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侍ジャパン女子代表・大倉孝一監督インタビュー 女子野球を広めるため、5連覇へ

2016年8月29日

 いよいよ9月3日の開幕が目前に迫った「第7回WBSC女子野球ワールドカップ」(韓国・釜山開催)。侍ジャパン女子代表「マドンナジャパン」は前人未到の大会5連覇に挑む。2月のトライアウトから始まり、4度にわたる厳しい選考・合宿を経てきたチームは、ここまで、どのように仕上がっているのか?そして5連覇への青写真は?3大会連続でチームを率いる大倉孝一監督にお話を伺った。

――侍ジャパン女子代表は今年2月のトライアウトから始まり、選考を兼ねた強化合宿を重ね、今を迎えようとしています。先日の松山合宿でいよいよ「第7回WBSC女子野球ワールドカップ」メンバー20名が顔を合わせたチームの状態はいかがでしょうか?
「コンディショニング面については大会直前の最終合宿で作り上げていき、現地・韓国に入ってどうするかですね。 ただ、プロ選手(日本女子プロ野球機構所属)を含めての技術的な部分やチーム内のコミュニケーションという面ではまずまずです。走・攻・守がそろっていて『ブレない』選手が集まってくれました。」

――その選手たちが事あるごとに言っていたのが「選考に漏れてしまった選手の思いも含めて」。とても絆の深さを感じました。それだけに、指揮官としてここまでの選考はご苦労も多かったのではないでしょうか。
「トライアウトで25人を選んだ時点から『みんなでひとつのチームなんだ』ということは繰り返し言ってきました。だからこそ『仲間だ』という意識は高いんです。 ですから選考に関しても理想としては、もっと人数も多くして時間もかけて選考をしたいという部分はあります。だけれどもそういうわけにはいかない。 選手たちに代表候補から落ちてしまったことを告げるのは確かに辛い。けれど、そこで前向きになれるような選手でないと試合に勝つことはもちろん『女子野球を広める』という僕たちの使命は果たせない。もちろん、前向きになれるように話もしています。」

――大会5連覇にあたってはキーマンが必要だと思いますが、打撃陣での候補生は?
「打順を含めて、まだ細かいところは決まっていないです。オープニングラウンドで実際に試合をしないとなんとも言えない部分があります。 ただ、クリーンナップを予定している三浦伊織(京都フローラ)、川端友紀(埼玉アストライア)は言うまでもありませんが、その前後の1・2番や7・8・9番を僕は重視しています。 今のところ、そこに入ってきそうなのは1・2番であれば六角彩子(侍)や小島也弥(環太平洋大学2年)。下位打線には船越千紘(平成国際大学2年)、寺部歩美(兵庫フローラ)あたりが入ってきそうです。」

――対する投手陣の方はいかがでしょうか?
「里綾実(兵庫ディオーネ)を中心にするは間違いないです。その他はかなり若返りましたから、あとはオープニングラウンドの様子を見ながらになると思います。チーム最年少の清水美佑(埼玉栄高校3年)については……。普段通りのプレーをしてくれたらいい、活躍してくれたら儲けものという気持ちです。あまり期待をしてしまったら、爆発力も計算に入ってしまうでしょう?それよりは、その選手のできることを確実にやってくれれば結果がついてくるように考えておきたいですね。自分の7割くらいの力を出せればそれでいいんです。それで勝てるように僕たちは組み立てていますし、7割を出せれば結果は付いてくるような選手を選んでいます。」

――では、そういった計算の下「第7回WBSC女子野球ワールドカップ」で侍ジャパン女子代表が目指す野球とは?
「僕がトライアウトの時から選手たちに繰り返し言っている『きめの細かい野球』です。どうしても体が大きくパワーもある海外の選手と対戦するときは守りに意識が行きがちだけど、それだけでは勝てない。かといって、守りも疎かにするわけにはいかない。だから理想は『10対0』で勝てるチーム作り。10点はなかなか取れない数字ですけど、もし取れたとしても、自分たちがやるべきことをしっかりと積み重ねていく。得点しても気を抜かず、きっちり進塁を狙うことや、相手をゼロに抑えるということを求めています。」

――大会5連覇を目指す上でのライバルと言えばやはり……
「アメリカですね。ただ、世界の女子野球は成長しています。オープニングラウンドの同グループで言えば、カナダなども要注意です。その一方で現状では対戦相手の情報が少なすぎる。だからオープニングラウンドはその情報収集と整理、そして自分たちのプレーの確認と組み立てと大忙しになります。もちろん勝たなければいけないのは大前提です。」

――勝ちながら相手はもちろん自分たちのことも情報収集し、分析して試合を組み立てる。大倉監督はじめ、スタッフ陣も寝られませんね。
「毎回のことですけれどね(笑)。ただ、選手たちに対しての情報は目の前の試合に関してしか与えません。試合に集中してほしいし、余計なプレッシャーを与えたくない、安心させたいためです。落とせない試合だからといって固くなってしまい、自分の力を発揮できないというのが一番怖い。そのために日々コミュニケーションを取って、選手個人がどういうキャラクターなのかを確認しています。分析と準備は対戦相手に限ったことではなく『自分たちこそやらないと』なんです。」

――では、最後に各国からの厳しいマークの中、侍ジャパン女子代表の「第7回WBSC女子野球ワールドカップ」での意気込みをお願いします。
「当然ですが『5連覇』。勝ちに行くし、勝たせてやりたい。やるべきことをやれば結果は付いてきます。女子野球を広めるという使命を果たすためにも、勝ってきます!」

 8月29日(月)から最終合宿を行い、そのまま戦いの舞台へと上がる侍ジャパン女子代表。淡々と、かつ熱い情熱を語る大倉 孝一監督の下、5連覇の先にある「女子野球を広める」使命を果たすために、20名のマドンナたちとスタッフ陣は勇躍釜山の地に飛び立つ。

第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ

大会概要
第7回 WBSC 女子野球ワールドカップ 出場選手(2016年7月10日発表)

大会期間

2016年9月3日~11日

オープニングラウンド
9月3日(土)19:00 カナダ 2 - 8 日本
9月4日(日)14:00 日本 12 - 0 オランダ
9月5日(月)14:00 日本 18 - 0 インド

スーパーラウンド

9月7日(水) 14:00 ベネズエラ 2 - 7 日本
9月8日(木) 19:00 日本 10 - 0 チャイニーズ・タイペイ
9月9日(金) 19:00 日本 10 - 0 オーストラリア
9月10日(土)14:00 日本 6 - 0 韓国

決勝
9月11日(日)18:00 日本 10 - 0 カナダ

会場

韓国釜山広域市キジャン郡

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