9月7日、「第13回 BFA U18アジア選手権」(8日まで台湾)のスーパーラウンド第2戦が行われ、2大会ぶり6回目の優勝を目指す侍ジャパンU-18代表は新北市立新荘野球場で韓国と対戦。前日のチャイニーズ・タイペイ戦に続く投手戦の末に0対1で敗れたが、当該チーム間での得失点率で決勝進出を決めた。
甲子園初優勝にエースとして貢献した中崎琉生(京都国際)と、昨年に続いての選出となった最速152キロ左腕ペ・チャンスンの両左腕によって始まった試合は、粘り強い投手戦が展開された。
中崎は初回と2回に走者を出すものの、捕手・熊谷俊乃介(関東第一)の盗塁刺や、後続を冷静に打ち取る投球を見せた。4回には1死満塁、5回には1死二塁のピンチをそれぞれ招くが、両イニングとも遊撃手・石塚裕惺(花咲徳栄)が素早い打球処理や中継プレーからの矢のような送球で助け、中崎は5回無失点で役割を果たした。
一方で打線はペ・チャンスンの140キロ台後半のストレートやキレ味鋭い変化球の前に走者を出すも得点は奪えず。4回からマウンドに上がった最速156キロ右腕チョン・ウジュに対しては常時150キロを超えるストレートに押され、4回も5回もチャンスを生かせなかった。
試合が動いたのは6回表。この回からマウンドに上がった坂井遼(関東第一)が韓国の1番パク・チェヒョンにレフトへの二塁打を打たれると、続く打者の打球は三塁手の山畑真南斗(明徳義塾)の好捕でアウトにするも、次の打者の場面でパク・チェヒョンが俊足を生かして三盗を敢行。これをアウトにしようと熊谷は三塁へ送球したが、山畑が捕球できず後逸(記録は熊谷の失策)。韓国に先制を許した。坂井はその後も連打を浴び1死一、二塁のピンチを招くが、続く打者を三振に抑えたところで降板。得失点率の関係でもう1点もやりたくない状況(後述)で小倉全由監督は今朝丸裕喜(報徳学園)を投入。空振り三振を奪い最少失点で切り抜けた。
するとその裏、反撃を試みる。だが、ライトへ二塁打を放った石塚が三塁を狙うが、パク・チェヒョンの素早い打球処理や内野手との好連係で三塁タッチアウト。さらにレフト前安打と暴投で二塁に進んでいた徳丸快晴(大阪桐蔭)が櫻井椿稀(鶴岡東)のファースト前への詰まった打球で一気に本塁を狙ったが、一塁手ヨム・スンウォンが冷静に本塁へ送球し生還ならず。
それでも7回表、今朝丸が「絶対に抑えるという気持ちでした」と振り返る気迫の投球で2死を取ると、四球で走者を出すが、その後に熊谷が盗塁を刺して2点目を許さず。これが決勝進出の大きな決め手となった。
その裏、韓国の3番手左腕チョン・ヒョヌに三者凡退に抑えられて0対1で試合終了。
この結果、スーパーラウンドの成績(オープニングラウンド同組からの進出チームとの対戦成績は持ち越し)としてチャイニーズ・タイペイ、韓国、侍ジャパンU-18代表が2勝1敗で並んだ。さらに当該国間の成績でも、どのチームも1勝1敗で並んだため、得失点率で上位2チームを決める方法が採用。その結果、侍ジャパンU-18代表が1位、チャイニーズ・タイペイが2位となり両チームの決勝進出が決定した。
もう1点取られて2点差の敗戦となった場合は、侍ジャパンU-18代表が3位となっていたため、投手を中心とした粘り強い守備が決勝進出を引き寄せることとなった。
前回大会(2018年)は3位に終わったため、決勝進出は優勝した第11回大会(2016年)以来。2大会ぶりの栄冠を目指し、日本時間8日19時半からチャイニーズ・タイペイと戦う。
監督・選手コメント
小倉全由監督
「勝ちたかったということが1番の思いです。決勝進出の条件は、選手たちは事前に聞かない方が余計なことを考えなくていいので伝えていませんでした。あれ以上点を取られるわけにはいかなかったので今朝丸に託しました。どうしても速球には押されてしまっていますよね。それでもよく守って粘り強く踏ん張ってくれています。胸を張って決勝を戦いたいです」
中崎琉生(京都国際)
「昨年のU-18W杯での前田悠伍投手(大阪桐蔭、現ソフトバンク)の映像を見て、チェンジアップが有効だと思っていましたし、スライダーを見切られていた中で、要所でチェンジアップが良く決まりました。(球数制限で決勝は投げられないが)チームのためにみんなを信じて、声を出したいです」
今朝丸裕喜(報徳学園)
「1点ビハインドでの登板だったので絶対に抑えるという気持ちでした。自分の投球ができました。持ち味のストレートを投げることができました。負けたのは悔しいです。決勝は(チームとして)完封で勝てるよう、全力で倒しにいきたいです」
石塚裕惺(花咲徳栄)
「(好守について)守り勝つ野球が日本の野球なので体現できました。(6回の二塁打は)なんとか突破口を開きたいと打席に立ちました。(4番として)見えないプレッシャーがあるかもしれませんが、教わってきた野球をするだけです。(花咲徳栄で監督の)岩井先生には“今日は(テレビで)解説するから1本打てよ”と、同期の岩井監督の息子を通して言われました(笑)走塁はコーチが止めていたようですが行ってしまいました。良い投手が多いですが、手も足も出ないような投手たちではないので、今日の二塁打の打席のような集中で打席に立ちたいです」
第13回 BFA U18アジア選手権
大会期間
2024年9月2日~9月8日
オープニングラウンド(グループB)
2024年9月2日(月)14:30 日本 19 - 0 香港
2024年9月3日(火)14:30 スリランカ 1 - 20 日本
2024年9月4日(水)19:30 日本 13 - 0 フィリピン
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
スーパーラウンド
2024年9月6日(金)19:30 日本 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
2024年9月7日(土)19:30 日本 0 - 1 韓国
3位決定戦・決勝
2024年9月8日(日)19:30 日本 1 - 6 チャイニーズ・タイペイ
開催地
台湾(台北、桃園)
出場する国と地域
グループA
韓国、チャイニーズ・タイペイ、パキスタン、タイ
グループB
日本、フィリピン、香港、スリランカ