文・写真=河合賢人
前回の記事ではニカラグア共和国がどんな国か?そして、ニカラグア野球について触れましたが、今回は2月に開催された中米大会とWBCに初出場するニカラグア野球の展望についてお伝えします。
WBCではニカラグア代表がどんな戦いができるのか?個人的な視点でお伝えできればと思います。
中米大会が開催、WBCに向けてチームは勢いをつける
2月6日から12日まで中米大会がニカラグアで開催され、チームニカラグアはWBCにも参加する選手が多く出場しました。
今回はニカラグア、グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカ、ホンジュラスの5カ国が参加し、優勝チームは2023年6月に開催される「中米カリブ海 競技大会」の野球競技への参加権が与えられます。
中米大会は総当たり戦を行い、順位1位と2位が決勝戦を行いました。
ニカラグアは、総当たり戦の4試合は相手に1失点も取られず全勝し、決勝戦ではホンジュラスと対戦し13-1で勝利し見事優勝しました。国内ではテレビ中継もされており、私は全ての試合を観戦し、決勝戦はスタジアムに行き実際のプレーを生で見てきました。
今回の大会では、同じ中米であり野球強豪国のパナマも参加予定でしたが、大会直前で参加しないことが決まりました。野球ファンとしては、決勝戦でニカラグアとパナマの試合を見られず残念でした。
中米では、ニカラグアとパナマが頭一つ抜けており、その他の国はまだ野球文化も馴染んでおらず正直レベルは高くないです。
決勝戦のニカラグアVSホンジュラスの試合では、ホンジュラスが守備のエラーから大量に失点をしてしまうシーンが何度もありました。当日は風が強く状況は良くなかったかもしれませんが、平凡なフライを3つも落としてしまうシーンを目にしました。
各国は今回の結果を受け止め練習を重ね、また強くなって試合に挑むと思います。
本中米大会で優勝したニカラグアは6月に開催される「中米カリブ海 競技大会」への出場権を獲得し、開催国のエルサルバドル、メキシコ、ドミニカ共和国、プエルトリコ、キューバ、キュラソー、ベネズエラと試合を行います。
WBCではどんな試合を見せてくれるのか?
WBCでグループDに入ったニカラグアは、3月11日から15日まで1次リーグを行い、Dグループの1位、2位になると準々決勝に進めます。
グループDはドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、イスラエルと強豪国だらけなので、ニカラグアには厳しい戦いが予想されます。
ニカラグア野球が良い試合をする為には、スター選手を擁する他の国の打者をいかに抑えることができるか?が一番重要なポイントとなります。30人のメンバーのうち15人のピッチャーを入れている事もあり、細かい継投でなんとか最小失点で抑えていかなければなりません。ニカラグア代表選手の中には、現在メジャーリーグで活躍しているニューヨーク・ヤンキースのジョナサン・ロアイシガ投手や昨年ワシントン・ナショナルズでプレーをしたエラスモ・ラミレス投手も参加する事が決まり、WBCにおけるこの2人への期待は大きくなります。その他にも、球速はメジャーリーガーには勝てないがMLBにはいないような、打者のタイミングをうまく外して抑える変則ピッチャーも備えているので、うまく打者のタイミングを外してくれれば良いなと期待しています。
打撃では、「コーン諸島」(ニカラグアで最も美しいと言われる海に浮かぶ島)出身のチェスラー・カスバート選手が中心となって得点を取れるか?がポイントになります。私は、チェスラー選手が練習後にグラウンドで小さい息子さんと野球をしている姿をたまに見かけます。そんな優しいパパとしての一面を持つチェスラー選手は、私が一番応援している選手でもあります。
また、代表のサンドル・ギード監督は、2020年のU23中南米大会の時にも監督をしており、コーチとして同大会に参加していた私にとっては、時間を共にした仲間でもあります。監督には是非WBCでニカラグア野球を世界の野球ファンに届けて欲しいと思っています。
Vamos Nicaragua!(頑張れニカラグア!)
サンドル・ギード監督(一番左)との写真
著者プロフィール
河合賢人
1991年4月22日生
第91回全国高等学校野球選手権大会に埼玉県代表 聖望学園高等学校の捕手として出場。
2019年12月から4ヶ月間と2022年3月よりJICA青年海外協力隊としてニカラグア共和国・首都マナグアへ派遣され、代表チーム結成のためのセレクションや大会への帯同、少年少女が参加する野球教室の開催を行っている。
また、日本の野球文化を伝え人間形成の土台を作ることを目指し活動している。
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