・選手コメント
石井章夫監督
「凄いですね。選手たちがブレずに戦ってくれました。こんなに成長するだなんて驚きでした。自己判断能力をつけようということを第一に、チャレンジしていこうとやってきたのですが、それを見事に体現してくれました。新しい侍ジャパンの野球を示さなければいけないと思ってやってきましたが、それを見せることができて本当に嬉しいです」
中村迅(NTT東日本)主将
「世界一になれて最高の気持ちです。短期間の中で一丸となることができました。この経験を帰国してからも生かしていきたいです」
丸山壮史(ENEOS)
「試合を重ねるごとに成長して強くなることができました。積極性をテーマにしながら、みんながしっかり状況判断をしているチームでした。選手、スタッフ全員の力で世界一になれました」
権田琉成(TDK)
※大会最優秀選手、ベストナイン(救援投手)
「嬉しいです。抑えの経験はこれまでほとんどありませんでしたが、成長することができたと思います。みんなが声をかけてくれたおかげ。最高の仲間たちです」
富田蓮(三菱自動車岡崎)
※最優秀投手、ベストナイン(先発投手)
「前の試合とは違う緊張感がありましたが、2イニングと聞いていたのでしっかり後ろの投手に繋ぐことを考えました。常にチャレンジすることやテーマを明確に持って登板することができました。ストレートにもより自信がつきました」
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第4回 WBSC U-23ワールドカップ
大会期間
2022年10月13日~10月23日
オープニングラウンド
10月14日(金)18:00 ドイツ 0 - 6 日本
10月15日(土)15:30 ベネズエラ 2 - 5 日本
10月16日(日)20:00 日本 1 - 3 チャイニーズ・タイペイ
10月17日(月)15:30 日本 4 - 1 コロンビア
10月18日(火)15:30 南アフリカ 0 - 9 日本
スーパーラウンド
10月20日(木)15:30 日本 2 - 1 オーストラリア
10月21日(金)15:30 韓国 1 - 2 日本
10月22日(土)14:00 日本 4 - 2 メキシコ
決勝
10月23日(日)20:00 日本 3 - 0 韓国
※開始時刻は日本時間(台北:時差-1時間)
開催地
台湾(台北)
出場する国と地域
グループA
日本、チャイニーズ・タイペイ、コロンビア、ドイツ、南アフリカ、ベネズエラ
グループB
オーストラリア、キューバ、メキシコ、オランダ、プエルトリコ、韓国