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2014 SUZUKI 日米野球総括

2014年11月28日

 MLBオールスターチームを日本に迎え、2006年以来、実に8年ぶりに開催された日米野球が幕を下ろした。侍ジャパントップチームは、親善試合を含めた計6試合を戦い、4勝2敗と勝ち越しに成功。3年後の世界一奪還をにらみ結成された新生・小久保ジャパンにとっては、有意義なシリーズになったかと思われる。

 今シリーズを通じて、日本の強みである投手力の高さが光った。第1戦、国際大会の経験も豊富な前田健太(広島)が5回無失点と実力を発揮すれば、続く第2戦では金子千尋(オリックス)が3失点ながら5回を投げ、被安打3、5奪三振の投球でMLB打線を封じた。さらに圧巻だったのは第3戦。侍ジャパン初選出の則本昂大(東北楽天)が、シーズン中と変わらぬストレートを中心とした投球で5回を6奪三振でパーフェクトに抑える快投を演じると、6回以降は西勇輝(オリックス)、牧田和久(埼玉西武)、西野勇士(千葉ロッテ)が四死球こそ許したものの、いずれも安打を許すことなく試合を締め、見事ノーヒットノーランの偉業を達成した。日米野球でノーヒットノーランを日本側が達成するのは初めて。過去の国際大会でも結果を残してきた日本の投手力が、変わらず健在なことを示すことができた。

 攻撃陣は、親善試合を含めた6戦で計22得点を奪った。ホームランこそ3本に終わったものの、ほぼ全試合で固定された柳田悠岐(福岡ソフトバンク)、菊池涼介(広島)の1、2番コンビを筆頭に、常に次の塁を狙う走塁意識の高さが目立った。メンバー選考の段階から打力だけでなく、打って、走れて、守れる選手を中心とするチーム方針は伺えていたが、今回の結果をもって、今後の侍ジャパンの完成形も見据えることができた感がある。

 侍ジャパンの今後の課題としては、第4戦で先発した藤浪晋太郎(阪神)、第5戦で先発した大谷翔平(北海道日本ハム)といった次代の日本球界を背負って立つべき両右腕が、ともに制球に苦しみ2戦連続して負け投手となった。また打線も、試合に敗れた第4戦、第5戦ではともに1得点のみ。特に第5戦ではMLB先発・シューメーカーに5回2安打と封じられた。シューメーカーには第1戦でも黒星こそつけたものの5回2失点の好投を許した。過去、WBC等のトーナメント戦で、いわゆる“日本キラー”のような存在に苦汁を飲まされた経験もある。短期間で同じ投手と対戦する際の対応策なども、今後は求められることだろう。

 今シリーズでは、これまで国際試合の際にしばしば議論の的となってきた、使用球の違いやマウンドの硬さなどの問題については、各選手がパフォーマンスを落とすことなく対応できていたように映る。初選出の選手も多い中で、一定の成果を見せたシリーズと言えるのではないか。まずは来春予定されている強化試合でその完成形を追求し、秋に予定されている国際大会で今回見せた“強さ”を、引き続き示していくことが、「世界一奪還」への道につながるのではないか。

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