9月3日から9日まで宮崎県宮崎市で開催される「第12回 BFA U18アジア選手権」に参加する侍ジャパンU-18代表の第一次候補選手30名が6月20日に発表された。今回はその全30選手を前後編に分けて紹介。投手陣14名について紹介した前編に続き、後編では野手16人を紹介していきたい。
藤原恭大と小園海斗が引き継ぐ「侍魂」
今回、侍ジャパンU-18代表第一次候補選手に選出された16野手は全員が3年生。ポジション別内訳は捕手2名・内野手11名・外野手3名となった。そして、昨年の「第28回 WBSC U-18ワールドカップ」を2年生として戦った藤原恭大(大阪桐蔭・外野手)と小園海斗(報徳学園・内野手)も2年連続で名を連ねた。
藤原は昨秋の近畿大会以来、センバツでもひざ痛に悩まされてきたが、6月16日、17日に開催された香川県高野連招待試合ではテーピングも完全に取り4試合で4本塁打。50メートル5秒7の俊足を生かした走塁と守備も完調に戻っており、9月には万全の状態で臨めそうだ。
小園は枚方ボーイズ3年時に、U-15 アジアチャレンジマッチ2015に出場。そして昨年は第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップに出場し、二世代で侍ジャパン入りを果たした。同大会では主に2番や9番打者としてシュアな打撃とスピーディな守備を披露したが、今年は課題としていたパワー面も強化し、春季大会終了時点で高校通算29本塁打。リードオフマンや中軸起用の可能性も考えられる。
この2人は侍ジャパンU-18代表・永田裕治監督にとっても間違いなく特別な選手。カナダ・サンダーベイで流した涙を宮崎での歓喜に変えるため。藤原と小園にはプレーはもちろん、「侍魂」の継承とチームをけん引する役割も求められることになるだろう。
「甲子園スター」がアジアの頂点獲得へ
その他、内野手では根尾昂(大阪桐蔭)、野村佑希(花咲徳栄)濱田太貴(明豊)といった甲子園でもおなじみのメンバーが名を連ねた。
根尾は投げては最速148キロのストレートと130キロを超えるカットボールを武器に2年連続でセンバツ優勝投手に。打者としても高校通算24本塁打、軽快さと強肩を兼ね備えた遊撃守備には定評がある。大会は選手18名で戦うことを鑑みると、捕手以外はどのポジションも守れる根尾の汎用性は大きな強みとなりそうだ。
野村は昨夏、花咲徳栄の4番打者として6試合で2本塁打6打点、打率.520で埼玉県勢初となる夏の甲子園優勝立役者に。その後も本塁打を重ね、今年の春季関東大会では高校通算52本塁打を記録している。投手としても最速146キロのストレートを投げ込める強肩もあり、三塁手と投手の兼任も可能性がある。
そして高校通算45本塁打(6月17日時点)の濱田は昨夏の甲子園3試合で15打数9安打、打率.600、2本塁打、9打点の大暴れでチームのベスト8入りに貢献。さらに昨秋・今春の九州大会で本塁打を記録するなど大舞台で強さを見せるのも代表向きだ。
捕手・内野手・外野手、ともに精鋭たちが選出
残りの11選手に目を移そう。まずは捕手。小泉航平(大阪桐蔭)は強肩巧打と、様々な修羅場を切り抜けた粘り強いリードが魅力。三重の東亮汰は、複数の投手陣の持ち味を引き出す好リードでセンバツ4強入りに貢献した。
外野手は藤原の他に2名。 蛭間拓哉(浦和学院)は甲子園経験こそないが、1年生の時からベンチ入りするなど強肩強打の外野手。今年の県大会決勝・花咲徳栄戦では9回裏に同点本塁打を放つ底力を見せた。一方、梶田蓮(三重)は巧打の140キロ台の速球にもしっかりと対応できる打撃技術を持ち、センバツでは1番打者として三重の4強入りを支えた。
内野手では日大三の主将・日置航も1次代表候補に選出。センバツの由利工戦では大会1号となる先制ホームラン。春季関東大会の準決勝・常総学院戦でも9回裏に同点弾を放つなど土壇場での勝負強さを持つ。
センバツ4強、この夏は北神奈川大会を戦う東海大相模の攻撃的リードオフマン・小松勇輝は、打撃や遊撃守備、走塁面のすべてに貫く積極果敢さが魅力。春の近畿大会終了時点で41本塁打の林晃汰(智辯和歌山)は2季連続で甲子園でも本塁打を放っている大型スラッガー。気迫あふれる三塁守備もチームに勢いを与える。
また、太田椋(天理)は強打堅守の大型遊撃手で、昨夏は甲子園4強入りに貢献。羽曳野ボーイズ3年時には小園とともにU-15 アジアチャレンジマッチ2015に出場しており、彼もまた二世代連続での侍ジャパン入りを狙う。小幡竜平(延岡学園)も安定したスローイング技術と高いバットコントロールを兼ね備えた大型遊撃手。加えて今大会は宮﨑県開催。地元の星として侍ジャパン入りを成し遂げたい。
さらに山田健太(大阪桐蔭)は183センチ83キロの大型二塁手だが、一塁手・三塁手もソツなくこなす。そして、30名中6名が一次候補にエントリーされた大阪桐蔭勢のリーダー的存在が中川卓也。短期間でチームをまとめないといけない代表チームにおいて、キャプテンシー能力は大きな強みとなる。また、一発を秘めた打撃と内野手すべてを高いレベルで守ることができる守備力も短期決戦に欠かせない要素となるだろう。
ただし、今大会の代表選手は今回の一次代表候補選手30名ばかりでなく、第100回全国高等学校野球選手権記念大会の各地方大会・甲子園の状況を加味した中から改めて18名を選出する予定。この夏、一次代表候補選手たちは誇りを胸にし、それ以外の選手たちは代表への憧れをプレーに転化してのハイレベルな争いの中で、侍ジャパンU-18代表は2大会連続6回目のアジア頂点獲得へのベスト布陣を探っていく。
侍ジャパンU-18代表第1次候補紹介(投手編)
侍ジャパン壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表
第12回 BFA U18アジア選手権
大会期間
2018年9月3日~9月10日
グループA
9月3日(月)18:00 日本 26 - 0 香港
9月4日(火)18:00 スリランカ 0 - 15 日本
9月5日(水)18:00 日本 1 - 3 韓国
スーパーラウンド
9月7日(金)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
9月8日(土)18:00 日本 (中止) 中国
3位決定戦
9月10日(月)13:00 日本 14 - 1 中国
開催地
日本(宮崎)
出場する国と地域
グループA
日本、香港、韓国、スリランカ
グループB
中国、チャイニーズ・タイペイ、パキスタン、インドネシア