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"世界の野球"受け継がれるSri Lanka野球の物語~光り輝くスリランカ野球の夢~「スリランカ野球の歴史」

2017年4月7日

文・写真=八木 一弥

 コホマダ(調子はどう)??ホンダイ、ホンダイ(元気、元気)!!
 グラウンドに行くと、人懐っこい笑顔、たちまち握手とハグ。

 ここはインド洋に浮かぶ島、スリランカです。
 初めまして。私は現在ここ、スリランカで、青年海外協力隊の野球隊員として活動させていただいています、八木一弥と申します。これからスリランカ野球についてのコラムを執筆させていただくこととなりました。宜しくお願い致します。

 ところでみなさんご存知でしょうか。先日スリランカ野球の歴史に新たな1ページが刻まれました。
“第13回西アジアベースボールカップ初優勝”
 2月25日から3月1日にかけてパキスタンのイスラマバードで行われました13th West Asia Baseball Cupでスリランカのナショナルチームが宿敵パキスタン(世界ランキング24位,2016年)に4-2で競り勝ち悲願の初優勝を果たしました。

 長い年月をかけ、追い求めてきた栄冠を遂に、勝ち取ったスリランカチーム。彼らの口からまず出た言葉は、「JICAの歴代のコーチたちが居なかったら、今のスリランカ野球はないんだよ。本当に感謝の気持ちでいっぱいだよ」でした。涙を流しながら私にそう話してくれる選手たち。今年のチームの中には10年以上、ナショナルチームの選手として、日本人コーチたちとともに、この日を夢見て戦ってきた選手たちもいました。ついにその夢を実現させながらも、まず感謝の気持ちが口に出てくる。この彼らの心に私も涙が止まりませんでした。

 このインドの南に位置する、面積は北海道の約0.8倍、人口は約2000万人の島国で、現在5000人を超える人々が野球をやっています。
 スリランカには2002年から青年海外協力隊として野球隊員が派遣されており、初代の植田さんから始まり、二代目後田さん、三代目漆原さん、四代目渡辺さんとコロンボ県を中心に大人から子どもまでたくさんの人々と国の野球の発展を願いながら、汗を流してきました。一昨年からは、コロンボ県だけでなくキャンディ県へ望月さん、ゴール県へ山田さんが派遣され、より一層野球の発展に力を入れています。

 現在世界ランキングは52位と、なかなか国際大会へ思うように参加できないまま順位は低迷していますが、今回の西アジア大会優勝を含め、スリランカ野球は着実に成長しています。また、今年9月には台湾で行われる第28回アジアチャンピオンシップ大会に出場します。

 さて、親日国としても有名なスリランカですが、スリランカと日本には深いつながりがあります。野球とは直接関係ありませんが、少しスリランカと日本のことについてお話しさせてください。

 1951年、サンフランシスコ平和条約にて戦争に負けた日本は莫大な賠償金を請求され、領土の分割案まで出ていたことは耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。日本が窮地に立たされた時、スリランカのジャヤワルダナ氏のスピーチが日本を救いました。


(J.R.ジャヤワルダナ博物館にて、撮影:筆者)

「(我々には損害賠償を求める権利がありますが、そうしようとは思いません。)我々は『憎しみは憎しみによっては止まず、ただ愛によってのみ止む』という大師の言葉を信じているからです。私は先週、この会議に出席する途中日本を訪問し、また、日本の指導者達から、大臣の方々からも、市井の人々からも、寺院の僧侶からも、日本の人々は今もなお、平和の大師の影の影響のもとにあり、それに従って行こうと願っているのを見いだしました。我々は日本人に機会を与えてあげなければなりません」(意訳中略有)


(J.R.ジャヤワルダナ博物館にて、撮影:筆者)

 このスピーチがなければ今の日本はなかったかもしれません。このような歴史的な背景も含め、スリランカと日本の深いつながりの中で今の私たちの生活があります。

 話は野球に戻りますが、歴代の野球隊員と関わり、野球を愛してやまないたくさんの方々が現在の野球界を盛り上げています。


日本で審判員や主にアジア野球の普及に尽力されていらっしゃるスジーワ・ウィジャヤナーヤカさん(撮影:永井雅子さん)


昨年、広島東洋カープでのコーチング研修を経て、現在はナショナルチームの監督として活躍されているマリンドゥ・ヘワゲさん(撮影:永井雅子さん)

 たくさんの方との出会いやつながりの中で、現在スリランカの野球は着実に前へ前へと進んでいます。
 スリランカ国内でも、大人になった選手たちが学校のチームのコーチや審判などをしながら、スリランカ野球の発展を夢見て、日々時間を見つけながら活動しています。

 スリランカにはスクールチーム・大学のチーム・クラブチームと軍のチームがあります。現在は少しずつスクールチームや大学のチームも増えており、コロンボ県では8校、キャンディ県(中央州)では9校、ゴール県では8校、スクールチームがあります。私はナショナルチームの活動にも携わらせていただきながらも、主にこのスクールチームへの巡回や、道具やコーチの配置など環境整備などを通した野球の普及活動にメインで携わらせていただいていますので、そちらの様子なども少しずつお伝えできればいいなと考えております。
 2002年に初代の植田さんが来られる以前からスリランカではすでに野球が始まっていたそうです。それでも現在、日本から来たコーチやたくさんの人々とのかかわりの中で今のスリランカ野球があると、野球に関わる方々が感じてくれているのは、共に汗を流し、何代にもわたって繋がれてきた物語があるからだと私は思います。

写真提供:各隊員さん

 これから執筆させていただく中で、そのようなスリランカ野球の物語や、現在のスリランカ野球の様子、今後の夢など、少しでも楽しみながら知っていただければ幸いです。
 どうぞ、よろしくお願い致します。

著者プロフィール

八木 一弥
1993年12月1日生
愛媛県立丹原高校を卒業後、大分大学へ進学。
2016年10月よりスリランカ硬式・軟式野球連盟に青年海外協力隊の野球隊員として配属。「世界中に野球小僧を」モットーに、スリランカの人々に野球の楽しさを伝えいくことを目指している。主な活動は学校・クラブチームへ野球の普及活動、技術指導やナショナルチームの指導。好きな言葉は「野球小僧」。

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