7月12日(火)、「第40回日米大学野球」がハードオフエコスタジアム新潟で開幕した。独特の緊張感が漂う試合は、侍ジャパン大学代表が2回に先制を許すも、5回に森川大樹捕手(法政大)が逆転タイムリーを放ち、侍ジャパン大学代表が2-1で逆転勝ち。投げては先発・佐々木千隼投手(桜美林大学)の7回12奪三振の力投が光り、両チーム合わせてわずか7安打の投手戦を制した。
3投手で4安打1失点リレー
「100点でいい。初めての国際舞台で7回1失点は大したもんだよ」
試合後の記者会見で佐々木千隼投手が自身の投球を「95点」と自己採点すると、横井人輝監督がそれを否定し最大限の賞賛を与えた。
これまで国際舞台はおろか全国舞台にすら立ったことのなかった佐々木にとって、日米大学野球開幕戦の重圧は計り知れないものがあった。「立ち上がりは力んでしまいました」と佐々木が振り返るように、2回に安打や四球でピンチを迎えると、8番マイク・リベラ捕手(フロリダ大)にレフト前へ運ばれ、先制点を許した。
だが、以降は「苦しい場面から修正できるのが彼のポテンシャルの高さ」と横井監督が唸ったように、3回に三者連続三振を奪うと、その後も三振を量産し、7回を投げ3安打12奪三振の力投を見せた。
8回からはサイドハンド左腕・齊藤大将投手(明治大)が登板し、打者2人を危なげなく打ち取る。2番・ジェレン・ケンドール外野手(バンダービルト大)にはセンターオーバーの三塁打を打たれるが、中継の乱れを付いて本塁を狙ったケンドールを京田陽太内野手(日本大)が好カバーから本塁に正確な送球を送り、同点を許さなかった。
そして9回には今大会で抑えを務める右腕・田村伊知郎投手(立教大)が危なげなく三者凡退に斬って取り、侍ジャパン大学代表が投手戦を制した。
森川が攻守に渡る活躍
「死に物狂いでした」と、殊勲の逆転打を森川大樹捕手(法政大)はそう振り返った。
5回、それまで先発の196cm右腕・ターナー・ホウク投手(ミズーリ大)が長いリーチから投じる140km/h台後半のストレートと海外投手特有のムービングボールに苦しんでいた侍ジャパン大学代表は、吉川尚輝内野手(中京学院大)と北村拓己内野手(亜細亜大)の連続内野安打、死球で1死満塁のチャンスを作る。
併殺を最も避けたい場面でありながら、球威があり犠牲フライを打つのが困難なホウクに対し、ベンチからは「何が何でも“一、二塁間に打て”」という指示。そこで森川はファウルで渋とく粘ると、8球目を一、二塁間に転がし、打球はライト前へ。二塁走者も生還し、この回のみの3安打が勝負を分けた。
またマスクを被っては、フォークの落差が良くなかった佐々木に対しては、3回からはシンカーを増やし、状態が良くなると再びフォークを使う好リードで大学米国代表打線を惑わせた。
3人の好捕手が並ぶ中で「性格の明るさに加え、繊細に打者を見る目といった感性を持った捕手」と評価する横井監督の期待に、最大限に応える活躍を森川は見せ、貴重な開幕戦勝利を呼び寄せた。
2回戦は、13日18時からハードオフエコスタジアム新潟で行われ、先発には主将を務める右腕・柳裕也投手(明治大)の先発が予想されている。
コメント
侍ジャパン大学代表・横井人輝監督
「今日は佐々木の投球に尽きます。7回1失点くらいの投球を期待していて、その通りの活躍をしてくれました。森川には“一、二塁間に打て”と指示しましたが、言われてもなかなかできることではありません。ファウルで粘って、打てる球を呼び込んでくれました」
侍ジャパン大学代表・佐々木千隼投手
「力みは自分でも感じていたので修正しようと思っていて、監督も良いタイミングで間を取ってくれました。12三振は降板してから気付きました。森川のリードのおかげです」
大学米国代表・ジョージ・ホートン監督
「相手の打者は三振をせず(0個)、投手もコントロールが良かったです。あれだけ三振を取られてしまっては厳しい。佐々木の縦に落ちる変化球は、ストライクからボールにすることができるだけでなく、カウントを取ることもでき、バリエーションが豊かで打つのが難しかったです」
第40回 日米大学野球選手権大会
大会概要
出場選手
全日本大学野球連盟 公式サイト(外部サイト)
大会結果
第1戦 7月12日(火) 日本 2 - 1 アメリカ
第2戦 7月13日(水) アメリカ 0 - 1 日本
第3戦 7月15日(金) 日本 0 - 1 アメリカ
第4戦 7月16日(土) アメリカ 10 - 2 日本
第5戦 7月17日(日) 日本 5x - 4 アメリカ
大会期間
2016年7月12日~17日(※予備日7月18日)
会場
7月12日(火)、13日(水)ハードオフエコスタジアム新潟(新潟)
7月15日(金)明治神宮野球場(東京)
7月16日(土)、17日(日)草薙球場(静岡)
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