ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018「日本vsオーストラリア」が3月3日にナゴヤドーム、4日に京セラドーム大阪で開催される。「強化試合」とはいえ、2年後の東京五輪を見据えた上で、トップチーム・稲葉篤紀監督は重要な2試合と位置付けている。ここでは、過去の五輪、WBCにおける対オーストラリアとの激闘史を振り返っていく。最終回はファンの記憶にも新しい昨年の第4回WBCである。
一次、二次ラウンドの会場は東京ドーム。キューバとの一次ラウンド初戦を11対6で勝利し、好調な滑り出しで発進した侍ジャパンは、オーストラリアとの第2戦を迎えた。
日本とのカードが大会初戦となるオーストラリアは、第1回(2006年)、第2回(09年)、第3回(13年)を通じて、いずれも一次ラウンド敗退。上位2チームが進出する初の二次ラウンドへ向けても当然、落とせない一戦である。その気迫が序盤、バットに乗り移った。
日本の先発は菅野智之(巨人)。2回裏に七番・デサンミゲルに、先制の右越えソロアーチを浴びる。だが、失投はこの1球のみで、5回途中4安打1失点とエースとしてゲームメーク。1点ビハインドの5回表に松田宣浩(ソフトバンク)の犠飛で同点に追いつくが、その裏、一死一、二塁からスイッチした岡田俊哉(中日)は満塁にピンチを広げる。しかしこのピンチを二ゴロ併殺で仕留め、反撃態勢が整った。
7回表の先頭、五番・中田翔(日本ハム)が左翼席に豪快な一発を放って、勝ち越しに成功。「菅野が一生懸命に投げてくれていたので、早く点が取りたかった。2点目を先に取れて良かったです」。今大会初安打が貴重な逆転弾となった。
8回表には日本の四番・筒香嘉智(DeNA)が主砲としての存在感を見せる。二死一塁から右翼席へ試合を決定づけるホームラン。前日のキューバ戦に続く2ランで、リードを3点に広げた。その裏の守備に就く前、筒香と中田は一塁ベース付近で固い握手を交わしている。クリーンアップ2人による一発で試合を決めると、救援陣も6回以降は3投手が無失点に抑えて4対1、開幕2連勝を飾った。
終盤まで接戦を演じたオーストラリアだったが、先発・菅野の投球にジョン・ディーブル監督は「ああいう投球をされるとお手上げ」と脱帽。結果的に4投手に対して、5安打に抑え込まれ、スコア以上の実力差が出た。
試合後のヒーローインタビューに呼ばれたのは、25歳の四番・筒香と27歳の五番・中田だった。お立ち台で主砲コンビは、笑顔を弾けさせた。2歳上の中田がトークをリード。
「僕の前にゴウ(筒香)が空気を読まずにバンバン打つので、1本出て、本当に良かったです」。一方、筒香は「いったかなって感じです。うれしかったです」と、淡々と振り返り、次戦へと気持ちを切り替えていた。実はこの日は、ダメ押しの本塁打よりも、1回一死二、三塁の先制機での空振り三振を猛省。日本を背負う四番としての責任をにじませた。
インタビュー後は「勝利のハグ」を披露している。照れくさそうな筒香の表情が印象的だったが、4万人以上の大観衆で埋まった東京ドームは大歓声に包まれた。日本の後押しするファンは十分、勝利の余韻を楽しんでいた。
侍ジャパンは中1日の中国戦も勝利して3戦全勝で二次ラウンド進出。一方、オーストラリアは翌日の中国戦を11対0(8回コールド)で勝利したものの、キューバとの最終戦を1点差で惜敗(3対4)し、一次ラウンドで戦いを終えている。
2017年WBC 一次ラウンド
2017年3月8日(水)
東京ドーム 試合:3時間18分 入場者:41,408人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
日本 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 4 | 8 | 1 |
オーストラリア | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5 | 0 |
バッテリー
[日]菅野、岡田、○千賀、宮西、(S)牧田 - 小林
[オ]アサートン、L・ウェルズ、●ウィリアムズ、ケネディ、サール、ローランドスミス - デサンミゲル
本塁打
[日]中田(7回ソロ)、筒香(8回2ラン)
[オ]デサンミゲル(2回ソロ)