ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019「日本 vs メキシコ」の第1戦が3月9日、京セラドーム大阪で行われ、侍ジャパンが2対4でメキシコ代表に敗れた。
先発ラインアップには一番・上林誠知(福岡ソフトバンク)、二番・西川遥輝(北海道日本ハム)、三番・近藤健介(北海道日本ハム)、四番・岡本和真(読売)、五番・吉田正尚(オリックス)など、各所属球団では主軸を張るものの、侍ジャパントップチーム初選出、あるいは選出経験のあまり多くはないメンバーが顔を並べた。試合前、稲葉篤紀監督は「国際試合の独特の緊張感のある中で、普段どおりの力を出すことができるか」とポイントを挙げたが、初回、この上位打線が結果で応えてみせる。
メキシコ先発で北海道日本ハムや阪神でもプレーしたルイス・メンドーサから、先頭の上林が初球140キロ直球を逃さずセンター前に運ぶと、続く西川は四球。一、二塁から近藤はサードへの併殺打に終わるも、四番の岡本が打ち気を抑えて冷静にボールを選び、二死一、三塁とチャンスを広げる。ここで打席に入った吉田が魅せる。オリックスの本拠・京セラドーム大阪の大歓声に迎えられたトップチーム初選出の背番号34は、「先制点のチャンスだったので、ストライクが来たら積極的に打ちに行こうと思い打席に入りました」と1ストライクからの2球目、140キロの直球をセンター前に弾き返し、侍ジャパンが幸先よく先制点を手にした。
4回にはメキシコ3番手のホセ・サマヨアが制球を乱す間に2つの四球を選んで一死一、二塁とすると、八番の甲斐拓也が2ボール2ストライクからの5球目、外角へのスライダーに食らいついてライト前へ運び、追加点。先発のマスクもかぶる甲斐は「キャッチャーとして追加点が欲しかった場面でした。後ろにつなぐことだけ考えてバットを振りました」と笑顔を見せた。
6回には今大会の侍ジャパン最年少19歳でトップチーム初選出の村上宗隆(東京ヤクルト)がセンター前にうれしい代表初ヒットを放つも、その村上がけん制に誘い出されて自らチャンスの芽をつぶすなど、その後はホームが遠く、試合は次第に緊迫した展開へ。
初回の3者連続三振を皮切りに2回を1安打4奪三振無失点に抑え、「稲葉監督から勢いのある投球を期待されていたので、初回の1球目からしっかり投げられるように準備しました。結果的にゼロに抑えられてよかったです」と話した先発の今永昇太(横浜DeNA)、3回からマウンドに上がり2回を1安打無失点に抑えた山岡泰輔(オリックス)は見事なリレーを見せたが、3番手の高橋礼と4番手の松永昂大が誤算だった。高橋は5回こそ無失点で抑えたものの、イニングをまたいだ6回、二死からの四球が痛恨。三番のビクトル・メンドーサを歩かせると、すでに2本の二塁打を放っていた四番のジョーイ・メネセス(今季よりオリックス)にセンター前に運ばれて1点差に迫られる。7回からは逃げ切りを図って左腕の松永昂大(千葉ロッテ)にスイッチしたが、こちらも一死後の死球が失点につながってしまった。一死一塁から九番のアリ・ソリスに同点の左中間二塁打を許すと、一番のクリス・ロバーソンにはサードの頭上を越える適時二塁打でついに逆転を許す。
8回にも6番手・梅野雄吾(東京ヤクルト)が2本の二塁打で追加点を献上した侍ジャパンは、最終回に先頭の村上が四球を選び、一死から京田陽太(中日)がレフト前に運んで反撃の足掛かりをつくったが、上林のライトフライで二塁を果敢に狙った京田が刺されて万事休す。
第1戦を落とした稲葉篤紀監督は、終盤に失点を重ねた救援陣に対して「失点はしましたが、持ち味は出してくれた。勝負に行っての失点。これからの選手ばかりですから」とかばい、つながりを欠いた攻撃陣についても九番から一、二、三番と左が並ぶ打線に「私の打順の組み方が悪かった」と猛省。翌10日は同じく京セラドーム大阪(19時試合開始)にてメキシコ代表との第2戦を戦うが、打順を組み替えて挑むことを明かした。
第2戦は侍ジャパントップチーム初選出の原樹理(東京ヤクルト)、メキシコ代表はマニー・バレダの両右腕が先発する予定。試合終了直後に全員を集めてミーティングを行った稲葉監督は「失敗してもいいから(明日も)積極的にやっていこう」と声を掛けたことを明かし、「1つ勝てるように頑張りたい」。内容、結果のともなった勝利で借りを返したいところだ。