文・写真=小島尚幸
Boa tarde!
こんにちは!
今年もブラジルから様々な情報をお届けしたいと思いますので、よろしくお願いします。
ブラジルでは12月から1月にかけて夏休み期間です。そのため、ほとんどのチームは、野球の練習も少しの間お休みとなります。
そんな中、12月にブラジル国内の頂点を決める最高峰の大会(大人のカテゴリー)「COPA TOYOTA TAÇA BRASIL DE BEISEBOL E SOFTBOL」が行われました。プロのリーグがないブラジルでは、この大会が1番レベルの高い大会と言われています。
これまでブラジル各地で行われた長い予選を勝ち抜いてきた5チームが頂点を目指し、熱戦が繰り広げられました!
私の配属先であるアニャンゲーラ日系クラブの大人のメンバーもこの大会に出場しました。
出場選手の中には、ブラジル代表の選手はもちろん、国外から来た選手、日本の社会人野球でやっている選手や日本の独立リーグの選手、更には日本のプロ野球、MLBに在籍していた選手なども参加しています。
実際に私も試合を観に行きましたが、かなりレベルが高いと感じました。
スピードやパワーは日本を上回るぐらい迫力があり、とても見応えのある試合でした!
ブラジルでも非常に高いレベルで野球が行われています。
これぞブラジル野球!
しかし、スピードやパワーだけではないのがブラジル野球。
前の記事にも書きましたが、ブラジルには日系人が多くいます。ブラジルに野球を広めたのは日系人と言われているだけあり、今でもブラジル野球の中心となっています。日系人の選手は非日系の選手と比べると小柄でスピードやパワーでは、劣っているところもあります。しかし、それらを凌駕する程の機敏な動きや基本に忠実な守備、シュアなバッティングは非常に大きな武器となっていると感じました。ピッチャーにおいても器用さを活かしたコントロール重視のピッチングを随所に見ることができました。スピードやパワーがある選手もいれば正確なプレーができる技術を持った選手もいるのがブラジルの野球だという印象を持ちました。
ブラジル野球の指導方法
ブラジル野球の練習を見てみると様々な指導方法があります。というのもチームによって異なりますが、アメリカ人の指導者がいるチームもあればキューバ人の指導者がいるチーム、また日本の指導法を取り入れているチームもあります。それぞれ良さがあり、一概にこの指導方法が正しいというのはないと思いますが、それぞれ選手に合った指導をしていくことが大事であると感じています。
主観的になってしまいますが、アメリカやキューバの指導法は、とにかく速くプレーする意識が強いと感じます。ゴロを取ったらどんな体勢でもすぐに投げるダイナミックなプレーなどが印象的です。また、長所をどんどん伸ばしていくという指導も長けていると感じました。打撃フォームや守備の構えも個性があり、自分の型を持っている選手が多く自主性を重んじているように思います。
日本の指導法は、とにかく基本の型を何回も何回も練習し確実性のある正確なプレーをできるようにするというイメージがあります。また、苦手な部分も克服する練習も多く取り入れ、皆がバランスよく成長していくという指導法が一般的だと思います。
今日のブラジル野球は、こういった様々な指導方法を取り入れ、チームや選手に合ったプレースタイルを確立し、成長しているのではないでしょうか。今回の大会においても、様々な練習の成果を存分に発揮したプレーを随所に見ることができました。様々な国、様々な指導者から良い影響を受け、“融合された野球”こそがブラジルの野球であると私自身は考えています。このスタイルをどんどん確立していくことで、ブラジル野球全体のレベルアップを図ることができるのではないでしょうか。
今後のブラジル野球の発展が楽しみです!
また、私自身もそれに貢献できるよう活動に取り組んでいきたいと思います。
今後も配属先の活動内容や大会の様子をお届けしていきますので、よろしくお願いします。
今回も読んでいただきありがとうございました。
- 【第9回】2019年12月9日 「目標に向かって」
- 【第8回】2019年9月20日 「一年を振り返って」
- 【第7回】2019年8月2日 「JICAボランティアによる野球教室及び親善試合」
- 【第6回】2019年5月10日 「ブラジル野球の新たな試み(2)」
- 【第5回】2019年4月4日 「ブラジル野球の新たな試み(1)」
- 【第4回】2019年3月5日 「新チーム始動後に見えた新たな課題」
- 【第3回】2019年2月7日 「融合された野球」
- 【第2回】2018年12月27日 「ブラジル野球を取り巻く環境」
- 【第1回】2018年12月4日 「ブラジル野球の歴史」
著者プロフィール
小島 尚幸
1991年4月23日生
第91回全国高等学校野球選手権大会に埼玉県代表 聖望学園高等学校の三塁手として出場。2018年7月よりJICA日系社会青年ボランティアとしてブラジル・サンパウロ州のアニャンゲーラ日系クラブへ派遣され、少年少女への野球の指導や普及活動を行っている。日系移民が広めてきた野球文化の継承、野球を通しての人間形成を目指し活動している。
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