「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」 世界と戦う上での国際基準
2017年9月5日
対外国人のウエストボールはちょうど打ちやすい高さになるため、注意が必要だ
「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(カナダ・サンダーベイ)に出場している侍ジャパンU-18代表はオープニングラウンドを1試合(対南アフリカ)残し、グループBでの3位以上を確定させ、スーパーラウンドへの進出を決めた。
小枝守監督は「崖っぷち」と語ったキューバ戦を制した試合後に「後ろを振り向くことなく、一つひとつを精一杯、常に明るくフレッシュにと思っています」と語った。
だが、悲願の世界一を目指す上で今後、気を付けなければならない"国際基準"があることを明記しておきたい。アメリカ戦翌日、ポート・アーサー・スタジアムのスタンドでTCの麻生紘二氏と会った。TCとは「テクニカルコミッティ」の略で、グラウンドでジャッジする審判員とは別に、試合を統括する大会役員である。簡単に言えば「立会人」の役割だ。麻生氏は東大野球部OBで、甲子園、東京六大学でも審判員を務め、IBAF(国際野球連盟)、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の役員となって20年以上のキャリアを持つ超ベテランだ。
当該国のゲームを担当することはないため、侍ジャパンの試合を見る機会はほとんどない。「DAIRY REPORT」を目にした上で「27アウトのうち23アウトが三振??聞いたことがないですね。それで4得点とは、アメリカはすごいですね」と目を丸くさせていた。
2回に先制されたシーン(一死三塁、カウント0ボール2ストライクから、ウエストしたはずの3球目が外角高めへ甘く入り2ラン)を伝えると、冷静な視点でこう述べた。
「アメリカの選手に限らず、体型の大きい外国人選手は、ウエストボールがちょうど、打ちやすい高さ。だから、ウエストは大きく横へ外すか低めがセオリーなんです」。マスクをかぶっていた中村奨成(広陵)は「高めで釣って」と話していたが、最もリスクの高い配球だったわけである。
もう一つ。4回裏無死一塁、安田尚憲(履正社)の二ゴロが併殺崩れとなった。一走・丸山和郁(前橋育英)は二封となったわけだが、アメリカの遊撃手の一塁転送が高投となった。一塁ベンチからアメリカの監督が飛び出してくる。丸山のスライディングが「守備妨害」であるとの猛抗議だ。しかし、どう見ても、遊撃手のプレーを妨げているようには見えない。一塁への悪送球は明らかに、アピール材料とする"故意"に見えた。このプレーを麻生氏に伝えると、アメリカはこうした行為を日常的にやってくるという。
当然、審判員は抗議を受け入れなかったが今後、日本が最も気を付けなければならないのは"報復"だ。この試合は4対0とアメリカ優位で試合は進んだため、事なきを得たが、仮に接戦の展開になれば、お構いなしで来る危険性がある。再び因縁のアメリカと対戦するならば、決勝の舞台が予想される。日本の常識は海外では通用しない。"国際基準"も頭に入れて、大一番に臨んでもらいたい。
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ