侍ジャパン社会人代表は、第27回BFAアジア選手権に向けて、9月13日、Hondaと強化試合を行った。前日は、第41回社会人野球日本選手権の最終予選で不在だったベテランの投手・佐竹功年(トヨタ自動車)、捕手の木下拓哉(トヨタ自動車)が合流。
「2人が合流するだけでやっぱり雰囲気は変わりますね」と、安藤 強代表監督が語るように、この日の侍ジャパン社会人代表は活気があった。
2回表、社会人代表は4番林 稔幸(富士重工業)、5番川戸洋平(Honda)の連続安打で先制のチャンスを作ると、6番足立祐一(パナソニック)が四球を選んで無死満塁。ここで、7番中野滋樹(JR九州)の犠飛で、まず1点を先制。さらに、二死一、二塁と続くチャンスに、9番田中允信(JR九州)のタイムリーで1点を追加。3回表にも、足立の適時打で3対0とリードを広げた社会人代表。
しかし、3回裏。先発の酒居知史(大阪ガス)が、一死二塁からHonda打線に掴まり、2失点。4回裏にも、1番井上彰吾に逆転2ランを浴び、ここで敢え無く降板となる。
5回からは、代表メンバー最年少19歳の田嶋大樹(JR東日本)が登板。田嶋は、
「杉浦正則コーチに、マウンドでは若さを全面に出して行けとアドバイスを頂いたので、勢い溢れる投球を見せたいと思ってマウンドに上がりました」と、気迫を込めたピッチングを披露。リードする木下も、
「ブルペンの時からストレートの勢いが素晴らしかったので、そのストレートを生かせるリードをしようと思っていました」と、速球主体のピッチングを展開。田嶋は、この日、最速148キロのストレートを武器に、5回裏に2三振を奪うなど、2イニングを投げて3奪三振の好投で、Honda打線の勢いを完全に止める。田嶋の投球で一気に流れを引き寄せた社会人代表は、7回表に反撃をみせる。
9番田中のセンター前ヒットから始まり、1番藤島琢哉(JR九州)、2番渡邉貴美男(JX-ENEOS)がそれぞれ四死球で出塁し、満塁のチャンスを作る。続く3番多幡雄一(Honda)が同点打を放つと、4番林の打席でバッテリーミスが生まれ、ランナーが1人生還し、5対4と逆転に成功。さらに、5番川戸洋平(Honda)の打席でもバッテリーミスが出て、1点を追加。
田嶋は、7回裏にも、Hondaの主軸から2三振を奪う快投。8回からは、千葉ロッテ戦で先発した山岡泰輔(東京ガス)が登板。実は、この日の登板は山岡が安藤監督に直訴してのものだった。山岡は走者を出すものの、4回に本塁打を打っている井上を力のある直球でキャッチャーフライに打ち取るなど1回無失点の好投。安藤監督も、
「自分で投げたいという意気込みが素晴らしかったです。頼もしいですね」と、山岡の心意気を褒め称えた。
最終回は、阿部正大(TDK)がきっちり無失点に抑え、6対4で社会人代表が勝利した。前日の課題を個々に克服し、強化試合2戦目のHonda戦では、投打ともに実りのある試合内容をみせた。試合後、安藤監督は、
「野手は昨日打てなかったことを引きずることなく、今日は自分たちの力をしっかりと発揮してくれました。また、一番の収穫は田嶋の投球ですね。本当に素晴らしい投球でした。やっぱり最後は気持ちなんだということを見せてくれるピッチングでした」と振り返った。田嶋自身も、
「今日のストレートは100点満点でした。まだ変化球が決まらないのが課題ですが、勢いあるピッチングができたと思います」と、本戦に向けての仕上がりをみせた。
16日から開幕する第27回BFAアジア選手権。日本の初戦の相手は中国となるが、大会6連覇をかけて、勢いそのままに挑んでいきたい。