文=大嶋賢人
BULA VINAKA
フィジー野球協会の大嶋です。
前回の寄稿から2ヶ月以上が経ってしまいました。
住んでいた所が空き巣に遭って家財道具が無くなったり、引越しをしたりとバタバタして寄稿が遅れてしまい申し訳ありません。
この期間にあった事をギュッと凝縮してお伝えさせて頂きます。
①地域のイベントに参加(マングローブ植林&清掃活動)
②代表チーム選手選抜を開始
③応援キャンペーン
④遂に開始 クラウドファンディング
①地域のイベントに参加(マングローブ植林&清掃活動)
任地内の地域イベントに参加して来ました。
以前から地域のランニングイベントや清掃活動に何度か参加しておりましたが、今回もイベントを盛り上げる為に参加して来ました。
イベント自体には多くの人が参加していて2000本のマングローブの苗があっという間に無くなりました。
植林の後は清掃活動。選手たちもここぞとばかりに働きます。
公園の隅からビーチの脇まで2km近くの海岸沿いの遊歩道を、ゴミ袋を抱え素手でゴミを拾います。
グラウンドでも少しずつゴミを拾うようになって来た彼らが、少しでも何かを感じ取ってくれていたら嬉しいです。
http://world-diary.jica.go.jp/oshimakento/person/10_planting_hopes_for_future.php
https://magis.to/av/fzUuVFgBH0krKTIGDmEwCX12?l=vsm&o=w&c=c
https://www.magisto.com/video/KF9DPUEJHWxsUEBhCzE?l=vsm&o=w&c=c
②代表チーム選手選抜を開始
台湾遠征を7月に控え、準備も大詰めとなって来ていま……せん。
U12の選手選抜はすでに始まっていますが選手たちはピリピリする事もなく仲良く練習しています。
数少ない道具も共有しながら練習している彼らは仲間意識が強いのか「誰かを蹴落として自分が上に立つ」と言った我の強さはあまり見られません。
どちらかと言えばシャイで恥ずかしがり屋な選手が多いように思います。
とは言え世界大会出場権獲得のニュースを聞いてか、グラウンドに来る選手は確実に増えて来ました。
先月から練習の際に出欠を取り始め、遅刻や欠席の少ない選手に帽子がプレゼントされました。
野球道具だって日本のように自分のものがあるわけもなく、海外からの支援で頂いた物をみんなが使い回しで使っているような状況です。
自分だけの帽子ににやける彼らの表情を見て、初めて自分のグラブを買ってもらった日の事を思い出しました。
野球をする事が楽しくてグラウンドに来ていた彼らの中に、今までは無かった新しい感情が生まれるのかもしれません。
どんなに楽しく練習しても大会に連れて行ける人数は限られているし、ダイヤモンドの中には9人しか立てないのが現実。
来月、心を鬼にして選手を選びます。
一方で、U12以外(年上の)選手たちに変化が見られました。
昨年U15代表として戦った選手たちを中心に「後輩に教える」というシステムが出来つつあります。
以前からそうなるように仕組んで来たのがようやく形になって来ました。
「コーチになりたい」とか「ノックを打たせて」とお願いされる事も増えて来ました。
ちょっと前までは「オレもピッチャーやりたい」とかそんな事しか言わなかったのに。
急にお兄さんみたいな顔をしだして、先輩達からも応援したいという気持ちを感じられます。
結局、私自身も生まれた国は違えど同じ“野球人”としての知識や経験を伝えているに過ぎないのです。
野球の、人生の先輩として伝えられる事を残りの任期でいっぱい伝えて行きます。
とは言え、宗教の事やフィジーの文化(雨の日の楽しみ方など)なんかを彼らから教わる毎日です。
https://www.magisto.com/video/M18XMQdSEzQ3BxppYw?l=vsm&o=w&c=c
https://www.magisto.com/video/OVYRO1sbETUyTUFhCzE?l=vsm&o=w&c=c
https://www.magisto.com/video/agdCNgIZEzE2BBJgCzE?l=vsm&o=w&c=c
③応援キャンペーン
U12世界大会出場に向けて代表チームの準備と並行して行って来た資金集め。
3月から配属先で応援Tシャツを売り出す事にしました。
渡航資金としては微々たる物ですが野球協会のPRにもなる一石二鳥の作戦。
これからローカル向けにも販売していく予定ですがすでに6月現在までに150着近くを売り上げました。
資金として大した影響は無いだろうと思っていましたが、今では大きな追い風となっています。
多くの在フィジー邦人関係者の皆様、並びに日本より支援を賜っております全ての方に心より感謝申し上げます。
有難うございます。
④遂に開始 クラウドファンディング
以前からお伝えさせて頂いた世界大会の件でクラウドファンディングをするかも!と言っていたものが始まりました。
私の教え子が世界大会の出場権を獲得したのは前回のコラムでお伝えさせて頂きました。
以前より日本人がフィジー 野球に深く関わり力を合わせ今日までやって来ました。
私もその1人であり、この絶好のタイミングでフィジーに居られた事を心から嬉しく思います。それと同時に「このチャンスを絶対に逃しちゃいけない」と強く思います。
いろんな縁があって今私がここフィジーにいる以上、私ができることは何でもやろうと思い、今回寄稿のタイミングもこのクラウドファンディングを待たせて頂きました。
もちろん私にとっても初めての世界大会ですし、これが実現した場合は私もコーチとしてベンチに入る事になります。
私の野球人生で日の丸を背負って戦うことはありませんでしたが、フィジーを背負って戦える日がそこに迫っていると思うと緊張と興奮が止まりません。
有難いことにグラウンド内の事は殆ど任せて頂いているので、できる限りの事をやらせて頂きます。
最後まで振って振って振りまくって、残り2ヶ月も振り抜きます。
NO SWING
NO HIT!!!!!
- 【第7回】2019年12月11日 「次の世代へ繋ぐバトン」
- 【第6回】2019年7月31日 「U12W杯~オープニングラウンドを終えて~」
- 【第5回】2019年7月25日 「U12フィジー野球代表 世界大会へ出発」
- 【第4回】2019年6月27日 「遂に開始 クラウドファンディング」
- 【第3回】2019年3月25日 「Fiji野球 世界へ挑戦!?」
- 【第2回】2019年1月28日 「ナショナルチームの活動」
- 【第1回】2018年12月7日 「フィジー野球の現状」
- 【第8回】2017年1月23日 「フィジー野球の2年間を振り返って(後編)」
- 【第7回】2016年11月28日 「フィジー野球の2年間を振り返って(前編)」
- 【第6回】2016年9月6日 「第25回世界少年野球大会千葉大会~当日編~」
- 【第5回】2016年8月8日 「第25回世界少年野球大会千葉大会~準備編~」
- 【第4回】2016年7月22日 「コミュニティ地区での野球」
- 【第3回】2016年6月23日 「フィジーに恩返し」
- 【第2回】2016年5月25日 「道具にリスペクトを」
- 【第1回】2016年5月15日 「キャッチボール」
著者プロフィール
大嶋賢人
1994年8月8日生
都内の教育大学を卒業後2017年8月よりFiji Baseball & Softball Associationに青年海外協力隊の野球隊員として配属。ナショナルチームの指導や巡回型普及活動を行っている。「年間300日雨が降る」と言われる首都スバ市で”NO SWING-NO HIT!”をモットーに現地の子どもと白球を追っている。好きな言葉は「出来なくて当たり前、出来たら男前」。
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