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"世界の野球"力戦奮闘ブラジル野球!~日系移民が紡いできた夢~「ブラジル野球の新たな試み(1)」

2019年4月4日

文・写真=小島尚幸

 Boa tarde!
 こんにちは!

 2月から新チームが始まり、最近は試合をする機会も多くなってきました。試合をする中で、新たな課題が出てきた一方、練習の成果や新たな可能性、ポテンシャルも見ることができました。選手たちは大会に向けて日々、練習に取り組んでいます。

 さて前回のコラムでも書きましたが、現状私たちのクラブは選手が不足しているという課題を抱えています。
 それを解決するべく新たな試みとして、先日グランドの近くの地域で野球教室を開催しました。野球を少しでも色んな方に知ってもらい、体験することで野球人口の増加を図っていこうという試みです。

 野球教室が開催される前、同僚の方と市役所に訪問し、会議を行いました。私たちのクラブについての紹介、野球の簡単な説明、この活動をするに至った経緯や活動目的などを説明し、市役所協力のもと野球教室を開催することとなりました。
 そしてなんと今回の野球教室は子ども向けではなく、学校の教員を対象にやろうということになりました。
 まずは、子どもたちに対して教育をしている立場の先生たちに野球というスポーツを理解してもらおうということです。ブラジルでは断然サッカーが人気であり、野球の認知度は低いのが事実です。教員の方たちに野球の魅力や素晴らしさを実感してもらい、楽しんでもらいたいということと、教育的観点からも野球は有用であるということを知ってもらいたい、そして野球の魅力などを子どもたちにも伝えてもらいたいという狙いがあります。

 先生たちを集めてもらい、いざ開始!学校内にあるフットサルコートを利用し、まず最初に野球のルールの簡単な説明や道具の使い方の説明をしました。グローブやバットを始めて見る人も多く、興味津々の様子でした。
 その後、野球の基本であるキャッチボールやティーバッティング、ノックなど行いました。ゴロを捕ってガッツポーズ!フライを捕ってハイタッチ!と一球一球、真剣になりながらも楽しんでやっている光景は日本の練習とは少し違った雰囲気がありました。
 限られた時間の中で、野球の説明や魅力を伝えるのは非常に難しく、楽しんでもらえるだろうかという不安がありましたが、捕って、投げて、打って喜ぶ姿を見ることができて私の不安は全くなくなりました。

 最後にチーム別になり、ミニゲーム形式で試合を行いました。ほとんどの人が初心者でルールも完璧には分からない状況の中で行いましたが、これが大盛り上がり!一球一球に歓声が上がったり、判定を巡って「今のはセーフだ!」「いや、アウトだ!」と主張したり、とにかく熱心にプレーする姿が見られ、ブラジル人らしさ全開の試合となりました。
 今回は、総勢60人程集まっていただき開催することができました。試合後「とても楽しかった!」「子どもたちにも野球を教えたい」という言葉を聞き、安心したとともにやってよかったなぁという気持ちになりました。

 しかし、これはまだまだ最初の段階であり、すぐに成果が出てくることではありません。困難なこともあると思いますが、こういった活動を続けていくことが必要だと感じました。今回、教員向けの野球教室をしたことで、これから子どもたちにも野球を伝えていってほしいと思っています。また野球を通しての教育も重要であるということを教員の方々に知ってもらえたことは非常に良かったと思います。
 今後は子どもたちにも対象を広げて、このような活動を続けていきたいと考えています。そして、野球人口の増加に繋げていくことが私たちの役割だと思っています。

 これからもこういった普及活動の様子やブラジル野球について紹介していきたいと思います。
 今回も読んでいただきありがとうございました。

力戦奮闘ブラジル野球!~日系移民が紡いできた夢~
著者プロフィール

小島 尚幸
1991年4月23日生
第91回全国高等学校野球選手権大会に埼玉県代表 聖望学園高等学校の三塁手として出場。2018年7月よりJICA日系社会青年ボランティアとしてブラジル・サンパウロ州のアニャンゲーラ日系クラブへ派遣され、少年少女への野球の指導や普及活動を行っている。日系移民が広めてきた野球文化の継承、野球を通しての人間形成を目指し活動している。

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