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「第7回・野球指導者スキルアップ講習会」を山口で開催

2017年1月22日

 日本野球を支える小・中学生の指導者(軟式野球)を対象に、野球指導の技術的知識や、けが防止、体づくりなどをテーマに侍ジャパン経験者が基礎的レベルを指導。さらなる競技人口の維持・拡大をサポートするために立ち上げられた侍ジャパン「野球指導者スキルアップ講習会」。2014年12月の関西から北海道・新潟・沖縄・山形・徳島と巡っての第7回開催は1月21日(土)山口県山口市にある「山口きらら博記念公園」で開催された。

 講習会には約100名の指導者が参加。午前中に行われた座学では最初に都賀誠二氏(2014SUZUKI日米野球、侍ジャパン強化試合 日本vsメキシコ・日本vsオランダ 侍ジャパントップチーム チームドクター)が「小・中学生のからだの特徴とケガ防止」というテーマで講演。生命の危機さえある脳震盪や熱中症の危険性を示した上で「児童で最も多い怪我はひじの故障」と説明。その主な原因は体の開きが速い、肘が下がるなどのフォームにあることがほとんどで「ひじの痛みは早期に見つかれば手術しないで済むことが多いです」と早期発見の重要性を訴えた。

 続いては青山晴子氏(株式会社明治 スポーツ栄養アドバイザー/2015年侍ジャパンU-12、U-15、U-18担当)が「野球選手の栄養と食事」について講演した。ここでは「9歳~12歳は身長の伸び、持久力の向上、動作習得に重要な神経系の発達が重なるゴールデンエイジであり、この時期の食生活は野球選手としてその後の発達、発育につながるため非常に重要」という説明がされた後、プロで活躍するトップ選手やU-12代表の食事内容を例に挙げ「炭水化物、脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミン」の5大栄養素に乳製品を加えた栄養フルコース型の食事を勧めた。

 昼食休憩を挟んで午後からは多目的ドームでの実技指導へ。最初は仁志敏久氏(侍ジャパントップチーム内野守備・走塁コーチ/侍ジャパンU-12代表監督)が登場。まずは参加者からの質問を受け付けながらオーバーランの仕方やリードの歩幅、スタートの切り方など走塁の基礎知識を実演した。

 また、野球の基本であるキャッチボールで仁志氏は「姿勢を正さないとキャッチボールは出来ません。猫背だと腕も足も上がらずバランスも取りにくい。まず姿勢を正して足を上げて2秒ぐらい止まれるようにして下さい」と、昨年12月「第9回 BFA U-12アジア選手権」で侍ジャパンU-12代表を頂点に導いたメソッドを伝授。その後、内野の名手らしくクイックスローにおける3種類の足の運びを解説し、挑戦した参加者にアドバイスを送っていた。

 その後参加者は4つのグループに分かれて各ポジションで指導を受けた。

 投手を担当したのは鹿取義隆氏(侍ジャパンテクニカルディレクター/侍ジャパンU-15代表監督)と齋藤隆氏(日本通運presents 侍ジャパン強化試合 日本VSチャイニーズ・タイペイ 投手コーチ)。ボールの握りに始まり、テイクバック、トップの位置、リリース、引き手の使い方など順を追ってフォームを説明。鹿取・斎藤両氏は「バランスが大事で足を上げた時に反り過ぎたりかがみ過ぎたりするとロスが大きい。腰の上に頭が来るように。軸がブレるとコントロールにも苦労すると思います」と少年野球で特に多い四球から崩れるパターンの原因にも言及していた。

 捕手を担当したのは先日、侍ジャパン大学代表監督に再就任した善波達也氏。「ホームベースに土がかかっていれば手で払う」といった捕手としての心構えやミットの構え方、ワンバウンドの止め方など技術面を話すと共に「やることいろいろあって難しいポジションでもあるんですけど、いいところを見つめて褒めてあげて、うまくいかないところでアドバイスを送ってレベルアップさせてほしいです」と同じアマチュアの指導者としてエールを送っていた。

 内野手を担当したのは仁志氏。守備の動きを「『スタート、打球を追う、捕球、送球』の4つのフェーズに分けて考えると指導しやすくなる」という考え方を明示してから、それぞれの動きを解説。直前に行ったキャッチボールの基本動作と重ね合わせながらの解説には参加者たちは何度もうなずいていた。また、中継プレーに関する質問には「送球をもらう時は相手に正対して、投げたら半身になる形が良い」と答えていた。

 そして外野手を担当したのは稲葉篤紀氏(侍ジャパントップチームコーチ)。「やってほしいのはバッテイング練習での守備練習。ノックではなく打球捕で判断力を磨いてほしい」と話し、いかに目線をブラさずに打球を追えるかという外野手として重要な能力を養うための練習方法も紹介していた。

 4グループが一巡すると再び全員が集まり稲葉と仁志氏による打撃指導が行われた。ここで稲葉氏は「バッテイングは十人十色なので個性を生かしてあげて下さい」と選手個々の尊重を強調しつつ、「軸足の大切さ、胸を投手にギリギリまで見せない」など良い打者の共通点と児童にありがちな「打ちたい気持ちが前に出過ぎて体が突っ込む、利き手で打とうとしてバットが外回りの軌道になる」などの注意点を解説。

 一方、仁志氏はバント時にバットと目線を合わせる大切さを説き、足を開く構えとクローズでの構え方のそれぞれのメリット、デメリットを説明していた。

 かくして6時間余りの講義は充実の内容で終了。全ての講義終了後、参加者は修了証と「栄養学」「実技編」の2冊の教本を受け取りそれぞれのチームに持ち帰った。なお、次回、第8回となる侍ジャパン「野球指導者スキルアップ講習会」は、2016年2月4日(土)に三重県四日市市にある「四日市ドーム」にて開催される。

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