7月23日に開幕する東京オリンピックの野球競技には日本を含む6か国が出場。メダル獲得を争う出場国のうち、今回は韓国代表を紹介する。
2019年のプレミア12で準優勝を果たしオリンピック切符を獲得した韓国代表
オリンピック予選も兼ねた2019年のプレミア12では決勝で日本に敗れたものの、アメリカやメキシコらを下して準優勝を果たした韓国代表。アジア・オセアニア枠の1位としてオリンピック切符を獲得した。
過去のオリンピックの戦いでは、プロ選手の参加が初めて容認されたシドニー大会(2000年)の3位決定戦で日本を破って銅メダル、野球競技が最後に開催された北京大会(2008年)は準決勝で日本を破って金メダルを獲得するなど、常に日本の前に立ちはだかってきた。特に北京オリンピックで左腕のキム・グァンヒョン(現カージナルス)に封じられた印象が強い人も多いのではないだろうか。
ただ、北京オリンピックや2009年春に行われたWBC以降は若い先発投手があまり台頭せず、今回のチームもエースと呼べるような存在はいない。2019年のプレミア12の決勝で先発したヤン・ヒョンジョン(現レンジャーズ)は唯一台頭してきた存在と言えるが、MLBに移籍したため今回のメンバーには入っていない。
高卒ルーキーであるイ・ウィリ(KIA)が選出されていることからもその苦しさが窺えるが、キム・グァンヒョンも北京では高卒二年目での大抜擢だったため、同じ本格派左腕でもあり不気味な存在だ。
今回も韓国球界に多いサイドスロー投手が複数選出されており、技巧派の先発がある程度試合を作り、サウスポーや速球派リリーフも組み込んだ細かい継投でカバーする形になると思われる。特定の投手に頼れない編成のチームでも目先を変える多彩な継投で接戦に持ち込めるのは韓国代表の伝統でもあり、不安点をカバーする術はしっかり用意している。
2019年のプレミア12でも活躍したイ・ジョンフ(キウム)
一方の野手陣は若いスター選手が次々に台頭している。中日で活躍したイ・ジョンボムの息子としても知られるイ・ジョンフ(キウム)は高卒1年目から4年連続で3割を記録している巧打の外野手。同様に高卒1年目から29本塁打を放つなどの活躍を見せる主砲のカン・ベクホ(KT)はパワーだけでなく高打率を残せる技術も兼ね備える。
北京オリンピックを経験しているベテラン捕手のカン・ミンホ(サムスン)やMLB経験も持つキム・ヒョンス(LG)の両選手も選出されており、若い選手に経験豊かな選手も加わったバランスの良いメンバー構成。パワーヒッタータイプだけでなく巧打者や脚力のあるタイプなど、投手陣と同様にタイプの多彩さという意味でもバランスが取れている。
韓国らしい粘り強い戦いで、北京に続いて一番いい色のメダルを狙う野心も当然持っているだろう。WBCではここ2大会早期敗退が続いているが、国民が望む結果を久々に残すことが期待されている。