9月3日に宮崎で開幕する「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場する侍ジャパンU-18代表が8月28日、大学日本代表と壮行試合(神宮)を行った。結果は3対7と敗れたものの、2万5018人の大観衆の前で収穫多き一戦となった。
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試合前にはトップチームの稲葉篤紀監督が激励に訪れ、三塁ベンチ前で熱く語った。
「私が侍ジャパンの中で大切にしている言葉は『結束』です。それが一番、大事。皆さん、ぞれぞれのチームから来て、一つになることは大変なことですが、言いたいことを言い合って戦ってほしい。U-12世代からトップチーム、女子まですべて同じユニフォームを着ています。(アジア選手権では)韓国、チャイニーズ・タイペイが永遠のライバルとなりますので、誇りを胸に戦ってほしい。結束力を持って、皆で頑張っていきましょう」
チーム結成から4日目。稲葉監督が強調する「結束」が、永田裕治監督には、はっきりと目に見えてきたという。
「日に日にまとまりが出てきている。中川(主将、卓也、大阪桐蔭)を中心に(2日目の夜に副将に指名した)根尾(昂、大阪桐蔭)日置(航、日大三)、蛭間(拓哉、浦和学院)がよく(選手)ミーティングをしてくれる。前向きな子がたくさんいるので、ありがたい」
この日の壮行試合は本大会を見据え、永田監督は「いろいろなパターンを試してみたい」との位置づけも「MAXの戦い」(同)と、大学日本代表相手に真っ向からぶつかっていった。
まずは、投手陣。先発には「本大会で、どうしても使いたいピッチャー」と明徳義塾・市川悠太を指名した。前日、立大との練習試合は高知大会決勝(対高知商、7月26日)以来の実戦マウンドで、本来の調子とは程遠かった。市川は18人のメンバーで唯一、夏の甲子園の土を踏んでいない。最も真剣勝負の場から離れており、永田監督としては実戦勘を早く取り戻させたかった。初回に三番の立命大・辰己涼介に適時打、四番の亜大・頓宮裕真に2ランを浴びて3失点も、2回以降は立ち直って2イニングを無失点に抑えた。前日は届かなかった140キロ超のストレートを連発し、持ち味のシュートでバットを折らせる場面もあり、永田監督を安心させた。
「(2番手で3失点の)渡邉(勇太朗、浦和学院)はカウントを取りに行ったボールを打たれていたことが分かり、ワンポイントで期待している板川(佳矢、横浜)は、使えるメドが立った」。4番手の大阪桐蔭・柿木蓮は7回裏、一死から立正大・伊藤裕季也に中越えの一発を浴びた。カウント2ボール2ストライクからの148キロストレートを豪快に運ばれたが、永田監督は「押しにいった。本来は変化球。プラス志向に考えて、良い勉強をさせていただいた」と、次につながる被弾であると受け止めた。
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野手陣のターゲットは一つだ。木製バットを本格的に使用して4日目。いかに〝生きたボール〟をとらえていくか、であった。永田監督が声を大にして言ったのは「見ていくな!! 振ってタイミングを取れ!!」の2つのアドバイスだった。指揮官の言葉を実践したのは2安打を放った根尾であり、8回に日体大・松本航の147キロストレートを右越え本塁打にした小園だった。「150キロ近いボールに対応できるのは『何か持っているのかな』と」。小園は2017年春のセンバツまで報徳学園の監督として指導しており「(昨日までは)当てにいっていた。振ろうとする意識を持たせた」と、愛弟子に結果が出たことを素直に喜んでいた。
さまざまなパターンの中で注目されるのが、根尾の起用法である。前日、立大との練習試合はベンチスタートで6回からマウンドに上がったが、この日は「五番・右翼」で先発出場し、8回からイニングを救援し、最速148キロに鋭い変化球で三者凡退に抑えた。根尾の大阪桐蔭での本職は遊撃手(背番号6)である。「ライトから見ていても、小園がショートにいると安心感がある。守りに関してはスキがなくなる」と語り、自身は「調子の良い選手を使っていく方針がある。どこに回るか?与えられたところで結果を出す」と頼もしい。
打って、守って、投げての大活躍だった副将・根尾は、壮行試合の意義をこう語った。
「このチームは発展途上。素晴らしい先輩方とやらせていただいた。このままの状態では勝ち上がれない。明日も大学生の先輩方から勉強させていただいて、1日1日成長して、アジア選手権で連覇したい」
明日も大学生との練習試合が予定されており、東京近郊での直前合宿は最終日。同日夜、決戦の地である宮崎へ移動する予定である。
第12回 BFA U18アジア選手権
大会期間
2018年9月3日~9月10日
グループA
9月3日(月)18:00 日本 26 - 0 香港
9月4日(火)18:00 スリランカ 0 - 15 日本
9月5日(水)18:00 日本 1 - 3 韓国
スーパーラウンド
9月7日(金)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
9月8日(土)18:00 日本 (中止) 中国
3位決定戦
9月10日(月)13:00 日本 14 - 1 中国
開催地
日本(宮崎)
出場する国と地域
グループA
日本、香港、韓国、スリランカ
グループB
中国、チャイニーズ・タイペイ、パキスタン、インドネシア