11月24日まで行われた「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」。侍ジャパンは初優勝を目指すチャイニーズ・タイペイに0対4で敗れ準優勝。2019年の第2回大会に続く2回目の優勝は果たせなかったが、大きな収穫を得た。
今大会は連覇を目指すとともに「長く日本の野球が世界のトップであり続けるために」という命題のもと戦った。
2026年に第6回WBC、27年にロサンゼルスオリンピック予選も兼ねる可能性がある第4回プレミア12、28年にロサンゼルスオリンピックと主要な国際大会が続く。それだけに井端弘和監督は「ずっと同じメンバーというわけにはいかないので、若い選手をどんどん起用していくことがWBCやロサンゼルスオリンピックに繋がっていくと思っています」「どんどん国際大会を経験させないといけません」と積極的に若い選手たちやトップチームの経験が少ない選手を招集した。
また、井端監督は選手たちにも「今回ここでミスしたから次は呼ばないとかはない。経験して次に生かしてくれたらいいので」と積極的な姿勢を求めた。その中で台頭した選手が多くいる。
投手陣で目立ったのは髙橋宏斗(中日)、才木浩人(阪神)、藤平尚真(楽天)の3人だ。
髙橋は昨年3月のWBCで中継ぎのみの3試合3イニングの登板ではあったが、今大会は主戦投手の1人として2試合に先発し計8回2失点と好投。「ストレートとスプリットをしっかり投げることができれば十分に戦える印象でした」と収穫を語るとともに「もっと自分にできることがあったんじゃないかという思いがあります」と課題も見つけ、「いつもと違う調整や完全アウェーの雰囲気、シーズン中にはまだ経験したことのない一発勝負など難しかったですが、経験できて良かったです」と振り返った。
才木は各世代含め侍ジャパン初選出だったが、2試合に登板し10回3分の2を投げて2失点。オープニングラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦では完全アウェーの異様な雰囲気の中で「場慣れできました」と尻上がりに調子を上げ3回から5回は無安打に抑えるなど高い対応力を見せた。
そして救援で6試合6イニングに登板して無失点に抑えた藤平はトップチーム初選出(U-15代表、U-18代表は過去に選出)だったが、決勝進出の立役者の1人と言ってもいい活躍を見せた。特にオープニングラウンドのキューバ戦では1点リードの最終回に1死満塁の大ピンチを連続三振で脱出。雨が降りしきる悪条件の中で、ストレート勝負で追い込み、最後にフォークを決めきり「もしこういう経験が今後あったら思い出して投げられるかなと思います」と自信を掴んだ。
野手陣ではチーム最多の21塁打を記録しベストナイン(二塁手)を獲得した小園海斗(広島)、最多得点(13)を受賞した森下翔太(阪神)ら昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップでも活躍した選手が継続して結果を残した。金子誠ヘッドコーチが「(国際大会は)移動もそうだけど、試合前の練習時間も短いし慌ただしい。それについていけている選手が結果を出せている」と大会中に話していたように、普段とは異なる環境や連戦の中で結果を出した選手たちは、今後の国際大会において頼もしい存在だ。
打線全体を見ても村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)、万波中正(日本ハム)といった長距離砲を故障で招集できなかったものの、4安打完封負けを喫した決勝戦を除けば繋ぎの野球を展開し1試合平均で8点近い得点を挙げた。また、失点直後の得点も大会通じて10回もあり主導権を渡さない戦いを繰り広げることができた。
大会連覇という最高の結果は掴めなかったが、貴重な経験を積んで得た収穫と課題は大きな糧になる。チーム最年長の源田壮亮(西武)が「初めてユニホームを着た選手はまた着たいと思ったでしょうし、僕もそう思いました。みんなで日本の野球全体のレベルアップをさせて次の大会で優勝したいです」と語ったように、今大会を経験した選手たち一人ひとりのプレーや行動が、今後の野球界発展や侍ジャパンの強化に強く寄与していくことを期待したい。
ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12
試合日程
オープニングラウンド(グループB)
2024年11月13日(水)19:00 日本 9 - 3 オーストラリア
2024年11月15日(金)19:00 日本 6 - 3 韓国
2024年11月16日(土)19:00 チャイニーズ・タイペイ 1 - 3 日本
2024年11月17日(日)19:00 日本 7 - 6 キューバ
2024年11月18日(月)19:00 ドミニカ共和国 3 - 11 日本
スーパーラウンド
2024年11月21日(木)19:00 日本 9 - 1 アメリカ
2024年11月22日(金)19:00 日本 9 - 6 ベネズエラ
2024年11月23日(土)19:00 日本 9 - 6 チャイニーズ・タイペイ
決勝
2024年11月24日(日)19:00 日本 0 - 4 チャイニーズ・タイペイ
開催球場
オープニングラウンド(グループB)
バンテリンドーム ナゴヤ、台北ドーム、天母スタジアム
スーパーラウンド・決勝・3位決定戦
東京ドーム
出場チーム
グループA
メキシコ、アメリカ、ベネズエラ、オランダ、パナマ、プエルトリコ
グループB
日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、キューバ、ドミニカ共和国、オーストラリア