11月7日~16日に台湾で開催される『第1回IBAF 21Uワールドカップ』で、侍ジャパン21U代表を率いる平田勝男監督に、大会に向けての意気込みを伺いました。
――「21歳以下」という限られた世代で構成されたメンバーに、どのような印象を持ちましたか?
大学、社会人、プロの混成チームということで、最初はどうかなという感じがありましたが、同世代の選手ばかりが集まっているということで、選手たちのチームへの溶け込みが非常に早かったです。若い世代がひとつのユニフォームを着ることで、それぞれの垣根を越えた一体感を感じます。
――選手選考ではどのような点を重視しましたか?
野球で大事なのは投手力です。ということで、一軍で投げている中村勝※、上沢直之(ともに日本ハム)が快く参加してくれたというのは非常にありたいです。そして、ドラフトで指名された社会人の横山雄哉(新日鐵住金鹿島)、野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜)らが入ったのは大きいですね。アマチュアは大学のリーグ戦、社会人は大会もあって招集が遅れましたが、いい顔ぶれが揃いました。選手の構成、そして練習場所の確保などに関しては、各球団の協力と、テクニカルディレクターの鹿取(義隆)さんをはじめとした、多くの方の努力があってこそ成り立っているのでとても感謝しています。
――選手起用はどのようにお考えですか?
ピッチャーは豊田清コーチが合宿の間、一晩中、頭を悩ませて考えてくれました。先発では中村、上沢、森雄大(楽天)、横山が主になってくると思います。中継ぎ、抑えは野村、戸田隆矢(広島)、山岡泰輔(東京ガス)などです。山岡は上背こそないですが、真っ直ぐのスピード、スライダーの切れのどちらも素晴らしいですね。久々にあんなに切れのいいスライダーをみました。今すぐプロでも通用するレベルではないでしょうか。
打線は近藤健介(日本ハム)を中心に牧原大成※(ソフトバンク)、榎本葵※(楽天)、鈴木誠也(広島)を絡めていく形になります。初めて対戦する投手ばかりなので、大量点は望めません。そこで、足を使ったりバントをして、わずかな得点を投手力で守っていく、そういう野球になると思います。
――対戦相手に関してどのようなイメージをお持ちですか?
毎日がトーナメントのようなものなので、台湾に行ってみないとわからないという、手探り状態ではあります。初戦のオーストラリアにはアメリカの1Aやルーキーリーグ所属のいい選手がいるという話も聞いています。しかし、相手がいいということは逆に燃えますし、やりがいがあります。大会が始まるのが待ち遠しくもあり楽しみです。
――国際大会には独特の雰囲気もあると思います。
そうですね。僕自身経験したことがないので、非常に大きな期待と不安で夜も眠れません(笑)
――不安はありながらも監督の表情には明るさが見られます
今回、21Uの監督に声をかけていただいて、こんな光栄なことはありません。野球人としてこのような経験ができるということはとても幸せです。選手にしても同じで、(先月、宮崎で行われた)フェニックスリーグでも「なんで僕を選んでくれなかったんですか」と声をかけてくる選手がいっぱいいました。若い彼らにとって、日の丸のついたユニフォームを着て、国家を斉唱してゲームに臨めるというのは、今後の野球人生に大きくプラスになると思いますね。
――選手にとって国際大会だからこそ、得られるものには何があるでしょうか
やはり日の丸の重みでしょう。日本を代表して各国の同世代の選手と戦うので、日本の野球の「強さ」、「凄さ」、「巧さ」、「日本の野球は違うな」と思わせるような、プライドを持って戦わないとダメです。それは選手にも話しました。
――今大会での目標は
優勝しか考えていません。予選リーグ、決勝リーグと特有の戦略、戦術が必要になりますが、記念すべき第1回大会を優勝で飾るということしか考えていません。選手も同じ目標を持って臨んでいます。
文中の※印はオーバーエイジ枠