2025年11月8日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で「侍ジャパン宮崎秋季キャンプ2025」の3日目が行われ、この合宿では初となる実戦練習が行われた。

11時すぎから行われたライブBP(実戦形式の打撃練習)では髙橋宏斗(中日)、曽谷龍平(オリックス)、北山亘基(日本ハム)、藤平尚真(楽天)が登板。NPBでは導入されておらず、「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)では導入されるピッチコム(サインの伝達機器)とピッチクロック(投手は球を受け取ってから走者無しの場合は15秒、有りの場合は18秒以内に投球を始めなければいけない。打者は残り8秒になるまでに打撃姿勢を完了しなければいけない)を使用した。
どちらも投手・打者は実戦形式では初めて使用する中、キレの良いボールも鋭い打球もあったが反応は様々だった。
3番手で登板した北山は「もともとテンポが早いので不安はありませんでした」「まったく気にせずいつも通りに投げていたら超えませんでした」と、今回はあえてクロックを見ず。「試合では見ますし、ランナーいる方が気になりそうですが、問題ないですね」と問題無いようだ。
一方で、間の取り方については「いつもサインを見てから間を取るのですが、その時間が無い(足りない)」と振り返り、いつもより短い時間になりながらも、その中で「自分なりにひと呼吸を置いたら、テンポを変えて単調にならないようにしたいです。強弱をつけたらもっと安定していくと思います」と工夫していくようだ。
4番手で登板した藤平は、ピッチクロックがあることによる“急かされている感”について問われると「メチャクチャありますね。クロックが減っていくので“もう投げないといけない”という感覚はあります」と正直に吐露。昨年出場したプレミア12では走者無しの場合のみのピッチクロックの採用で、制限時間も20秒だったため、今回は短く感じるという。そのため「首1回振ったらクロックがギリギリ、2回振ったらオーバーするので、そこは割り切って投げることも必要ですし、もう少し話し合いが必要だなと思います」とした上で、「自分の投げたいボールとキャッチャーのデータを合わせていけたらと思います」とコミュニケーションがより重要になってくるとした。また、MLBでは投手がサインを送るケースもあるが「捕手の方は僕よりデータを何十倍何百倍も見てサインを出してくれているので」と、その考えは無いことを明かした。

打者は投球のテンポが速くなることに合わせる必要があり森下翔太(阪神)は「走者がいる状況は短く感じました」と明かす。また、「肩にバットを乗せた状態では“構えていない”(打撃姿勢が完了していない)と捉えられるのかどうかを質問しました」と話し「面(顔)が投手に向いていれば大丈夫と言われました」と、これまでのルーティンで行けることを確認できたという。
また時間の制限では「前の打者の打席が完了してから30秒以内で打席に入らなければいけない」というものもあり、選手の中にはバットにスプレーをかけてから、やや慌てて打席に向かう選手もいた。右中間への鋭い打球を放った牧秀悟(DeNA)は「打席に向かう際に(いつもの)ルーティンをしていたら時間が無いので、そこは上手くできるものを考えていきたいです」と語った。
9日は休養日となり、10日は初の実戦となる広島戦を13時からひなたサンマリンスタジアム宮崎で行い、WBCで導入されるルールやシステムに慣れていく。
監督・選手コメント
井端弘和監督
「投手がボールを受け取ってからカウントダウンになるので、投手がマウンドに戻ってから捕手が返球するなど、いろんな気を遣っていましたね。打者もサインをいつも通り出していたら、あまり時間が無いので、こちら側(首脳陣)も早く慣れていきたいです。お客さんが入った中で集中が高まるとまた変わってくるので、大会本番に向けて経験することが大事になってくると思います」
北山亘基(日本ハム)
「大会使用球で打者相手に投げるのは初めてだったので、いろいろ確認できて良かったです。高めに行った球はだいぶ強さが出るのですが、ゾーンに行った時のボールの差し込み方はいつもと違いました。落ち球も引っかけていたので調整していきたいです。大会使用球は滑るとかは無く、大きなギャップは感じませんでした。プレミア12 の使用球は小さく感じましたし、この球もNPBの球ともまた違う感じですね。特に縫い目ですね。起用法はまだハッキリと言われていないですが、いろんなシチュエーションに対して準備していきます」
藤平尚真(楽天)
「少し力むとストレートが高めに浮くことはありましたが、変化球もストライクゾーンに投げられていたので大丈夫だと思います。去年のプレミア12 は走者がいない場合のピッチクロックだけだったので慣れないといけません。僕の場合、ピンチになると間を長く使うことを意識する時があるので、そこはパッと整理して、早い間と遅い間で(使い分けて)勝負したいです」
























