台湾・台北市で3月11日から14日まで行われた『2025第2回 ユースBaseball5 アジアカップ』で優勝した侍ジャパンBaseball5ユース日本代表が帰国。勝因や喜びを選手・スタッフが語った。




雪辱を果たし初優勝
参加7チームによる総当たり形式のオープニングラウンドを5勝1敗の2位で通過し、決勝戦ではチャイニーズ・タイペイと対戦。オープニングラウンドでセットカウント2対0 (0対4、3対8)で敗れた相手との再戦だったが本池太一監督は思いきった作戦に出た。第1、2セットのどちらかを女子3選手にしなければならないルールの中で、オープニングラウンドとは異なり第1セットに女子選手3名を起用。ここでたとえセットを落としても、第2セットで取り返し、第3セットで勝負に出る作戦に出た。
そんな中、第1セットは2対7と敗れたものの、女子選手の奮闘もあって相手にプレッシャーをかけることに成功し、相手の女子選手が3名となった第2セットを12対5で奪うと、優勝の行方は第3セットへ。
初回から2点を幸先よく先制すると、2回にも2点を奪ったが、3回には1点差に迫られると4回には同点に追いつかれた。だがこの勝ち越されてしまいそうな場面で星優大(横浜隼人高/横浜隼人Aggressive)が地面スレスレの打球をダイレクトキャッチ。これでピンチを脱すると、最終5回表に星と平野将梧(横浜隼人高/横浜隼人Aggressive)の連打などでチャンスを作り、谷尾心瑚(東京都立国分寺高/Spirit Bonds YAMASAKI)の内野ゴロの間に星が生還。5対4と勝ち越しに成功した。このリードを裏の回も星の好守などで守りきり、侍ジャパンBaseball5ユース日本代表が初出場で初優勝。嬉し涙で喜びを分かち合った。
この結果により、今大会の3位以上に与えられる「WBSC ユース baseball5 ワールドカップ」(今夏以降にメキシコで開催)、「DAKAR 2026 YOUTH OLYMPIC GAMES」(来年 10 月からセネガル・ダカール)への出場権も獲得した。





フィールド内外で積極的に交流
優勝カップを携え帰国した選手・スタッフは口々に勝因としてチームワークを挙げた。
最優秀女子選手に選ばれた森本愛華(中京大中京高/日大二高・中京大中京5)は「自分たちの良さはコミュニケーションを円滑に取れるところなので、ベンチでもフィールドでも声を掛け合うことで、(地元の)相手の応援も乗り越えることができました」と振り返った。
宿舎内でも、平野が「宿舎ではお菓子パーティーやトランプ、UNOをして遊んで、だいぶ盛り上がりました」と明かすようにチームワークを醸成。所属や性別を超えて一体感が生まれ「全員で戦うことができました」と語った。六角彩子コーチも「仲良く、お互いがお互いを尊敬しながら生活していました」と目を細めた。
Baseball5のWBSC公認インストラクターも務める同コーチは「この世代の子どもたちがこれだけ熱くやってくれて、私たちもとても勉強になりましたし、思いきりやれる環境をより作っていきたいです」と競技の今後にも目を向けた。
他チームの首脳陣と意見交換をした中での発見も多く、今大会で4位に入ったイラクについては「24チームあって年に2回の国内大会をしているそうです。また、選手たちは野球・ソフトボールをまったく知らないと聞きました」と、道具をほとんど必要としない競技だからこその発展性も感じたという。
そして、選手たちも様々な国・地域の選手たちと交流し「いろんなチームの選手と会話して、多くの友達を作ったと思います」と、国際試合だからこそ得られる財産を得た様子についても嬉しそうに語った。
これでチームは解散。それぞれが普段行う硬式野球、軟式野球、ハンドボールに戻っていき、今後予定される世界大会に向けて選手選考は今回の選手だけでなく再度行う方針だ。本池監督は「どうやってBaseball5に取り組む時間を増やしていくか案を練って臨んでいきたいです」と課題を挙げた。
まだ歴史の浅い競技ではあるが、1つずつ歴史を重ね、さらなる発展を目指す。そして、若い選手たちが今回の貴重な経験を今後の競技生活や人生に生かしていってくれることに期待したい。